第4話 氷華のステータス


「氷華、前方にモンスター」


「ん」


 自転車で車の何も走っていない道路を走り、目的地のホームセンターへと向かう。

 この自転車は俺のママチャリだ。倉庫から引っ張り出しちゃんと点検してから乗っている。

 俺が漕ぐ担当で、後ろに座っている氷華がモンスター殲滅係だ。


 氷華の実力は結構ある方だ。

 だが、本人はMP以外のステータスを全く振っていなくその他にはスキルにしか振っていない。

 氷華のステータスを見せてもらった時は驚愕した。


 それがこのステータスだ。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 名前:ヒョウカ コオリ

 年齢:16歳

 種族:人族

 職業:見習い魔法士 Lv.4


 Lv.13

 HP 10/10

 MP 310/310 (+40)


 STR 6

 DEF 6

 INT 13 (+40)

 AGI 5

 DEX 12

 LUK 79


 SP:0

 JP:8


 スキル

 ・MP回復力強化 Lv.2

 ・魔法威力上昇 Lv.1


 称号

 ・地球の加護


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 完全に魔法特化である。

 見事に他のステータスに何も振っていない。一桁がある。


 ただ、MPが俺よりも多いのとスキルに『MP回復力強化』と『魔法威力上昇』があるだけでとても火力は出ている。


 今だって目の前に現れたゴブリン三体を一瞬にして氷の柱で串刺しである。


 それにしても、『見習い魔法士』はレベルが上がるとMPとINTが上がるらしいな。

 上昇値が俺の冒険者よりも多い。

 まあ俺の『冒険者』は全てが上昇するからな。


 長距離で魔法の撃ち合いとかしたら俺は間違いなく負けそうだ。

 いや、まず俺に長距離を狙える魔法がないから論外か。


「あ、レベル上がった」


 考えていると、氷華のレベルが上がったようだ。

 って、こいつ放置してたらまたMPにSPを注いでしまう! それだけは避けなければ!


「おい氷華! 今回はMP以外に振れ!」


「もうMPに振り終わった」


「おいぃ!」


 こいつ、意地でもMP極振りにこだわるのか⁉︎ このままだとこいつ一人だけになった時心配だぞ?

 防御力低いし、素早さもない。

 ただ魔法に特化しているだけだなんて。


「それと、職業のレベルが最大になったから上位職選べるようになった」


「え⁉︎」


 自転車を止め、後ろを見る。

 確かこいつの職業レベルは4だったはず。

 レベル5で最大だと?

 俺の『冒険者』のレベルは現在……現在?


 あれ? 俺ステータスを最後に見たのいつだっけ? 確かオーガを倒してその後見たけど……あれが最後?

 そうだ……あの後結構大変だったからステータス見ることなんて忘れてた。


「それで? 上位職は何にした?」


「見習い魔法士の上位職は魔法士……だけ」


 あー確かに。魔法士だったら賢者とかなんかあると思うけど、見習いだもんな。魔法士一択か。


「なるほどな。それで? ステータスになんか変化あったか?」


「まだ変更してない……変更するためには、JPが10必要みたい」


「あーそうなのか。まあ職業選択する時だって10JP取られたもんな。取られない方がおかしいか」


 そうなると、職業のレベルが上がってもそれから5レベル上げないと職業を変更できないのか。

 あれ? そういえばマスターになくても職業って変更できるのか? それに、変更したら補正値って無くなるのか?

 それは後で考えるか。


「ん、だけど職業マスターボーナスとして50SPとスキルもらった」


 まじか。マスターするとボーナスとかあるのか。

 俺も見習い魔法士だったら今頃マスターしてたんだけどな。

 冒険者って何レベルでマスターなんだろうか?


 それにしても、マスターでSP50とスキルか。

 これって見習い系全てマスターしたら結構SPとかスキルとかもらえるのかな?


「そのSPもまたMPに振るんだろ?」


「ん、今更他に振るよりも特化させた方いい」


「そんなもんか?」


 んーそんなもんか。

 なんかあっても魔力で強化すればいいだけだもんな。

 俺だって魔力で強化してモンスターと戦ったし。

 こいつの場合結構MPあるからしばらく使っても尽きないだろう。


「そう。魔力でカバー」


「そうか……あ。モンスター」


「了解」


 俺が氷華の後方にモンスターが歩いているのを発見。

 今回はオオカミだ。

 しかし、そのオオカミは氷華がオオカミの足元に出現させた氷の柱で腹を貫かれる。


「瞬殺かよ……」


「ん」


 魔法強すぎだろ……。いや、氷華が強いのか?

 普通の魔法士を見たことがないから……いや、ダンジョンに桐崎さんが連れて行った人たちは魔法士かな? それなら断然氷華の方が強いな……。

 ていうか。氷華があの二人の代わりにいた方があのモンスターの大群はもっと早く片付いたかもしれない。


「少し休憩するか」


 自転車を降り、近くの路地に入って階段に座る。

 そして、俺はステータスを開いた。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 名前:トウヤ ミカミ

 年齢:16歳

 種族:人族

 職業:冒険者 Lv.5


 Lv.26

 HP 40/40

 MP 100/100


 STR 50 (+20)

 DEF 46 (+20)

 INT 19 (+20)

 AGI 61 (+20)

 DEX 30 (+20)

 LUK 68


 SP:60

 JP:22


 スキル

 ・精神強化 Lv.2

 ・危険察知 Lv.2

 ・気配察知 Lv.2

 ・MP回復力強化 Lv.1


 ユニークスキル

 ・刃神 Lv.2


 称号

 ・地球の加護

 ・人殺し

 ・ジャイアントキリング

 ・殲滅者


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「6上がったか……刃神のレベルも上がったし、称号も増えている」


 今までの戦闘で上がったレベルは6。

 あのモンスターの大群と、中学校にいたゴブリンの群れを狩ったんだ。

 上がらない方がおかしいだろう。


 それにユニークスキルの『刃神』のレベルが上がったことは非常に嬉しい。

 効果を見てみると、より刃物を使うときに補正がかかり、切れ味も上がるという。

 そして身体強化も今までよりも補正がかかる。


 うん、控えめに言って最高だ。


 それと新しく増えた称号を見てみよう。

 新しく増えたのは『殲滅者』。

 この称号はあのモンスターの大群の時か、ゴブリンの時。どちらだろうか?

 心当たりがありすぎてわからないな。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

称号『殲滅者』

 一人で五十体以上のモンスターを狩った者に出現する。

 多数のモンスターとの戦闘時、身体能力に補正がかかる

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 この称号は結構いい感じだな。

 たくさんのモンスターを相手にする時とてもありがたい。


 さて、それじゃあこのSP何に振ろうか……。

 その前にJPで職業レベルを上げるか。


 俺は12JPを使って『冒険者』のレベルを一つあげる。

 スキルは今の所取らなくてもいいだろう。


 それよりも、今はステータスの値をあげよう……と言っても、いつも通りあげるのは決まってるけどな。

 などと思いつつ、俺はステータスを上げていく。


 その横では、氷華が魔法で遊んでいたのだった。

 

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