「やり直しなんていらねえんだよ！」とパーティを追放されたけど、もうセーブもロードもないんだよ？ ～崩壊したってもう遅い。俺を拾ってくれた美少女パーティと宿屋にいく～

９９話 リアと二人っきりで何かが起こる？

　俺達は観光大国レンガルでの冒険を終えてフレッディーノへと戻って来ていた。

　因みにエーティとはまたすぐ別れてしまった。

　オーダーメイドの予約が入っているらしく、全国各地を駆け回っているらしい。

　忙しく大変だな。

　そして現在――

　俺は宿屋でリアと二人っきりである。

　ヴィクトリカは買い物に。

　ラフレアは珍しくヴィクトリカの付き添いに。

　アリスとネールはフレッディーノの雑貨屋に行っている。

　ナーフィもヴィクトリカに付いて行った。

　なので現在俺はリアと二人きりである。

　「久しぶりね。二人きりなんて」

　「そうだな」

　「ねえ何かしましょう」

　「何をするんだ？」

　「例えば……」

　リアがあざとく上着を煽り、胸をチラ見せしてくる。

　俺はそれについ目が行く。

　それを見てリアが笑った。

　「何だよ？」

　「やっぱり男の子なんだなって」

　「当たり前だろ。だからからかうな」

　「混浴で見た癖に」

　「あ、あれは不可抗力だろ」

　「まあ私はラークに見られてもいいけどね。なんなら触られても」

　「なっ！！」

　そう言ってリアは俺の膝の上に頭を乗せて仰向けになる。

　俺とリアの顔の距離はかなり近い。

　俺は思わず喉を鳴らした。

　「ねえ、ずーっと冒険者として一緒に旅してたいね」

　「ああそうだな」

　「約束よ」

　「ああ約束する」

　「なら証としてキスして」

　「なっ！！」

　「いや？」

　「嫌ではないが」

　「じゃあ……」

　「あ、ああ」

　俺がリアの唇にゆっくりと顔を近づける。

　心臓が高鳴る。

　爆発しそうだ。

　アリスの時でさえ頬だった。

　口と口なんて。

　リアが目を瞑る。

　俺はリアの覚悟を受け入れキスしようとする。

　その時だった。

　「たっだいまなのじゃー」

　「ふぁっ！？」

　俺は瞬時にリアの顔から自分の顔を離す。

　そして思わず変な声を上げた。

　「何じゃ！？　何をそんなに驚いておる」

　「い、いや何でもない」

　それを見たリアが起き上がり腹を抱えて笑う。

　「はははははっ！！　タイミング悪いわね！！」

　「何じゃ、何じゃ？」

　「いや、こっちの話。何でもないわよ。おかえり」

　「た、ただいまなのじゃ」

　その後続いて皆部屋へと戻って来た。

　そしてリアの笑いと、俺の赤面した様子に首を傾げている。

　危なかった～。

　あんな所見られてたらやばかった。

　「お、おかえり。早かったな」

　「は、はい。風が冷たかったので」

　「そ、そうか。風邪ひいたら困るもんな」

　「顔が赤いですが何かあったんですか？」

　「い、いや何もない。大丈夫だ」

　「そ、そうですか。ならいいのですが」

　リアはまだ腹を抱えて笑っている。

　このー。いつかお返ししてやる。

　「残念だったわね」

　リアは俺の耳元で囁いた。

　悔しいが残念に思った俺はやっぱり男だ。

　ああもうこれからまともにリアの顔見れないかもしれない。

　この日俺はリアとキス寸前まで行った。

　あれが本気だったのかどうかは俺には分からない。

　だが俺の理性を破壊するのには十分だった。

　「一体何なのじゃ？」

　ヴィクトリカの一言が俺とリア以外のここにいる者の心境を的確に表していた。