94話 飛竜襲来
俺達は豪華馬車に揺られてレンガルのすぐ近くまで来ていた。
もうすぐレンガルが見えるようだ。
「嫌な予感がするのじゃ」
「マジか。セーブしておくか」
「頼むのじゃ」
「セーブ」
俺はヴィクトリカの第六感を信じてセーブを行う。
「セーブ」
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スロット1 フレッディーノ国宿屋前
スロット2 豪華馬車の中
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット2に上書きセーブをした。
そして少しして飛竜がいるレンガル国が見えてきた。
あれがレンガル国か。城壁などがなく、凄く建物などが綺麗だ。
泉などもある。
流石観光大国。
「もうすぐ着く――」
突如空中に飛竜が出現する。
地上から飛び立ったようだ。
そして両翼を羽ばたかせ俺達に向かって攻撃する。
「何!?」
「不味いわね」
「ロード」
俺達はスロット2へロードする。
直撃を食らっていれば死んでいたかもしれない。
「真っ赤なドラゴンだったわね」
「ああ。あれは恐らくスカーレットドラゴン」
「スカーレットドラゴン?」
「ああ。Sランクに分類されるドラゴンで並み居る冒険者を殺してきた恐怖のドラゴンだ」
「体長も十メートルは軽く超えてたわよ」
「さてどうするか」
ヴィクトリカの直感は当たった。
間違いなくセーブしておいてよかったな。
さてどうするか。
あのドラゴンを討伐するのは至難の業だぞ。
何せ空中に飛んでるからな。
「一撃さえ与えられれば俺の分裂で心臓にダメージを与えられる」
「あれだけ高いと私達では無理よ」
「出来るとしたらアリスか」
俺達は一斉にアリスを見る。
そしてアリスはドヤ顔でこう言った。
「呪術カースレーザーですね。準備に時間が掛かるので時間稼ぎさえしてくれれば」
「そこは任せて」
「分かりました。頑張ります」
よしアリス頼みになってしまうがここはアリスに頼ろう。
俺達は時間稼ぎだ。
「ラフレアはバフとデバフを撒いてくれ」
「分かったわ」
「リアとヴィクトリカとネールはそれぞれ時間稼ぎ。俺はアリスの盾役となる」
俺の言葉にリア達は頷く。
ナーフィは「私は?」と言っている。
「ナーフィは何か時間稼ぎできそうか?」
「うーん? 妖精の国で証が貰えないと飛ぶことしかできないよ。だけど皆の役に立ちたい」
「じゃあ飛び回って視線誘導できるか?」
「うん、やってみる」
「頼むな」
俺は小さいナーフィの頭を撫でた。
ナーフィは嬉しそうだった。
「さあスカーレットドラゴンに勝つぞ」
「ええ」
「うむ」
「うん」
「はい」
「そうね」
「うん」
俺達は力を合わせてスカーレットドラゴンへと挑む。
観光大国レンガルのすぐ近くへ再び行くとスカーレットドラゴンが地上から空中へ勢いよく飛び立つ。
そして羽を羽ばたかせて俺達に向かって攻撃する。
「ラフレア頼む」
「ええ」
ラフレアは瞬時にバフとデバフを掛ける。
「攻撃力アップ」
「防御力アップ」
「スピードアップ」
「攻撃力ダウン」
「スピードダウン」
よしスカーレットドラゴンが若干弱体化した。
俺達は上手く回避した。
馬車からは降りていたので御者に影響はない。
「はああああああああああああああっ!!」
リアがブラッドソードで攻撃しようとするが上手く空中に逃げて回避される。
「空中はずるいわよ!!」
リアは大きな声でスカーレットドラゴンに言った。
だが上手く時間稼ぎが出来ている。
「ほれほれ、こっちだよー」
ナーフィはこのパーティーの中で唯一飛べる。
飛ぶことは時にアドバンテージとなる。
「貴様ちょこまかと」
「やっぱり喋れるんだ!?」
やはり人間の言葉を話せるのか!?」
だったら。
「おーいスカーレットドラゴン。話し合わないか」
「無駄だ。私は人間が大嫌いだ。滅ぼしたい」
「じゃあ何故ここで寝てる?」
「他のドラゴンと待ち合わせだ」
「何!?」
「人間は全て滅ぼす」
ここで待機していたのは他のドラゴンと合流する為か。
不味いな他にも来られたら。
「和解出来ないなら俺達はお前を討伐する」
「はははっ。人間如きに出来るものか」
「いやできるさ」
「生意気な!!」
スカーレットドラゴンは俺に向けて大きな口から炎のブレスを吐く。
消費魔力量は桁違いだがスロット共有を使用するしかない。
「スロット1の一部をスロット2へ共有」
『畏まりました。動作が完了いたしました』
俺はスカーレットドラゴンの炎のブレスだけを消失させる。
原理は至って簡単。
まだスカーレットドラゴンが炎のブレスを吐いていない世界のデータスロットを現在のスロット2へと共有した。
これにより炎のブレスは消失した。
「何!?」
「今だアリス!!」
「はい」
アリスはカースケインを真剣な表情でスカーレットドラゴンに向ける。
そして大きな声で詠唱する。
「呪術カースレーザー」
漆黒のレーザーがスカーレットドラゴンの体の中心部分に向かって放たれる。
スカーレットドラゴンの回避速度より呪術カースレーザーの方が速い。
直撃した。
「がはっ!!」
飛竜スカーレットドラゴンは傷を負い、地面に倒れ……こまなかった。
何と未だに空中で羽を羽ばたかせている。
「甘いわ人間共が」
「セーブ×2」
「何の真似だガキが」
「俺達の勝ちだ」
俺はスカーレットドラゴンが負った傷を分裂させる。
『どこを分裂させますか?」
「アリスが負わせた傷をスカーレットドラゴンの心臓に」
『畏まりました。動作が完了致しました』
その直後スカーレットドラゴンは大きな口から大量に吐血して驚いた様子で地面へと落下する。
ドーンと言う鈍い音が周囲に響き渡る。
「勝ったな」
「勝ちました」
「アリス、皆ありがとうな」
「こちらこそありがとうございます。ラークのお陰です」
「いや全員のお陰だよ」
「はい」
俺達はこの日スカーレットドラゴンに勝利した。
討伐したのだ。
念のためセーブと確認だ。
「セーブ」
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スロット1 観光大国レンガル前の荒原
スロット2 豪華馬車の中
スロット3 ファイシード国宿屋
スロット4 フレッディーノ国宿屋
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俺はスロット1へ上書きセーブをした。
そして確認する。
すると驚きの光景が目に浮かんだ。
まだ生きている。
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