39話 傲慢な冒険者に出会いました
【ホワイトアリス】は無事にBランクへと昇格した。
そして同時に俺のセーブ&ロードも一段進化した。
試しにセーブしてみよう。
現在宿屋にいる。
「セーブ」
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スロット1 ランシード王国冒険者ギルド前
スロット2 ランシード王国冒険者ギルド
スロット3 空き
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おお、スロット3が追加されている。
これで三地点のどこかからやり直しができる。
まあ何かの為に一応スロット3は空きにしておこう。
俺はスロット1に上書きセーブをした。
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スロット1 ランシード王国宿屋
スロット2 ランシード王国冒険者ギルド
スロット3 空き
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これでよし。
俺達は食堂で昼飯を取ることにした。
ヴィクトリカが頼んだメニューの品々を目を輝かせて見ている。
「よいのか食べて?」
「当然だろ。頼んだんだから」
「豪華じゃな。美味しそうじゃ」
「皆の頑張りのお陰だ。俺こそお礼を言わせてくれ」
「何を言うておる。お主がいなければここまで来れておらぬ」
「そうかな?」
「そうじゃ」
ヴィクトリカが満面の笑みで言う。
それにリア、ラフレア、アリスが同調した。
ああ俺は今幸せだな。
『いただきます』
そう感謝の言葉を言った時、誰かが俺達に文句を言ってくる。
「はっ、高々Bランクに昇格したぐらいで凄いはしゃぎようだな。雑魚共が」
「は!?」
俺達を見下したような発言をするのは一人の冒険者だった。
派手な金髪に耳にピアスをつけている。
高そうな布の服とズボンを着用している。
「誰だか知らないが食事中なんで邪魔しないでくれるか」
「何だその態度。俺が誰だか分かっていっているのか?」
「いや知らないが」
「俺はAランク冒険者のサレンだぞ。お前らとは格が違う」
「だったら何だ」
俺達は面倒くさい態度で距離を取る。
一体俺達に何がしたいんだ?
「お前たちがこのランシード王国の英雄になったのは何かの間違いに決まっている。Cランク風情が英雄になれる筈がねえ」
「別に英雄になりたくてなった訳じゃねえよ。それより食事中何で消えてくれ」
「誰に物を言ってやがる」
そう言って俺の横にあるコップの水を取って俺の頭にコップを逆さまにして水を掛けた。
俺はシャワーを浴びたように髪が濡れる。
「ちょっと何してるのよ」
「ああっ。ちょっと可愛いからって調子に乗るなよ。まあ俺の奴隷になるなら今の言葉も許してやるがな」
「この下種が」
リアが激昂する。
ヴィクトリカも食事を中断していて、睨み付けている。
ラフレアに至ってはフォークを持っている。
アリスは席を立って睨んでいる。
「おお怖い怖い。まあこれで分かっただろ冒険者はランクが全てだって。二度と目立つじゃねえぞ」
「お前こそ人の仲間に無礼な口を開くな」
「ああっ。まだ分からねえのか!!」
俺は持っていた短剣を目の前に突き付ける。
殺気の籠った目で。
サレンは凄くビビって喉を鳴らしていた。
「邪魔だ失せろ。二度と俺達に近づくな」
「ちっ。後悔させてやる」
他の客からも注目を集めたのでサレンは逃げるように消えていく。
ロードして回避しても良かったが、まあ水掛けられたくらいならいいだろう。
「大丈夫?」
「ああ大丈夫だ。悪いな嫌な思いさせて」
「私は全然大丈夫。あいつ凄いむかつく奴」
「まあ気にせず行こうぜ。あんな奴と関わるだけ無駄だ」
俺はアリスに店員から貰ったタオルで頭を拭いてもらった。
全く酷い傲慢な冒険者だったな。
まるでバレッド達を見ているようだった。
「さあ気を取り直して食べようぜ。冷める前に」
「ええ、そうね」
「うむ」
「うん」
「はい」
俺達は頭の中からさっき会ったサレンという男の事を忘れる。
そして美味しく食事を頂く。
食事を食べ終えると同時に警報が鳴った。
「何だ!?」
「何かしら!?」
俺達は急いで食堂を後にする。
♦
サレンはラーク達の前から消えた後、イラついた様子で壁を蹴った。
そして同時にラーク達【ホワイトアリス】を地の底まで落としたかった。
何故自分がここの英雄じゃないのかと。
何故Cランクごと気が英雄になったのだと。
そう思っていた時。国中に警報が鳴る。
「何だ!?」
サレンはバタバタしている警備隊に事情を聞いた。
「この警報は何だ?」
「魔獣ダークドッグが現れました。魔法結界を突き破って」
「魔獣!?」
「急いで非難をお願いします」
その言葉を聞いた瞬間サレンは閃いた。
自分が魔獣ダークドッグを討伐すれば英雄になれると。
そしてこう言いふらせばいいと。
【ホワイトアリス】は腰を抜かして逃げ出した臆病者だと。
サレンはニヤリと笑った。
「俺が退治しよう」
「し、しかし相手は魔獣。並大抵の冒険者では」
「俺はAランクだぞ!!」
「し、失礼しました」
サレンは急ぎ魔獣ダークドッグの下へと向かった。
だがサレンはまだ知らない。
この判断が自身を後悔させることになることを。
【ホワイトアリス】の評判を落とすどころか、自分自身が死ぬことになろうとは。
まだサレンは思いもしなかった。
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