15話 一方のデビルメイデンはその3

 ラーク達が闇の森にまだいる頃、バレッド達は魔獣討伐の為移動していた。


 その移動の最中ゴブリンの群れが道中の邪魔をして倒さざるを得なくなった。



 「はあはあ」

 「全く面倒だったね」

 「ああ全くだ」



 バレッド達はゴブリンの群れと鬼ゴブリンを討伐して再び馬車に乗った。


 鬼ゴブリンが二匹ほどいたがSランクパーティー【デビルメイデン】のメンバーは普通に勝てるレベルだった。


 だがバレッド達は思わぬ苦戦をした。


 その理由はバレッド達はラークの能力セーブ&ロードに頼りきっていた為だ。


 ラークのお陰で何度もやり直せるため本気で戦う事は殆どしていなかった。


 ましてやCランクモンスターのゴブリン程度では余計に舐めてかかっていた。



 「ちっ、面倒だった。まあいい魔獣討伐場所までまだ時間はある休むぞ」

 「ええ」



 バレッド達は馬車の中で休む。


 バレッドは窓の外の平原を眺めながらふとラークについて思う。



 あいつは今頃何をしているのだろうか。


 戦えない無能だから恐らく町のどこかで野垂れ死んだだろう。


 所持金も殆どない状態だ。餓死していても可笑しくはない。


 あんな無能をパーティーに入れていた自分にバレッドは腹が立った。


 そして余計に自分が追放したラークの事を口に出したことに苛立った。


 ふん。まあ恐らくあいつが所属したパーティーが今頃崩壊しているのは間違いないだろうがな。


 そうバレッドは内心思い馬車に揺られる。



 暫くして馬車が再び急停止する。



 「今度は何だ!? まだ目的地まであるだろうが」



 そう苛立ちの余り大声で窓から飲んでいたワイングラスを投げつけた。


 御者が慌てた声でバレッド達に言う。



 「今度はオークが出現しました」

 「何!? ちっ仕方ねえな」



 バレッド達は苛立ちながら馬車を降りてオークと戦う。


 オークは野蛮な性格で豚のような姿をしている。


 二本足で立ち鉄の棒を武器に戦うBランクモンスターだ。



 「さっさと片づけるぞ」

 「ああ」

 「ええ」

 


 バレッド達はオークと戦う。


 それと同時に内心に不便さと恐怖を無自覚ながら刻んでいく。


 やり直せないと言う恐怖心が徐々に【デビルメイデン】を蝕んでいった。


 だがバレッド達はまだその違和感に気づいていない。


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