9話 アリスから相談を受けました
夜中寝静まった頃俺はトイレで目覚めた。
相変わらずラフレアの胸が顔に当たる。
というか強く抱きしめられる。
嬉しい半分苦しい半分。
「あれ? アリス起きてたのか」
「ラークさん!?」
「ラークでいいよ」
「じゃあラーク。少し悩んでいて」
「相談に乗る? トイレ行ってからだけど」
「是非お願いします」
トイレから戻った俺はアリスと窓の外を眺めながら会話する。
月が綺麗に見える。
「それで悩みとは?」
「私ヒーラーのままでいいのかと悩んでいます」
「違う職種に興味が湧いた?」
「いえそうではないんですが。ラークがセーブ&ロードをしてくれるので、ヒーラーの意味が無いのかなと」
「俺が居場所を奪ってしまった!? ごめん」
「い、いえ違います。それは絶対にあり得ません。むしろラークが加入してくれて私は嬉しく思っています」
「そうかよかった。嫌な奴に思われてたらと少し怖かった」
「ラークはリアの恩人です。リアは私の親友です。なので親友の恩人のラークはいい人です」
「じゃあ何でヒーラーを辞めるか悩んで?」
アリスは白い布の服を着て月の光を浴びる。
凄く可愛くて見とれてしまった。
「私は一応このパーティーのリーダーですので足を引っ張りたくはないんです。ですのでこのままでいいのかと……」
「いいと思う。俺にはできない事がアリスには出来るから」
「ラークにできない事をですか?」
「ああ。俺は背中の痣を治せないし、痛みも治せない。セーブした場所まで戻ることは出来るけど役割は違う」
「じゃあ私はヒーラーのままでも」
「ああ全然オッケー。もしそれでも不安なら俺を盗賊から守ってくれたように防御や攻撃なども嗜めばいい」
俺の言葉を聞いてアリスは満足そうな顔で笑って見せた。
そして俺の肩にポンと頭を預けた。
俺は心臓が破裂しそうなほどドキドキした。
「ありがとうございます。明日からも頑張りましょうね」
「ああ。まあ今日からだけどな」
「ふふっ、そうですね」
「じゃあ寝るか」
「一緒に寝ます?」
「朝が怖い」
「冗談ですよ」
俺はアリスと笑いながらその夜再び就寝した。
翌日俺達は起きて食堂で安い食事をとる。
「パン一個やろうか?」
「よいのか。本当によいのか?」
「ああ食べたそうにしてるからな」
「では遠慮なく貰うぞ」
ヴィクトリカにパンを上げた。
ずーっとこちらのパンを見つめていたからな。
それにしてもよく食べる。
それでいて太らない。
全ての栄養は胸に行っているようだ。
「これからどうするの?」
「当面の目標はBランクに昇格する事かな」
「じゃあクエストガンガン受注しないとね」
俺達は食事を終えて冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドで面白いクエストを見つけた。
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鬼ゴブリン討伐 銀貨8枚
危険度★★★
待遇 馬車あり
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これはBランクに上がる足掛かりになるかもしれない。
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