4話 何回でもやり直せます
「ラークはパーティーに所属するのは初めて?」
「いや一年だけ別のパーティーに所属してた」
「辞めたの?」
「追放された」
「え!? こんな凄いのに!?」
「評価してくれてありがとう」
どうやらこのパーティーの人間は全員性格が良さそうだ。
【デビルメイデン】に所属していた時は最悪だったからな。
偉そうに仕切る奴や傲慢な奴や八方美人や変態研究者と。
それでも全身全霊頑張っていたのだが、どうやら妥当な評価は得られなかったようだ。
まあもうどうでもいいけど。
「今は何を目標にしているんだ?」
「先ずは資金を手に入れたいです。格安な宿で宿泊、格安な食材で食事、こんな生活から抜け出したいです」
「成程。じゃあ先ずは冒険者ギルドでクエスト受注しようか」
「何か出来るクエストありますかね?」
「まあ大体はクリアできるよ。大丈夫やり直せるから」
「やり直せるというのは昨日にも聞きましたがいまいちイメージが湧きません」
「まあ実戦で分かるから」
冒険者ギルドでクエストを受注する。
どんなクエストがいいかクエストボードでざっと見る。
モンスター討伐関係のクエストがお金稼ぎには一番近道かな。
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ゴブリン討伐 銅貨5枚
グレムリン討伐 銅貨7枚
盗賊退治 銀貨3枚
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いや盗賊退治がいいか。
Cランクでも受注できるし、稼げるクエストだな。
「アリスこれにしよう」
「と、盗賊退治ですか!? 私達で出来ますかね」
「大丈夫俺が全力でサポートするから」
「信頼します。勇気を出します」
冒険者ギルドでクエストを受注した俺達は盗賊被害にあっている少し先の村まで移動した。
資金が無いため馬車すら借りれない状況だ。
俺自身も【デビルメイデン】を追放された時所持金は僅かしか持ち合わせてはいなかった。
いつも配分が俺だけ異様に低かったからだ。
「それで妾達は何をすればよいのじゃ?」
「アタッカーのリアとヴィクトリカはいつも通りに前線で戦ってくれ」
「うむ。分かったぞ」
「バッファーのラフレアはアタッカーのサポート」
ラフレアが欠伸をしながら眠そうな声で「はーい」と言う。
朝まで熟睡していたのに眠いんだな。
「私は何を?」
「ヒーラーのアリスはアタッカーの回復。俺はセーブ&ロードでパーティー全体をサポート」
「分かりました。緊張します」
「大丈夫。そんなに肩肘張らなくてもいいよ。俺を信じて」
「は、はい」
幸いバランスがいいパーティーで助かった。
アタッカー一辺倒なら回復するのに薬草やポーションを利用しないといけないからな。
資金がすぐ底を尽きる。
盗賊被害にあっているという村に到着した俺達は村長に話を聞くことにした。
盗賊の実力はどれくらいか?
流石にCランクで受注できる難易度のクエストで凶悪な魔法を使用する盗賊はいないだろう。
「作物が被害にあっているのです。折角手塩にかけて育てた作物が奪われては生活できません。お願いしますどうか」
「どんな盗賊ですか?」
「四人組の盗賊でごつい男が一人、細身の男が三人です」
「魔法は?」
「魔法は使ってきませんでした。私達も何とか対抗したのですが」
「まだこの村から奪う可能性は?」
「貯蔵庫はまだ幸い襲われていません。隠してあるので」
「分かりました。では後は任せてください」
「ありがとうございます」
俺達は村長に用意してもらった部屋で盗賊が来るのをひたすら待つ。
魔法を使用しないなら結構簡単に勝てるかもしれないな。
まあ念のためここでセーブをしておくか。
「セーブ」
「なんじゃそれは?」
「これがセーブ&ロードだよ。俺の能力なんだ」
「つまりどうなったのじゃ?」
「いつでもこの時間と場所に戻れるという事だ」
「やり直せるとはこの事じゃな」
「ああ」
そんな話をヴィクトリカとしていると部屋の外から大きな声が聞こえた。
かなり低めの声で高笑いしている。
間違いなく盗賊だ。
「盗賊が来た。迎え撃とう」
「ええ」
俺達は盗賊退治の為部屋を出た。
「止めなさい。村の人々が困ってるでしょ」
「何だてめえら。おおよく見ればかなりの上玉じゃねえか。お前も俺達に奪われたいのか」
「黙りなさい。私たちが殺すわ」
「何だとてめえ。誰に向かって口聞いてんだ、ああ」
ああかなり下品な盗賊だな。
こういう屑共がのさばるから冒険者の仕事は無くならないわけだ。
まあ今は銀貨三枚の為に戦うけどな。
「セーブ」
「何だお前!? 何言ってやがる」
「リア、ヴィクトリカ。思う存分戦え」
俺の言葉に二人は力強く頷いた。
そしてアタッカーとして戦う。
「ファイアソード」
「アイスソード」
リアとヴィクトリカがそれぞれ魔法を使用して戦う。
だが上手く回避されリアは腕を掴まれる。
「ロード」
「ありがとうラーク」
「これがセーブ&ロードじゃな」
「感心するのは後だ。ラフレア二人にバフを掛けてくれ」
俺の言葉にラフレアが大きな欠伸をして頷いた。
「スピードアップ」
「攻撃力アップ」
「防御力アップ」
三つ同時にバフを撒けるのか。
いい魔導士だ。
「じゃあリアとヴィクトリカは先程とは違う攻撃方法で戦ってくれ」
「ええ」
「うむ」
二人は再び盗賊と戦う。
俺は念のためアリスにお願いする。
「アリス、マジックシールドを付与してくれ」
「分かりました」
アリスがパーティー全体にマジックシールドを張る。
「マジックシールド」
「これであの程度の盗賊の攻撃は完全に防げる」
「本当ですか!?」
「自分を過小評価しない方がいい」
リアとヴィクトリカはバフとシールドにより完全に盗賊相手に優位に立つ。
それに幾ら負けようと俺がやり直せる。
完全に詰みだな。
「はあああっ」
「たあああっ」
リアとヴィクトリカが盗賊の細身の男二人の首を討ち取る。
もう一人の細身の男が逃げ出そうとするが慌てたせいかこける。
その隙に俺は持っていた短剣をこけた細身の男に投げつけ命中させた。
よし後一人。
「この糞野郎どもが。いい気になってんじゃねえぞ」
盗賊のリーダーであろうごつい男が斧をぶん回してリアに振り落とす。
リアはそれを難なく躱した。
「セーブ」
「さっきから訳わかんねこと言ってんじゃねえぞクソガキがあああ」
不味いな俺をターゲットにしてきたか。
俺は戦闘タイプじゃないんだよな。
まあこれぐらいなら躱せるが。
「させません。二重シールド」
「何!?」
アリスは自身と俺を魔法で守る。
ナイスだアリス。
「リア、ヴィクトリカ頼む」
「ええ」
「うむ」
二人は地面を勢いよく蹴って盗賊の男の心臓と首を刺した。
盗賊のごつい男は血しぶきを上げて地面に倒れ込んだ。
完全に死んだようだ。
「セーブ」
「やったわね」
「ああ。ナイスだ」
「私たちが勝った」
俺に抱き着くリア。
胸が、胸が当たっているんですが。
「お、落ち着けリア」
「妾もじゃー」
「お、おいヴィクトリカまで」
ヴィクトリカにまで抱き着かれ俺は二人の美少女四つの巨乳に挟まれた。
うう、このパーティー楽しすぎる。
居心地良すぎる。
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