79話 グラヴ魔獣に殺される

        ♦


 「ああ、全く相変わらずイラつくぜ。ラークを見ているとよ」



 グラヴは食堂で一人豪快に酒を飲んで声にする。


 バレッドが落ちぶれたと聞いてグラヴは別に何とも思っていなかった。


 何せバレッドもグラヴも自分自身が全てである自己中心的な性格だからだ。



 「酒ぶっかけてやったが、それだけじゃ怒りが収まらねえな。もっと嫌がらせしてやるか」



 グラヴはラークの右腕一本程度切り落とそうと思い、翌日行動に移す。


 だがそれが後悔することになる。



      ♦



 俺達は冒険者ギルドであるクエストを受注する。


 そのクエストとは魔獣デビルウルフの討伐だ。


 A+ランクのモンスターだ。



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 魔獣デビルウルフ討伐 金貨30枚


 

 危険度★★★★★★★★★



 待遇 最強回復薬×2、強魔力回復剤×2、豪華馬車



 依頼主 フレッディーノ国民


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 まあ結構難しそうなクエストだが俺達なら余裕だろう。


 一応セーブしておくか。



 「セーブ」



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 スロット1 フレッディーノ国冒険者ギルド


 スロット2 ファイシード国食堂


 スロット3 ファイシード国宿屋


 スロット4 フレッディーノ国宿屋


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 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 そして魔獣デビルウルフ討伐に向かう。



 豪華馬車で揺られて向かう。


 向かう場所はフレッディーノ国の近くの平原に出没した魔獣デビルウルフ。


 フレッディーノ国民が被害にあっている。



 「手強いモンスターだが勝つぞ」

 「ええ、そうね」



 俺達はクエスト達成の為全身全霊で臨む。


 そして平原へと到着する。



 平原を歩き魔獣デビルウルフを探す。


 すると背後から声を掛けられる。



 「ようラーク。お前の右腕を切り落としに来てやったぜ!!」

 「は!? 何言ってやがる!?」

 「お前見てるとイラつくんだよ。デビルメイデン時代からな!!」



 そう言ってグラヴが俺に持っている銀の剣で攻撃してこようとする。


 俺が回避しようとしたその時、どこからか猛スピードで不穏な鳴き声を漏らしながら襲い掛かって来る者がいた。


 それは魔獣デビルウルフ。



 「ぐわああああああああああああああああああ!!」



 魔獣デビルウルフは俺を襲おうとしたグラヴの首に噛みつく。


 俺達はそれを見てすぐに距離を取る。



 「た、助けてくれええええええええええええええ!!」



 グラヴは必死に俺に助けを求める。


 だが俺は無視をした。


 こんな奴を助ける気はない。


 自業自得だ。



 「がはっ!!」



 グラヴはそのまま抵抗虚しく死亡する。


 首を嚙み千切られて。



 「セーブ」



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 スロット1 フレッディーノ近くの平原


 スロット2 ファイシード国食堂


 スロット3 ファイシード国宿屋


 スロット4 フレッディーノ国宿屋


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 俺はスロット1に上書きセーブをした。



 「リア、ヴィクトリカ、ネール気を付けろ。ラフレアはバフかデバフを」

 「分かったわ!!」

 「了解なのじゃ!!」

 「うん分かってる!!」

 「バフ掛けるわ」



 ラフレアがバフを掛ける。



 「攻撃力アップ」

 「防御力アップ」

 「スピードアップ」



 ラフレアのバフの恩恵を受けたリア、ヴィクトリカ、ネール。


 三人が戦闘態勢で臨む。



 「アリス、万が一の為呪術カースアビスの準備を頼む」

 「分かりました」



 魔獣デビルウルフが俺達目掛けて猛スピードで牙を剥き出しにして襲い掛かる。


 それをリアのブラッドソードが防いだ。



 「はあああああああっ!!」



 リアがブラッドソードで攻撃する。


 切れ味抜群でブラッドソードが魔獣デビルウルフの体の一部分を切り裂いた。


 そしてブラッドソードが少しだけ黒みを帯びる。


 血を吸えば吸うだけ威力が上がる伝説の武器。



 「呪術カースアビス」

 


 アリスの呪術カースアビスで魔獣デビルウルフは呼吸が出来ず動けなくなる。


 俺はその一瞬の間に分裂を使用する。



 「セーブ×2」

 『どこに分裂しますか?』

 「リアが切り裂いた傷を心臓に』

 『了解しました。動作が完了いたしました』



 次の瞬間魔獣デビルウルフが吐血して平原にバタリと倒れる。


 どうやら心臓が破裂したようだ。



 「無事に終わったな」

 「そうね。このブラッドソード強いわ」

 「そうだな。流石伝説の武器」



 俺達はこの日魔獣デビルウルフを無事に討伐した。


 冒険者ギルドに死体を持ち帰ろう。


 そして同時にグラヴの死体が平原へと転がっていた。



 「嫌がらせと引き換えに自分の命を落とすとはな」



 哀れだな。


 そう俺は思った。



 さあセーブしよう。



 「セーブ」



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 スロット1 フレッディーノ近くの平原


 スロット2 ファイシード国食堂


 スロット3 ファイシード国宿屋


 スロット4 フレッディーノ国宿屋


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 俺はスロット1へと上書きセーブをした。

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