95話 スカーレットドラゴンの素材で武器を作りました

 俺達はスカーレットドラゴンがまだ生きていると確認すると、警戒態勢をとった。


 するとスカーレットドラゴンが死にそうな最後の声で言葉を紡ぎ出す。



 「私達ドラゴンは貴様ら人間を絶対に許さない」

 「何故だ、何故人間を憎む」

 「私の仲間を殺したからだ」

 「そうか」

 


 そう言ってスカーレットドラゴンは息絶えた。


 人間にとって基本的にドラゴンは敵だ。


 ドラゴンにとって人間もまた敵だ。


 争いあうのは仕方が無いのかもしれない。


 稀にライルのような心優しいドラゴンもいるが。



 「セーブ」



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 スロット1 観光大国レンガル前の荒原


 スロット2 豪華馬車の中


 スロット3 ファイシード国宿屋


 スロット4 フレッディーノ国宿屋


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 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 そしてスカーレットドラゴンを解体する。


 スカーレットドラゴンの素材は武器や防具になるだろう。



 「終わったぞ」

 「ありがとうございます。お陰で助かりました」

 「レンガルに寄っても構わないか?」

 「勿論です」

 「死体処理は任せた」

 「はい」



 俺達はスカーレットドラゴンの必要な部分だけを頂いて残りはレンガルの者達に任せる。


 そして観光大国レンガルでスカーレットドラゴンの武器や防具を作ってもらう事にした。


 まだ戦いは終わっていない。


 何故ならスカーレットドラゴンは他のドラゴンと待ち合わせをしていた。


 なら他にもドラゴンが来る筈だ。


 急ぎ装備を強化しよう。



 俺達が観光大国レンガルに入国すると国民たちから手厚い歓迎を受けた。


 

 「ホワイトアリスがやったんだ」

 「凄い冒険者ね」

 「助かりました」



 俺達はその一つ一つの言葉が嬉しかった。


 そして武器屋へ行こうとした時、知ってる人物と偶然出会った。



 「エーティじゃないか」

 「ラーク。偶然ね」

 「お前ここで何して?」

 「偶然帰り道に寄ったんだけど飛竜のせいで出国できなくてね」

 「ああ成程」

 「ラーク達がやっつけてくれたんだ。流石ね。どうブルーソードは役に立った?」

 「ああもう立ちまくりだ」

 「それは良かったわ」

 「そうだ。スカーレットドラゴンの素材で武器を作れないか?」

 「鍛冶工房さえ借りれれば行けるけど」

 「頼む」

 「分かった交渉してみる」

 「ありがとう」



 俺は伝説の武器職人エーティに頼み込む。


 偶然とはいえ運がいい。


 最高の武器職人と出会えるなんて。



 そしてエーティは交渉してくれる。


 その結果鍛冶工房を貸してもらえることになった。



 「じゃあ素材貰うわ。金貨は30枚ね」

 「オッケー。何本作れる?」

 「一本が限界」

 「分かった」



 俺達はエーティにスカーレットドラゴンの武器を作ってもらう。


 凄く楽しみだ。



 「まだドラゴンが来るのよね?」

 「多分な」

 「暫くここで待機?」

 「そうなるな」

 「折角だし観光楽しみたいけど……こんな状況じゃね」

 「まあドラゴン討伐してから観光しよう」

 「そうね」



 俺達がそんな雑談を繰り広げていると一時間ぐらいでエーティが鍛冶工房から出てきた。



 「じゃーん。完成よ」

 


 そう言ってスカーレットドラゴンの素材で出来た深紅色の剣が完成した。



 「名前は?」

 「スカーレットソードね」

 「おお」

 「誰が持つ?」



 俺やラフレア、アリス、ナーフィは必要ない。


 リアはブラッドソードを持っている。


 ヴィクトリカとネールのどっちかだな。



 「欲しいのじゃ!!」

 「私も欲しい!!」

 「じゃあじゃんけんな」

 「じゃんけんは嫌なのじゃ。弱いのじゃ」

 「前は勝っただろ。完全な運だ」

 「ううむ。仕方あるまい」

 「じゃあ決まりな」



 そう俺が言ってヴィクトリカとネールがじゃんけんする。


 真剣な面持ちで勝負する。



 「じゃんけんぽん」



 俺の合図でヴィクトリカとネールが手を出す。


 ヴィクトリカはパー。


 ネールもパー。



 「あいこだな」

 「ふぅー危ないのじゃ」

 「緊張する」

 「じゃあもう一度。じゃんけんぽん」



 ヴィクトリカはグー。


 ネールはパー。


 結果ネールが勝利した。



 「だから言ったのじゃ!! 弱いから嫌だと」

 「これも時の運だ。仕方ない」

 「ラークには今日一日食べ物沢山奢ってもらうのじゃ」

 「何でだよ!!」

 「罰なのじゃ」

 「関係ねえだろ」

 「奢るのじゃ、奢るのじゃ」

 「分かった奢ってやる」

 「やったのじゃー」



 結局スカーレットソードを受け取ったのはネールだ。


 ブルーソードは価値が高いので売らずに二本目として持っておこう。



 「はい金貨30枚」

 「毎度あり。だいぶ稼いでいるようね」

 「まあな」

 「今何ランク?」

 「Aランクのままだよ」

 「そうなんだ。でももう少しでSランクいけるかもね」

 「どうだろうな。そんなに甘くないし」

 「大丈夫でしょホワイトアリスなら」

 「そうだな」



 俺達はこの日スカーレットドラゴンを討伐して、その素材でスカーレットソードを作った。


 さあセーブしよう。



 「セーブ」



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 スロット1 観光大国レンガル鍛冶工房


 スロット2 豪華馬車の中


 スロット3 ファイシード国宿屋


 スロット4 フレッディーノ国宿屋


 =========================



 俺はスロット1に上書きセーブをした。


 そして新たなドラゴンが来るまでここで待機する。


 さあどんなドラゴンが来るか。

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