43話 猫人族に出会いました
翌朝温泉のお陰で疲れが取れて目覚めがよかった。
あの寝るの大好きラフレアでさえ気持ちよく目覚めていた。
「冒険者ギルドに行くか」
「そうね。何か面白いクエストあればいいしね」
俺達は朝食など朝支度を済ませて冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに向かうとそこそこの人がいた。
勿論小国なのでランシード王国のような賑わいではない。
「じゃあ登録してくる」
「分かりました」
俺は受付嬢にここの冒険者ギルドでクエスト受注する為手続きを踏む。
そしてクエストボードに貼りだされたクエストを見る。
「何か条件のいいクエストは?」
「それがいいよ」
「ああ助かる……うん?」
俺達は知らない声を背後から聞いて驚いて振り返る。
そこにはフードを被った人物がいた。
透明感のある声だ。
声から察するに女性、それも凄く若い。
「誰だ?」
「私はネール。宜しくねー」
「俺はラーク。宜しく」
「ねえ私も少しの間同行してもいい?」
「え? 別にいいけど」
「サンキュー」
ネールと呼ばれる女性は赤いコートに身を包んで顔を隠している。
隠している理由は何だろうか?
まあいいや。
「じゃあこのおすすめされたクエスト受注するか」
「私はオッケー」
「妾もじゃ。朝ごはんは沢山食べたからのう」
「私も気分がいいし、それでいいよ!!」
「私もそれでいいです」
俺達がおすすめされたクエストは以下だ。
==========================
ハンターウルフ討伐 金貨2枚
危険度★★★★★★
待遇 地図、回復薬×3
依頼主 デイル国王
==========================
ハンターウルフか。
四本足で色々な所に生息するモンスターだ。
山の中にも生息している。
名前の由来はハンター=冒険者とよく出会うウルフだからだ。
ハンターウルフをお供にするテイマーも存在する。
「じゃあハンターウルフ討伐するか」
「そうね」
俺達はハンターウルフ討伐に向けてデイルを一時的に出国して山の中へ入る。
ハンターウルフは別段珍しいモンスターではない。
しかもBランクのモンスターだ。
その割に報酬はいい。
中堅冒険者にはオススメのクエストだ。
「ところで何で姿を隠してるんじゃ?」
「絶対秘密にするなら教えてあげてもいいよ」
「秘密にするぞ」
「なら見せてあげる」
そう言うとネールは赤いコートのフードを森の中で取る。
耳が鋭く尖り頬に毛が三本生えていた。
そして赤い髪のショートヘアー、赤い宝石のような瞳の美少女であった。
「猫人族なのか!?」
「せいかーい。内緒だよ。人間に見つかると厄介だからね」
「冒険者なのか?」
「一応ね。だけど私人間じゃないから人間とパーティーは基本的に組めないんだよね」
「気にしないけどな」
「そう言ってくれる貴方達は凄い優しいね」
「別にそんな事はないが」
ネールと呼ばれる猫人族はソロ冒険者としてここで暮らしているらしい。
姿を隠して。
「一族と言うからには他にも?」
「ここにはいない。皆バラバラに動いてる。中には人間に捕まって奴隷になった者もいるね」
「すみません。私知らなくて」
「別にいいよ。私は人間好きだから」
ネールはとても美しい少女だ。
森に照らされる日光がよく似合う。
噂通りの美しさだ。
「ずっとここに居るのか?」
「まあね。私は温泉大好きなんだ。だからここを離れない」
「そっか。俺達はホワイトアリスって言うパーティーなんだ。宜しくな」
「宜しく。少しの間だけど一緒にクエストこなそうよ!!」
「ああいいぜ」
俺達は今日猫人族の美少女に出会った。
そして人間以外もこの世界には存在するんだと言う事を改めて実感した。
「あ、ハンターウルフだ」
「どこだ?」
「結構先かな」
「目がいいんだな」
「まあね」
俺達はハンターウルフの下まで向かう。
そしてハンターウルフ討伐の為協力して戦う。
「セーブ」
「何それ?」
「俺の能力だ」
「初めて聞いた」
「唯一無二らしいからな」
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スロット1 フィーフィーマウンテン
スロット2 デイルの宿
スロット3 空き
=========================
俺はスロット1に上書きセーブをした。
「私が戦うよ」
そう言ってネールは素早い動きで動く。
そしてハンターウルフの背後に回り所持していた剣でハンターウルフを一刀両断する。
凄い。
どうやらネールは凄く強いようだ。
「冒険者にはいつなったんだ?」
「うーん一年前位かな」
「ここで生まれ育ったのか?」
「まあね。私はフィーフィーマウンテンで生まれたよ。だから猫人族の伝説が残ってる」
「伝説になるような事を?」
「昔、母がここの国王を助けたんだ。だから国王がこの国に猫人族を崇めるようお願いしてる。でも猫人族は稀少だからね。悪い人間に奴隷にされる恐れもあるし、何より人間は他の種族を余り受け入れる傾向にないんだよ」
「良かったら俺達と来ないか?」
「え!? いや、でも」
「温泉好きなのは分かるが外の世界も見たいだろ? だから冒険者になったんだろ?」
「それはそうだけど」
俺は【ホワイトアリス】のメンバーに仲間にしていいかを確認する。
あくまで【ホワイトアリス】のリーダーはアリスだ。
俺は一番最後に加入したからな。
「私は歓迎します!!」
「私もいいよ。メンバー増えるの好きだし」
「妾もオッケーじゃ。賑やかなのは好きなのじゃ!!」
「私もいいよ」
「という事だが」
俺達の答えにネールは驚く。
そして笑う。
「少しの間考えさせて」
「分かった。俺達が出国するまでに返事を聞かせてくれ」
「うんありがとう」
ネールはそう優しく俺達に向けて言った。
ネールの首には青い宝石のネックレスが着けられていた。
ネール曰く母がくれた大事な物らしい。
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