51話 緊急クエストの依頼が来ました
昨日フィーフィーマウンテンで妖精ナーフィと出会い【ホワイトアリス】の仲間になった。
現在俺に懐いているのか肩に止まっている。
「その冒険者は何するの?」
「クエスト受注して達成したら報酬を受け取る。そんな生活かな」
「何それ楽しそう!! どんなクエスト受注するの?」
「それは日によって違うな」
「今日は何にするの?」
「うーんそうだな? 何にするか?」
俺達は現在冒険者ギルドでクエストボードを眺めている。
何かいいクエストはないかと。
そんな時受付嬢から声が掛かる。
「ホワイトアリス様、少しお時間宜しいでしょうか?」
「うん? まあ別にいいが」
「ではこちらへ」
俺達は受付嬢に案内されて裏側に存在する客間に移動する。
ソファーに腰を掛けて俺達は受付嬢の話を聞く。
「話とは?」
「ホワイトアリス様にお願いしたいことがあります」
「お願い?」
「はいリンリン卿からかなりの高評価を得ているホワイトアリス様の実力を見込んである緊急クエストを依頼したいと思っています」
その言葉を聞いて俺達は驚く。
それもその筈、緊急クエストは基本Sランク冒険者にしか依頼が来ない。
何せ文字通り緊急なクエストだからな。
それが今回俺達Bランクパーティー【ホワイトアリス】に緊急クエストの依頼が来たわけだ。
それは歴史的快挙と言っても過言ではないだろう。
余程人手が足りてないのか?
「だが俺達はBランクだぞ。本当にいいのか?」
「構いません。この緊急クエストを受注できそうな冒険者はホワイトアリス様をおいて他にいません」
「Sランクパーティーとかいないのか?」
「怪しい依頼だと疑っていますか?」
受付嬢がじーっと俺を見つめてくる。
有無を言わせない圧力だ。
全く冒険者ギルド側の人間は恐ろしい。
「まあいいや。内容次第によっては受注する」
「内容は氷山に生息するアイスドラゴンの卵を持ち帰ってきて欲しいのです」
「アイスドラゴンの卵!?」
「はい。ここデイルの伝統文化の一つでもうじき料理大会が行われるのです」
「料理大会?」
「それでアイスドラゴンの卵をある料理人が求めているのです」
「無理だ。そもそもアイスドラゴンの卵には幼体がいるだろ。幼体を料理するのか?」
「幼体の息吹と涎が必要なそうなのです。親でもいいらしいのですが流石に成体を連れてくるのは不可能かと」
「悪いが断る。俺達の手に負えるとは思えない」
「Aランクに上がれるチャンスですよ。いいんですか断っても」
「ギルド側が冒険者に圧力掛けるなよ!!」
俺はつい突っ込んだ。
アイスドラゴンは大人しいドラゴンだが、子供を連れ去られるとなれば別だ。
絶対に抵抗してくる。
今の【ホワイトアリス】は負けることはないだろう。
俺のセーブ&ロードがあるからな。
だけど勝てるかどうかは別だ。
幾ら挑戦しても勝てない事もあるだろう。
現状ではだ。
「面白そうだからやる!!」
「おっ妖精ですか? 珍しいですね!! 証言頂きましたよ!!」
おいちょっと待て。
俺はまだ何も言ってない。
というかこのパーティーのリーダーはアリスなんだが。
「どうする?」
「うーん。まあ卵を持って帰るだけだしラークの能力があれば問題ないでしょ!!」
「妾は料理大会が無事に開催されるのが楽しみなのじゃ!! やるぞ妾は!! ラークがおれば大丈夫じゃ!!」
「私はどっちでも。でもラークが居れば大丈夫でしょ」
「ホワイトアリスのリーダーとして緊急クエストを断る理由はありません。ラークがいれば大丈夫です」
「私もオッケー。ラークがいれば大丈夫!!」
「やったー!! 楽しみ!!」
俺をどや顔で全員見る。
ううっ、こんなに頼りにされたら断れる筈ないだろうが。
仕方ないやるか。
「分かった受注しよう。但し多額の報酬とホットドリンクは頂くぞ」
「畏まりました。いやあ流石はホワイトアリス様。これは将来有望ですね!!」
「おだてるな。何も出てこないぞ」
「いえいえ本音ですよ!!」
鼻歌を歌いながら受付嬢はご機嫌になる。
全く冒険者ギルド側の人間は恐ろしいぜ。
クエスト内容は以下だ。
==========================
アイスドラゴンの卵持ち帰り 金貨50枚
危険度★★★★★★★★★★★
待遇 強回復薬×5、豪華馬車、ホットドリンク×14
依頼主 デイルの料理人
==========================
全く面倒なクエストだ。
だが少し楽しみでもある。
取り敢えずセーブしよう。
「セーブ」
=========================
スロット1 フィーフィーマウンテン
スロット2 デイル冒険者ギルド
スロット3 空き
=========================
俺はスロット2に上書きセーブをした。
さて準備するか。
俺達はその後アイスドラゴンが生息するガリガリ氷山に向かうための準備をする。
雑貨屋で厚手のコートと手袋などを購入する。
ホットドリンクはデイルには売ってないのを見越していたので冒険者ギルド側で用意してもらう。
まあホットドリンク無くても厚手のコートで何とかなるだろ。
金貨は色々毎日使用しているが現在70枚程所持している。
雑貨屋で色々購入しても金貨2枚程度だろう。
要するにお金に関しては余裕があるのだ。
どこかの浪費家とは違う。
「武器とか防具とか購入する?」
「防具は買っといた方がいいだろうな。鉄の鎧よりいいのがあると思うし」
「武器は?」
「武器は間に合ってる。それに急に買い換えたら慣れる時間が無いと扱えなく戦場で困る」
「流石頼りになるわね!!」
「別に普通だ」
俺達はその後防具屋で銀の鎧を購入する。
アタッカーだけでなく一応全員分購入した。
まあナーフィは妖精なので防具なんてないが。
金貨12枚使用した。
「ナーフィは寒さ大丈夫か?」
「うーん駄目かも」
「じゃあ追加でホットドリンク貰おうな」
「はーい!!」
俺達は冒険者ギルド側に言ってホットドリンクを多く貰う。
流石に緊急クエストの依頼もあってかある分だけくれる。
結局想定より多く貰った。
「さあ準備は整った。行くかガリガリ氷山に!!」
「オッケー!!」
「うむ楽しみなのじゃ!!」
「はーい!!」
「はい。行きましょう!!」
「楽しみだ!!」
「たっのしみー!!」
俺達はこの日冒険者ギルドから緊急クエストの依頼を受けた。
その内容はかなりの高難易度だ。
だが俺達【ホワイトアリス】なら間違いなく達成できる。
そう確信している。
さて最後に一応セーブをしよう。
「セーブ」
=========================
スロット1 デイル冒険者ギルド
スロット2 デイル冒険者ギルド
スロット3 空き
=========================
俺はスロット1に上書きセーブをした。
さあアイスドラゴンの卵を持ち帰ろう。
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