50話 妖精を保護しました

 「ふぁああ。おはよう」

 「おはようございます!!」

 「相変わらず朝早いな」

 「慣れですかね」

 


 俺が目覚めるとアリスだけが起きている。


 リア、ヴィクトリカ、ラフレア、ネールはぐっすりと眠っている。


 ネールは普段外では見せない姿で眠っている。


 耳が鋭く尖り頬に毛が三本ずつ生えている。


 猫のようで可愛いな。


 俺はついネールを撫でた。



 「何故頭を差し出して?」

 「何となくです!!」

 「じゃあ、なでなで」

 「えへへっ!!」



 俺がアリスを撫でるとアリスは凄く喜んでいた。


 うちのパーティーリーダーは凄く可愛いな。



 俺がシャワーを浴び終わって出てくると全員起きていた。


 寝癖が皆酷い。


 俺も人の事は言えないが。



 「今日はどうする?」

 「休息日にするのじゃ!!」

 「おっ、流石に疲れたか?」

 「森でピクニックなのじゃ!!」



 ヴィクトリカの言葉に皆が「おおー」と反応する。


 まあ偶には冒険者ギルドでクエスト受注しない日があってもいいよな。



 「よしじゃあ朝支度済ませたらフィーフィーマウンテンでピクニックにしようか」

 「お弁当はどうするの?」

 「そうだな、露天商で買うか」

 「オッケー。じゃあシャワー浴びてくるわね」

 「ああ」



 リアの裸体を妄想する。


 やばい興奮してきた。


 別の事を考えよう。


 それと一旦セーブだ。



 「セーブ」



 =========================


 スロット1 デイル国宿屋


 スロット2 ダンデル国路地裏


 スロット3 空き


 =========================



 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 このスロット3空けているけど何かの役に立つ日が来るかな?


 まあいいや。


 俺も朝支度済ませよう。



 朝支度を済ませ朝食を取ったあと俺達はフィーフィーマウンテンを散歩する。


 木漏れ日の日差しが心地よい。


 新緑樹が俺の心を癒す。



 「綺麗ですね!!」

 「ああ凄い綺麗だな!!」

 「ラーク鳥が飛んでいますよ!!」

 「本当だ。フィーフィー鳴いているな」



 あの鳥の名前は何て言うんだろうか?


 フィーフィー鳴くからフィーフィー鳥?


 うーん謎の鳥だ。



 「はーっ」



 リアが落ち葉の上に寝転ぶ。


 仰向けになって快晴の空を見上げる。


 胸が大きく強調されていて俺の目が自然とそちらに向く。


 相変わらずの大きさである。



 「俺も寝転がるか」

 「妾もじゃ」

 「じゃあ私も」

 「私もです」

 「私も」



 全員仰向けになって寝転ぶ。


 自然と一体化した気分を味わえた。


 空気が澄んでいてとても居心地がいい。


 心を癒す最適の場所だな。


 偶にはこういう日があってもいいだろう。



 暫く寝転がっているとネールが突如起き上がった。


 耳を澄ましている。


 どうしたんだ?



 「ネールどうした?」

 「何か声が聞こえる」

 「何!? 奴隷狩り?」

 「いや違う。か細い少女の声」

 「どっちだ?」

 「数百メートル先。真っ直ぐ行ったところ」

 「行ってみよう」

 「うん」



 俺は寝てしまったラフレアを起こして急いで向かう。


 一体こんなところに何故少女が?


 迷い込んだなら助けないと。



 俺達がネールが声が聞こえたという場所まで行くとそこには羽の生えた小さな精霊がいた。


 いやこれは妖精か。


 金色の髪に人間と同じような服を着ている。


 だが人間と決定的に違うのは、羽とサイズだ。


 俺の手のひら位しかない。



 「おい大丈夫か」

 「うーん。お腹すいた」

 「え!?」

 「お腹すいた」



 どうやら空腹で倒れていたようだ。


 俺達は露天商の食料市場で購入したお弁当を妖精に差し出す。


 すると妖精は目の色を変えて涎を垂らし食べ始める。


 小さい体なのによく食べるな。


 そもそも人間の食事を妖精が食べられるんだな。


 てっきり妖精は魔力や自然エネルギーを食事にするものばかりと思い込んでいた。



 「ぷはあっー。御馳走様」

 「どういたしまして。それで名前は?」

 「私の名前はナーフィ。空飛んで旅してたら空腹で落っこちちゃって」

 「そうか。俺はラークだ宜しくな」

 「うん宜しく!!」



 どうやら本物の妖精らしい。


 凄く小さくて可愛いな。



 「帰れるか?」

 「帰りたくない。だって妖精の国は暇だもの。ねえ私も一緒に旅していい?」

 「え!?」

 「駄目?」



 そんな小さい体で上目遣いで見られると困る。


 断れない。


 というか断る理由もないのだが。



 「どうする?」 

 「私はいいよ!! だって妖精なんて初めて見たもの」

 「妾もじゃ!! 可愛いのう」

 「私も可愛くて好き!!」

 「もう可愛すぎです!! 食べちゃいたくらいです!!」

 「いいよ私も。人外同士仲良くしようよ!!」



 どうやら満場一致のようだ。



 「じゃあ一緒に来るか? 俺達は冒険者だぞ。それでもいいのか?」

 「うん全然オッケー。凄いワクワクする!!」

 「そうか。よしじゃあ今日からナーフィも仲間だ」

 「うん!!」



 こうしてナーフィという妖精が【ホワイトアリス】に加わった。


 妖精って凄くレアな種族だよな。


 一度妖精の国に行ってみたいものだな。


 さてセーブしよう。



 「セーブ」



 =========================


 スロット1 フィーフィーマウンテン


 スロット2 ダンデル国路地裏


 スロット3 空き


 =========================



 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 

 その後日が沈むまでフィーフィーマウンテンで遊びまくった。


 今日一日は凄く楽しい一日だった。


 ああ最高だな【ホワイトアリス】は。

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