第6話 スキル


 『スキル』をタップしたら、普通のスキルではない『ユニークスキル』というのが一番最初に表示された。


「なぬ⁉︎ ユニークスキルじゃと⁉︎」


「え、先輩見せてください!」


 二人は驚きながら俺のステータス画面を覗き見てくる。

 それに驚きつつも、俺はその『ユニークスキル』についてわからないので聞くことにする。


「それで、ユニークスキルって何? 普通のスキルと何が違うの?」


 そのままの意味だとすると、唯一のとかそうゆうスキルだろうか?

 だとしたら、強そうだ。


「この世界は分からないのじゃが、儂の知っておる限り大雑把にいうと『その人だけが使える、普通のスキルよりもめっちゃ強いスキル』じゃな」


「私もそんな解釈です」


 なるほど……俺だけが使えるスキル。

 ユニークスキル『刃神』か。

 どんなスキルだろうか……でも、名前からしてこれ……俺使えない気がする。


「これ、どんなスキルですかね?」


 スキルだけが写った項目をおじいさんたちに見せる。

 それ以外の項目は、『称号』の関係で見せられない。


「ユニークスキル『刃神』か……か、カッコイイ名前ではないか!」


 おじいさんがスキル欄を見て興奮している……。

 うん、カッコいい名前だよね。

 でもね、俺はどんなスキルか知りたいの。


「先輩、スキルの詳細なら詳しく見たいスキル名をタップすれば見れますよ」


「そうなのか、ありがとう」


 スキル名をタップしてみる。

 タップすると、スキル欄の上に別な……パソコンでいえばウインドウが開き詳細を教えてくれる。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ユニークスキル 『刃神』


 武器を司る神がスキルと化した。

 世界で一番武器に愛されているものに発現する。

 どんな武器でも使いこなすことが出来るが、刃のついた武器はより強化を受ける。

 レベルと共に性能もアップする。


主な効果

 ・武器の切れ味上昇

 ・武器装備時、身体能力の上昇

 ・あらゆる武器を初めてでも使いこなせる。

 ・刃付きの武器はついていない武器に比べて補正強化。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「「「えぇ……」」」


 これを読んだあと、俺たち三人はこのスキルの性能について唖然とした。


「これ、いいじゃないですか! 先輩! 取りましょう!」


 そんな中、梨花さんが興奮した様子でスキルを進めてくる。

 さ、さっきまではなんかよそよそしかったのに、この話になった途端グイグイくるなぁ……。


 でも、俺はこのスキルを取ったとして、扱いきれない。


「俺、このスキルは使えません……」


「なんでじゃ? これほどのスキルがあれば、外でもよほどのことがない限り大丈夫じゃろう?」


 おじいさんの言う通り。これがあれば、外のモンスターにも対抗できるだろう。

 だけど、俺は無理だ。

 だって──


「俺、実は刃物恐怖症なんです。刃が付いたもの全部が……怖いんです」


 武器……そうなると当然剣や槍などが当たり前だろう。

 だけどそれらには刃が付いている。


 今カバンの中に入っている包丁だって、怖い。

 包丁を使えない俺は簡単な料理しか作れないんだ。


「そ、そんな……」


 それを聞いた梨花さんが驚いた顔をしている。

 こんなスキルを持っている奴がそのスキルを使えないなんて、馬鹿げてるよな。


「そうじゃったのか……それなら、別なスキルを取ることになるんじゃが……」


 おじいさんはそこで気まずそうな顔をした。

 なんだろう? 別なスキルを取ると何かあるのかな?


「えっと、先輩。最初のスキルの選択では『ステータスポイント』……ステータスの表示だと『SP』というものが消費されなくて、それ以降……二個目までは消費されなくて、三個目から結構な『SP』を要求されるようになってしまうんです。それに、ここで選ばなかったスキルを後で『SP』で取得しようと思っても、それが出てくるかは分からないんですよ……どうもこの時でしか取得できないものがあるらしくて……」


 なるほど、だからここで選択しなかったら後で普通のスキルとは違って、膨大な『SP』が必要になるか、最悪もう取得できないかになるわけか……。


 どうしよう……俺は刃物が怖い。こんなスキルが現れても正直困る。

 でも、強いスキルだ。

 おじいさんとかだったらこのスキルを上手く使うんだろうか?


「冬哉よ、そう悩むでない。このスキルの説明には『あらゆる武器を初めてでも使いこなせる』とも書いておる。つまり、武器は刃がついた武器じゃなく、打撃武器でもいいってことじゃ」


 確かに、言われてみるとそう書いてある。

 それに、他のスキルを見てみるが、戦闘系のスキルは見る限り『投擲』と『格闘術』だけ。

 それを考えてみると『刃神』を取ったほうがいいんではないか?


 流石に、『格闘術』を使って素手でモンスターを殴り倒したくない。


「わかりました、一つ目のスキルは『刃神』で……あとは何を取りましょうか?」


 残るスキルは『調理・投擲・格闘術・精神強化・ストレス耐性・恐怖耐性』。

 『調理』のスキルはいらないと思うから、残るは五つ。


「そうじゃのう……儂としてはあのモンスターと戦って生き残らないといけないと考えると、『精神強化』か『恐怖耐性』じゃのう……」


「そうですね……私もその二つですね。でも、『恐怖耐性』はなんか取るの躊躇いませんか? 格上の相手に恐怖心を持たなくなったらと思うと……」


「確かにそうじゃのぉ」


 なるほど、確かに俺も選ぶならその二つだと思っていた。

 だけど格上相手に恐怖心を持たなくなったらと思えば怖いな……無謀なことはしたくない。

 そうなると、『精神強化』が無難だな。


「じゃあ、取るのは『刃神』と『精神強化』にしますね」


 俺はそうして二つのスキルを選択し、確認で出てきた『はい』をタップする。

 

『ユニークスキル『刃神』を取得しました』


『スキル『精神強化』を取得しました』


 タップした瞬間、脳内で一番最初に聞いたあのアナウンスと同じ声が聞こえてきた。


「取得できたようじゃの。それじゃあ職業じゃが……」


 改めて職業を見てみる。

 俺が取得できそうな職業は……『冒険者』『見習い剣士』『盗賊』だろうか?

 この中で俺がなりたいと思えるのは……。


「俺、冒険者にしようと思います」


 『見習い剣士』はなんか剣に関する職業そうだし。なにより剣って単語がついている。

 いや、俺の『刃神』のスキルのことを考えればこの職業でもいい気がするんだが。


 そして『盗賊』。これ、なんか犯罪臭すごいし。俺ゲームとかやんないから分からんけど、盗賊って俺には悪い奴という認識しかないし。


「ほう、いいじゃないかの」


 『冒険者』を選んだ理由は、無難そうだから。これだけだ。

 ほかにもいろんな職業があったけど、ネタ職が多かった。

 無職とかもうネタだろ。


 俺は『冒険者』をタップ。『JP』が10pt減るみたいだが、正直『JP』って職業でしか使えないからここで使ってしまっても問題がないそうだ。


『職業『冒険者』に変更されました』


 職業が変わったことで変化は無し。

 うん、今すぐ変化が起きるわけでもないしな。


「職業が選択し終わったようじゃな……さて残る問題は『SP』のことになんじゃが……」

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