「タイムリミット」2021年6月17日夜

昼間は色々に報告が母さんからラインで来てた。

定時で上がらせてもらって、実家のある黒木に自転車で向かう。

運転しながら、そっちに向かうと電話した。

通常30分の道を全力で漕いで、20分で向かった。

自転車の利点は裏道で行けれて、渋滞に巻き込まれないからあまり時間が変わらずに行けるから好き。


実家に行くと散らかっており、かなり散乱している。


『米美来たのね、さっそくだけど食材ね、お願い』


新居の冷蔵庫が間に合わず俺のアパートの冷蔵庫に一時保管することになったので、俺がレンタカーを運転して運んでる間に母さんたちは掃除する算段になった。


「鍵どこ?」


『はい』


「行ってくる」


バイパスを走行中に反対車線を見て、これヤバいなと感じた。

帰宅ラッシュで混雑して、カメの歩み、、、カメより遅いというか止まってる。


アパートに着いて、冷蔵庫に食材を詰め込んだ。

この時点で汗だく、、、気持ち悪いけどそんなこと言っとれんわ、、、

アイツの帰る時間的に、タイムリミット1時間ぐらいやから、、、


バイパスに出て黒木に向かうが、やっぱり混んでる。

こうなったら一歩通行の裏道だな。

狭いし暗いからスピードは出せないけど、カメの歩みよりマシ。


せめっぇ、、、こえっぇ、、、頑張れペーパーな俺、、、


なんだかんだで黒木に着き、レンタカーに掃除で出たゴミを詰め込みんだ。

実家はほぼ何もない状態で、アイツの荷物があるぐらい。


運転席に母さん、助手席に舞子で最寄りの黒木駅に向かう。俺はチャリを駅の駐輪場に置きに行く。

舞子は電車で新居の最寄り駅に向かい、母さんは俺を駐輪場で拾ってレンタカー屋に置かれてるエコカーを取りに行くために向かう。


HardBankの見守りマップを見ると、会社の最寄り駅にいるみたいだから残り40分。

ちなみに実家出る前に、母さんと舞子のスマホのGPS発信はオフにしてる。


レンタカー屋に着いて、運転席から母さんは飛び出し車庫へ走って行った。

俺も運転席に座り座席調整してから、黒木に向かうためにフットブレーキを解除しようとするが慣れてない。こうか?お、出来た。

バイパスに出ると十数台先には母さんの運転するエコカーが見えるが信号の関係で先に行かれすぐに見失う。

帰宅ラッシュはまだ終わってないから、カメの歩み。

なので再び裏道に突入、、、うん、相変わらず狭いし怖い、、、


実家近くのコンビニで待ち合わせして母さんと合流した。


『GPSをエコカーに設置しなおした』


なぜかドヤってる母さん、、、


『あっちの方が燃費いいし、今後乗るとしたらエコカーやからね』

『賭けやけど、、、』


母さんの携帯に電話がかかって来た。アイツからだ。

母さんはいつも黒木駅まで迎えに行ってるからその電話なんだろう、、、

何も知らないアイツに、母さんはいつもの口調で答えた。


『今日はちょっと調子悪くて、お迎え無理なんだ、、、ごめんね』


女って怖っぇと思ったのは、母さんには秘密である。


「すごいね、、、」


『えっ、そうかな?』

『舞子から遅いって来てるから、行くわ』


「うん、じゃねチャリで新居向かうわ」


母さんは車で新居の方に走り去っていった。

俺は黒木駅の駐輪場に走って向かう。

駐輪場は駅から離れた位置にあるので、大丈夫。

急いで新居に向かう。


新居に着くと、リビングで母さんと舞子は遅めのご飯を食べてた。

机にはコンビニの総菜と俺の作ったおかずがあった。


『おつかれ、米美』


[おつかれ、お兄ちゃん]


「おつかれ、腹減った」

「ご飯は?」


『コンビニだけど、これ』


「いただきます」


ご飯を少し食べ、少し落ち着いた。


「そういえばアイツの反応は?」


『なにこれって来たよ』

『だから、例の手紙はラインで送ってそこから放置してる』


「そっか、、、」


新たな生活の期待とアイツから返金はあるのかが不安だった。

けど頑張るしかないかな、家も買ったわけだし。

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