第二章
プロローグ
「はぁッはぁッはぁ……なにッこいつ!」
少女が、走っている。
明るく金色に染まった髪をポニーテールにしている少女だ。
服装はやけにスカートの短い制服。
それだけをみると、遅刻しそうなギャルのようにも見える。
しかし少女は、何かに追いかけられていた。
おかしい。自分は学校に登校している最中だったのに。
少女は思う。
なんでこんなことに自分は巻き込まれなくてはならないのだ? と。
思えば、今日はおかしなことがたくさん起きる。
夢で、太陽が黒い雲に覆われた光景を見た。
その後、ついさっき全く同じ光景を自分は見た。
夢で、自分は緑色をした超不細工な子供に追いかけられた。
少女は今、緑色をした超絶不細工な子供のような生き物に追いかけられている。
宙に浮かぶ、不思議な板も見た。
すぐに消えてしまったけど、なんだろうか。
でも……
(おかしい……)
(おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい……!)
夢だ。
きっとこれは夢。
今自分に起きていることも、今周りで起きていることも。
全部、夢なのだ。
少女は横を見る。
そこには、今追いかけられている緑色の生き物に襲われている人がいる。
追いつかれると、自分もそうなる。
そして、少女は後ろをチラリと見る。
後ろから、緑色の子供が追いかけてくる。
その手には、剣を持っている。
あの剣は本物だ。本物を見たことがないけれど、なぜかそう思ってしまう。
あの剣に当たって仕舞えば、一体どうなるのだろう?
死ぬ? それとも、この夢が終わる?
夢が終わるなら……当たってみてもいい。
だけど……。
(痛いのは……嫌だな)
そう思うと、一瞬頭が痛くなる。
その一瞬で、脳内にひしぎな映像がクッキリと映し出される。
(何……これ)
その映像でも、自分は走っている。
だが、その映像の自分は路地に入り、物陰に隠れた。
映像に今追いかけてきている生き物が出てくる。その生き物は自分が隠れた場所を過ぎて行った。
今の脳内に現れた路地は、もうすぐ先にある。
自分も同じことをやれば助かるのだろうか?
少女の脳内は先程の映像と、今日起きた出来事でいっぱいだ。
(よし、やろう)
そして少女は先ほど出てきた路地を曲がり、映像の通りに動くことを決めた。
物陰に隠れ、息を潜める。
自分は映像と同じようにやった。だから大丈夫。と、少女は自分に思い込ませる。
足音が聞こえる。
靴を履いていなく、素足で追いかけてきたアイツだ。
その足音は、自分が隠れている場所まで走ってきて……通り過ぎた。
足音が聞こえなくなるまで息を潜め、聞こえなくなると思いっきり息を吐く。
「行った……よね? ……全く、どうなってるのよ……コレ」
そうして少女は暗い路地で一人、空を仰いだ。
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