14話 殺人犯を捕らえました
俺達は宿屋で束の間の休息を取っている。
そして何故か俺の膝枕で眠っているラフレア。
嬉しいんだが足が痺れる。
「美味しいのう」
ヴィクトリカは露店の食料市場で購入したスティック型の肉と長いフランスパンのような食べ物を夢中になって食べている。
凄く幸せそうだ。
しかしこのパーティー意外と癖が強いぞ。
よく食べるヴィクトリカ、よく眠るラフレア。
リアやアリスにも何かあったりして。
「そろそろ冒険者ギルドでクエストになってないか見てくるか」
「あ、じゃあ私も行きます」
「私も行く」
「妾はパスじゃ。これを食べてからでないと動けぬ」
「じゃあ三人で行くか」
ラフレアを軽く持ち上げてベッドに寝かす。
足が痺れて力が入りにくい。
まあ一時間以上膝枕してたからな。
「じゃあヴィクトリカ、ラフレアを頼んだぞ」
「うむ。任せるんじゃ」
「セーブ」
「ここでセーブしたのじゃな」
「ああ何かあったら困るからな」
俺達は冒険者ギルドの前に殺された死体を見てきた。
そこで色々確認する事が出来た。
その後冒険者ギルへと向かった。
冒険者ギルドに到着すると人の気配が一切感じられなかった。
ありゃ? もしかして全員巣籠りか?
まあ殺人鬼が出たなら仕方ないか。
俺はクエストボードを見るとそこには予想通り殺人鬼の捕縛のクエストが貼りだされていた。
「あったわね」
「ああ。五人も殺しているようだな」
「かなり怖いんだけど」
「何回でもやり直せるぞ」
「殺されたくないから。幾らやり直せるとしても」
「冗談だって。すぐ危険だと思ったらやり直す」
「アリス、私よりラークをしっかり守ってよね。このパーティー最大の要なんだから」
アリスは力強く頷いた。
まさか自分を要だと言ってくれる人物と出会えるとは。
嬉しすぎて涙が出そうだ。
【デビルメイデン】に所属していた頃なんて感謝のかの字も無かったからな。
本当に奴隷のようにこき使われて。
何でもさせられた。荷物持ちから宿泊警備まで。
全く今思い返すと酷いパーティーだった。
それに対して【ホワイトアリス】は最高のパーティーだな。
全員美少女、全員俺を慕い必要としてくれてる。
絶対このパーティーで頑張ろう。
「このクエストを受注したいんだが」
「Cランクパーティーには荷が重いと思いますが」
「でもクエスト受注資格にはC~Sって表記されてるが」
「そうですが大丈夫ですか? 警備隊ですら犯人を見つけれてない状況ですが」
「警備隊と一緒にするな。信用できないのか?」
「いえ失礼いたしました。ではクエスト受注を承りました」
全く冒険者ギルドの連中はいつも上から目線だな。
ここは支部だが本部なんか行ったらもっと酷いんだろうな。
=====================
殺人鬼捕縛 金貨3枚
危険度★★★★★
待遇 回復薬×5贈呈
=====================
金貨三枚は美味しすぎる。
だが捕縛は難しいな。
殺すのは簡単そうだが。
まあ一番の問題点は見つける事なんだが。
感知魔法が使える者ってこのパーティーにいたっけ?
「どうやって見つけるか」
「私に任せてください」
「何か策が?」
「感知魔法が使えます」
「おお凄いな。ヒーラーなのに」
「初心者に毛が生えた程度ですけどね。所謂低位です」
「いやそれでも凄い。俺は全然からっきしだし」
「そう言ってくれて嬉しいです」
アリスが頭を俺に差し出す。
俺はアリスの頭を軽く撫でた。
艶のあるサラサラした髪が俺の指に丁度いい刺激を与える。
甘い匂いがする。これはシャンプーの匂いだ。
「マジックセンサー」
アリスが白い布の服を着て真剣な表情で魔法を使用する。
さてこの町にいるかどうか。
「いました。現場の死体と同じ匂いです」
「ナイス。現場見ておいて良かったな」
「はい」
俺達は先に現場を見てきた。
現場の死体の損壊を確認したくて五人目の死体現場を視察してきた。
死体はやはり受付嬢が言っていたように剣で心臓を一突きだった。
そしてもう一つ不自然だったのは手の指が一本切断されて無くなっていることだ。
この理由は不明だが、何か意味があるのかもしれない。
「路地裏に居ます。かなり近いです」
「警備部隊は何やってるんだ全く」
「行きますか?」
「ああ行こうか」
俺達はアリスが感知した魔力を辿るように路地裏へと向かった。
「セーブ」
俺は路地裏に行く前にセーブをした。
さてどんな殺人鬼なのだろうか。
路地裏へ行くと男が死体の指と思われる物を数えている。
全部で五本ある。
気持ち悪い趣味してるなこいつ。
「何だお前ら!?」
「お前を捕縛しに来た」
「警備隊の奴らか。上手く撒いたつもりだったんだが」
「いや違う。俺達は冒険者だ」
「この指は渡せない。あの方のコレクションになるんだ」
「は!?」
そう大声で言って殺人鬼が素早い動きで剣を抜き攻撃してくる。
俺は間一髪で何とか回避した。
「ロード」
俺達は一度セーブ地点まで戻る。
危なかった。見た目に反して速いな。
「どうしますか? 今の攻撃速かったですよね」
「うーん。ヴィクトリカとラフレアを呼ぼう」
「分かりました。一旦退散ですね」
「俺がここに残って見張るから二人は呼んできてくれ」
「分かりました」
アリス達は急いで宿屋まで戻る。
俺は建物の陰からこっそりと指を眺め数えている犯人を見張っていた。
「全く気持ち悪い。それにしてもあの方のコレクションって言ってたよな。あの方って誰だ?」
そんな事を考え呟いていたら、急ぎ足で戻って来るアリス達がいた。
ここから宿屋まで二分程度の距離だったからすぐにやってきた。
「まだいますか?」
「ああずーっとあそこにいる」
「どう戦いますか?」
「セーブ」
「セーブしたんですね」
「ああ。ラフレアはバフを撒いてくれアタッカー二人に」
ラフレアが「りょうかーい」と言ってバフを撒く。
「攻撃力アップ」
「防御力アップ」
「スピードアップ」
アタッカーであるリアとヴィクトリカが強化された。
「アリスは俺とラフレアと自信にシールドを頼む」
「分かりました」
アリスは一定時間効果を持つシールドを付与する。
「マジックシールド」
これで準備万端だ。
後は一瞬で決める。
「腕と足を切断してくれ。殺してはいけないからな」
「オッケー」
「了解じゃ」
「じゃあ行くぞ。セーブ」
俺がセーブしたのと同時に動き出す。
殺人鬼は呆気にとられ後手に回る。
「ファイアソード」
「アイスソード」
リアとヴィクトリカが両手両足を切断する。
ナイス。相手の長髪の気持ち悪い男は両手と両足を失って悲鳴を上げる。
「ぎゃあああああああああああああああああ」
「じゃあ気絶させるぞ」
「だ、誰だお前たちは!? な、なぜここだと」
「言わない」
俺が蹴りをくらわして気絶させた。
そして悲鳴を聞いて駆け付けた警備隊に俺は捕縛するように言う。
こうしてアーレンでの殺人鬼による騒動は治まった。
そして何故かアーレンで俺達は英雄扱いとなった。
【ホワイトアリス】は少しだけ有名になった。
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