96話 バレッド目覚める

 バレッドは気絶から目覚める。


 

 「どこだここ!?」

 


 バレッドが目覚めたのはどこかの小屋の中だった。


 横にはまだ気絶しているエレノアがいる。


 バレッドは慌ててエレノアを起こす。



 「おい起きろ!!」

 「う、うん。何ようるさいわね」

 「寝てる場合じゃねえ。どこだよここは?」

 「知らないわよ。ていうか何で私達気絶して?」

 


 二人は混乱している。


 その混乱の最中小屋の扉が開く。



 「全くうるせえ連中だな」

 「てめえ。ここはどこだ?」

 「辺境の地だ」

 「俺達に何しやがった!!」

 「実験体として面白そうだからな。感謝しろよ」

 「何!?」



 バレッド達の体に異変が起きていた。


 それは魔力の質の違いだ。


 更に肉体も強化されていた。



 「てめえ何しやがった!!」

 「お前たちには悪魔術の実験体になってもらった」

 「実験体だと!? ふざけんじゃねえ」

 「おっとご主人様には逆らえないぜ」



 バレッドがティーダを殴ろうとしたが体が言う事を聞かない。


 そしてティーダはテーブルにあるコーヒーを飲みながらこう言った。



 「いいかお前たちは今、前よりも遥かに強くなった。これで色々暴れてみろ。勿論ラークに復讐も試してみるといい」

 「ははっ。俺は本当に強くなったんだな」

 「ああ。代償はもう頂いたからな」

 「何だと!?」

 「まあどうでもいい。それよりお前たちさっさと暴れてこい」

 「ちっ、命令してんじゃねえ!!」

 「俺には逆らえないのが分からねえのか。理解力が無い奴だな」

 「くそがあああああああああああああ!!」



 そう言ってバレッドは小屋を飛び出す。


 残ったエレノアは自身の違和感に恐怖を覚えていた。



 「一体私はどうなって?」

 「さあな。いつか分かるさ」

 「何ですって!! ふざけないで」

 「あの時無様に殺されなかっただけありがたいと思え無能女が」

 「この外道が!!」

 「外道はお前だ」

 「ちっ!!」

 「さっさと行け」

 「分かってるわよ」



 エレノアはバレッドに続いて小屋を飛び出した。


 残ったティーダはコーヒーを飲み終えると大きな欠伸をしながら呟いた。



 「面白いものが見れそうだ」



 ティーダは黒いコートに再び身を包むとどこかへ消えた。


 コーヒーカップだけがテーブルの中央に置かれていた。


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