22話 能力が覚醒しました

 デレンとの一件を俺達は忘れることにして冒険者ギルドでオーク討伐のクエストを受注することにした。


 オーク討伐は金貨一枚なので十分いいクエストだ。


 

 「セーブ。さあ行くか」

 「はい」



 冒険者ギルドでオーク討伐のクエストを受注した後俺達はエルンの周囲にある森にオークが出現していると聞いてそこへ向かった。


 冒険者ギルドにはデレンの姿は無かった。


 どうやら今日は俺達を煽っては来ないらしい。



 「この森は危険な匂いがするのじゃ」

 「第六感って奴か?」

 「さあ分からぬが何かいる気がするのう」

 「オークかな?」

 「それは分からぬ」



 意外にもヴィクトリカには第六感なる物が存在するらしい。


 まあ森に入るしかないんだが。



 「うーん普通の森よね」

 「そうじゃが何か嫌な予感がするのじゃ」 

 「具体的にはどうなのヴィクトリカ?」

 「詳しくは分からぬ。ただ何かがいるのじゃ」

 「どうするラーク?」



 うーん俺には何も感じないがヴィクトリカには感じるらしい。


 まあ仲間だし信じてみよう。



 「セーブ」

 


 一応ここでセーブした。


 そして少し先に足を踏み入れるとオークが出現した。



 「オークだ。戦うぞ」 

 「ええ」

 「うむ」



 オークは豚のような姿をしている。


 野蛮な性格なのですぐに人間を見たら襲い掛かって来る。


 知能はかなり低く言葉を話せない。


 Bランクモンスターに分類される。



 「はあああっ」

 「とりゃあっ」



 リアとヴィクトリカがオーク討伐の為戦う。


 オークは鈍い動きで突進してくる。


 二人は上手く連携してオークに攻撃を与える。



 「ぐがああああああああ」



 オークは攻撃を受けて悲鳴を上げる。


 Bランクモンスターでも倒せるレベルにリアとヴィクトリカは成長していた。


 恐らくポテンシャルはあった。


 問題は精神的な部分。メンタルの弱さかもしれない。


 冒険者は命を賭けて戦う。しかも普通はやり直せない。


 だから恐怖心が自然と心を体を蝕む。


 だが今は俺のセーブ&ロードによりやり直しが出来る。


 精神的にゆとりが生まれているのだ。


 

 「オッケーだ。そのまま止めを刺せ」

 「オッケー」

 「オッケーじゃ」



 俺の言葉に反応した二人はオークに止めを刺す。


 オークを見事討伐した。



 「セーブ」

 「やったわね」

 「ああ。じゃあオークの死体を持ち帰るか」

 「ええ」



 俺達がオークの死体を持ち帰り、森を後にしようとした瞬間何かが飛び出してくる。



 「誰だ?」

 「僕はデレン卿に雇われた冒険者だ」

 「何!? デレンに雇われた!?」

 「ラーク、お前の仲間を誘拐しろとの命令だ」

 「させねえ」



 ロードするか迷った。


 だがロードしても森の中にいるのでは必ず回避できない。


 どうする戦うか?


 だが奴の装備は高級装備。しかもヴィクトリカが嫌な予感がすると言った相手だ。


 恐らく現状ではリスクが大きすぎる。


 くそどうする。


 そう思った時俺の脳内に声が響いた。


 感情が籠っていない声が。



 『セーブ&ロードの能力がレベルアップしました。セーブスロットを追加します』

 『え!?』

 『セーブスロットが追加されました。スロットを作成しますか?』

 『何だこれ!? 作成する』

 『スロットを作成しました』



 =========================


 スロット1 冒険者ギルド


 スロット2 森の中


 =========================


  

 まさかこれはセーブをストックできるのか!?


 俺は思わず笑いこう言った。



 「スロット1へロード」



 俺達は冒険者ギルドへと戻った。



 「何が起こったんですか!?」

 「どうやらセーブのストックが増えたらしい。これで二地点の場所から選んで始められる」

 「凄いです。じゃああの森で殺人鬼と遭遇しない事も」

 「ああ可能だ。だが俺達を襲ってくるのは間違いない。対策を練ろう」

 「はい」



 こうして俺達は冒険者ギルドで対策を練った。



 後悔させてやるデレン。


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