第25話 小学校へ
俺が小学校に行くこととなった次の日の朝。
配給された乾パンと水を体の中に補充し、集合場所となっている校門前に集合した。
「よし、みんな準備はできたか? 行くぞ」
時刻は大体午前十時ごろ。
ここに集まった俺を含めた六人はそれぞれ自分の武器を持って集合していた。
俺の武器は昨日ホブゴブリンから得た綺麗な片手剣。
俺の隣にいる二十歳くらいの男の人が持っているものは、金属バット。
俺の目の前にいる二十台後半あたりだろうか? そんな今野さんよりも若そうで、バットを持っている人よりも歳をとってそうな人は、ゴブリンが使っていたボロい槍。
その他どちらも今野さんと同じ位の歳の人二人は、ゴブリンの片手剣を持っている。
そして、今野さんを見てみる。
今野さんの持っているものは無し。
だが、手の甲を覆うようなグローブを身につけている。
「あの、今野さんの武器ってなんですか?」
思わず今野さんに聞いてみる。
その言葉に今野さんは振り向くと、自分の手を見てこういった。
「俺の武器はこの己の拳だ。武器を持ったとしても冬哉くらいの綺麗な片手剣ならいいが、あのボロい剣とか慣れない槍とかを持つよりも自分の拳で戦った方が安全だと思うんだ」
確かに。あのボロい剣はいつ壊れるか分からない。
昨日の戦闘中だって何度もホブゴブリンの攻撃を受けて折れた。
槍だって、使い方すらわからない。刺すだけしか俺はできないし、何よりボロい。
普通に折れそうだ。
そんな武器を使うよりも、今野さんの拳で戦うっていうのは安全かもしれない。
今野さんを先頭に、俺たちはゆっくり小学校へと向かっていく。
途中、モンスターの気配が『気配察知』のスキルでわかったが、今野さんも分かったみたいで、すぐに今野さんはそのモンスターを撃退した。
撃退したのはオオカミのモンスター。
ここに来る時に見かけた奴だ。
そのモンスターを、今野さんはパンチ一発でノックアウトさせた。
いや、パンチ一発といっても威力がおかしかった。
今野さんが振るった拳はオオカミの頭部に直撃し、その頭部はそのままコンクリートに叩きつけられて爆散した。
文字通り、爆散である。
オオカミの頭部は原型がなくなり、コンクリートには穴が開いた。
どんなステータスをしていればコンクリートを砕くことができるんだろう?
「はぁ……一応ステータス上げてきたけど、俺の出番あるか? これ」
昨日のあの会議の後、俺は戦闘で得た『SP』をステータスに振り分けた。
どんなステータスにしようか迷ったが、俺が戦闘で感じたことをそのまま形にした。
その結果、ステータスはこうなった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
名前:トウヤ ミカミ
年齢:16
種族:人族
職業:冒険者 Lv.3
Lv.9
HP 20/20
MP 100/100
STR 35 (+10)
DEF 31 (+10)
INT 19 (+10)
AGI 41 (+10)
DEX 20 (+10)
LUK 68
SP 0
JP 6
ユニークスキル
・刃神 Lv.1
スキル
・精神強化 Lv.2
・危険察知 Lv.1
・気配察知 Lv.1
称号
・地球の加護
・人殺し
・ジャイアントキリング
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ステータスの職業欄を見ていると、思い出す。
昨日までの失態を。
昨日、ステータスをいじる前まで職業のレベルは全く上げていなかった。
理由は存在を忘れていたため。
そして昨日。ようやく職業レベルを上げたのだ。
職業レベルを上げた結果、変化したことは……。
なんと、全ステータスに補正がかかったのだ。それも10も!
この補正はデカイ。
レベル2でも補正が5あった。これさえあれば、もう少し楽にモンっスターを狩れたのでは? と思ってしまう。
その他にも、変わったことはあった。
取得可能なスキルが増えたのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
取得可能スキル
・調理 (50)
・投擲 (50)
・格闘術 (50)
・ストレス耐性 (50)
・恐怖耐性 (50)
・索敵 (50)
・地図作成 (50)
・採取 (50)
・罠設置 (50)
・罠解除 (50)
・挑発 (50)
・夜目 (50)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
正直、職業を侮っていた。
こんなにもスキルの種類が増えるなんて。
夜目というスキルは是非とも欲しいものだ。暗い中の戦闘は結構怖い。
これがあれば暗いところでも見えるというからとても助かる。
だけど『SP』がまた五レベル分必要……。
レベルを上げて、また職業レベルが上がると新しいスキルが増えると思うと、『SP』が全く足りない。
「ウオラァ!」
目線をステータスから外して前を見る。
また今野さんがモンスターを殴り殺している。
ていうか、気配察知にモンスターの反応がなかったんだけど……今野さんスキルのレベルアップでもしてる?
まぁ、スキルのレベルアップといえば、俺の『精神強化』もレベルがアップしているんだけど。正直、これがあるおかげでスプラッターな光景も見れる。
モンスターは今野さんに任せていようか。
他の人たちを見て見ると、今野さんがモンスターを倒すところを見ているだけ。
みんな暇そうだ。
「それはそうと、この称号……強いな」
そう呟きながら見るのは新しく手に入った称号。
この称号には『人殺し』と同じく効果がある。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
称号『ジャイアントキリング』
自分よりレベルが20高い生物を殺すことによって発現する。
自分よりもレベルが高い相手に対してステータスに補正。
ただし、相手の強さによって補正値は変わらない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
自分よりも格上か。
あのホブゴブリンは俺よりもレベルが20も高かったんだな。
我ながら、よく勝てたなと思う。
今なら、一番最初にあったあの『鬼』に遭遇しても、勝てるんじゃないか……?
ステータスを消して前をみる。
どうやら、小学校まで後少しというところまで来ていたらしい。
それにしても、早いな。
やはり今野さんのヒットアンドアウェイが強いんだろう。
いや、ヒットアンドアウェイじゃないな。撤退してないし。
じゃあなんだ? ……あ、サーチ&デストロイか。
「ウオォォォォ!」
そう考えながら、進んでいると小学校の方から人の物ではない雄叫びが響いてきた。
その雄叫びは、離れているこちらでも地震かというほどに響き、揺れる。
この雄叫びは……やばい!
明らかに昨日のホブゴブリンよりも強いだろう。
それに声量からして巨体だ。
急いで向かわないと!
今野さんを見ると、険しい目をしている。
そして、こちらを見て言った。
「お前ら……急ぐぞ!」
「「「はい!」」」
今野さんが先頭を猛スピードで走る。
その後ろを俺は走り、その他の人たちはどんどん突き放されていく。
敏捷にSPを振っていないのか。
だけど、後ろを向いている暇はない。
今は早く小学校に行ってあの雄叫びを上げたモンスターを倒さねければ!
そして、俺と今野さんは小学校へと急ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます