第7話 割り振り


「『SP』ですか?」


 おじいさんが難しい顔をしている。

 どうしたんだろうか?


「『SP』の項目をタップしてみてくれないかの? その方がわかりやすい」


 そう言われタップしてみる。



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 SP

『ステータスポイント・スキルポイント ステータスの数値を上げることができる。(LUK以外) ポイントを支払うことでスキルを取得できる。 レベルアップ時に増える』

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 これは……ポイントをどう振るかとても考えさせられる内容だ。

 ステータスに全部振った場合、スキルが取得できない可能性もある。

 逆にいえば、スキルを取得するとステータスが足りなくてモンスターに苦戦するかも。


「これは参ったの……『SP』はレベルアップ時に増えるって書いておるが、増える量が書いておらん。『SP』で取得できるスキルをみたが……どれも消費ポイントが高いんじゃ」


 俺はそれを聞いて自分は『SP』で何を取得できるのだろうと思い調べてみる。



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 取得可能スキル

 ・調理 (50)

 ・投擲 (50)

 ・格闘術 (50)

 ・ストレス耐性 (50)

 ・恐怖耐性 (50)

 ・索敵 (50)

 ・地図作成 (50)

 ・危険察知 (50)

 ・気配察知 (50)

 ・採取 (50)

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 一つ取得するのに50SPか……。俺の現在のSPは116。

 ふたつ取ってしまえば、残りは俺の歳と同じ16ポイントしか残らない。


「そういえば、おじいさんも100使えば歳の数になりますよね? この端数ってもしかして歳の数だけ増えていくんですかね?」


 おじいさんは163ある。俺と同じ100を使っても、残り63ポイントが残る。

 これが年の功か。


「そうじゃろうなぁ、お主らよりも儂の方が強くなれるのぉ」


 そう言いながら、おじいさんはホッホッホと笑う。

 確かに、俺よりも40くらい多いとユニークスキルの有無なんて関係ないかもしれない。


「私は一つだけ取りましょうかね?」


 梨花さんが俺とおじいさんに取ろうとしているスキルを見せてくる。

 それは『魔力操作』。なんでも、魔力を操作することができるらしい。


 これなら魔法を使えるようになるかも?


「いいんじゃないですか?」


「そうじゃのう……回復魔法がどんなものかは分からんが、使える人がいた方がいいじゃろうな……コツさえわかれば儂らも使えるかもじゃし」


「それじゃあ取ってみますね」


 梨花さんはそう言ってステータスを操作する。

 うーん。俺はどうしようか……。

 そういえば、モンスターってどれくらいの強さなんだろう?


 そう思いスマホを取り出して調べようとする。

 だが──


「あれ? 電波ない?」


 スマホを見るが圏外になっている。

 地下だから電波届いてないのかな……?

 そうだろうな。うん、そうだと信じよう。


「あー……冬哉よ。インターネットは使えなくなったぞ」


 おじいさんが俺にそう言ってくる。

 だが、俺はそれを信じない。


 だって、インターネットがないと助けとか呼べないし、情報も入らないじゃないか。

 そんな状態……もう終わったに等しい。


「嘘……ですよね?」


 冗談であることを願いおじいさんをみるが、残念ながら首を振られてしまった。

 何も情報が入らないのは困る。


 外がどんな状態かわからないじゃないか。


「残念ながら、本当じゃ……お主を助けたあん時、儂は外でインターネットが使えるか試していたのじゃ……地下室も最初は使えてたんじゃが、急に使えんくなっての」


 そうだったのか……もう、その時から使えなくなっていたのか。

 でも、それがなかったら俺はあのモンスターにやられていただろうから……なんだかなぁ。よかったような、よくないような。


「それじゃあ、ステータスの割り振りとかどうしましょうかね……モンスターの強さとか、正直わからないですし」


 分からないと、安全に生き残れない。

 俺はおじいさんよりも『SP』が少ない。

 だから下手にスキルを取ってしまったらステータスが足りなくて、モンスターに殺されてしまうかもしれない。


 それに、俺は梨花さんみたいに魔法を使えるわけでもない。

 魔法が使えないなら、ステータスこそが全てだ。

 

 『刃神』とかいうユニークスキルがあるが、それでも簡単には信じることはできない。


「そうじゃのう……でも、まだインターネットが使えてた時に見れたモンスターの動画を見る限り、そうステータスが離れてそうでもなかった気がするんじゃが……」


 おじいさんがそう呟く。

 確かに、緑色の小人とか紫色の小人くらいなら少ししか離れてなさそうだ。

 そう考えると、スキルを一つくらい取得してよいのではないか?


 そこまで考え、俺は来る時に見てしまった『鬼』のことを思い出した。


 あれに、スキルを取らないで『SP』を全部ステータスにつぎ込んだら勝てるだろうか?


 いや、勝てそうにない。明らかに、緑色の小人よりも格上だ。

 レベルを上げないと勝てないだろう。


 そうなると、俺が今できることは……。


「俺は『危険察知』取ることにします。危険はできるだけ早く察知して避けた方がいいですから」


 50ptを使って危険察知を取る。

 正直、痛いが仕方ないだろう。これで危険が察知できて避けることができるんだ。

 安全にいこう。


「おぉ、いいじゃのう。それじゃあ儂はそうじゃのう……『気配察知』を取るかの。他は全部ステータスに振るとして」


 

「私は完全にヒーラーなので『魔力操作』だけ取って、あとは『MP』とか『INT』に振ります。『STR』とかは一応最小限で」


 三人で、俺たちはじっくりと話し合い、ステータスの数値の割り振りをどうするかについて話し合う。


 そして、一時間経った頃だろうか? 俺たちのステータスはついに決まった。

 まぁ、ほとんど俺のステータスについて話し合っていたんだが。


 俺のステータスは、最終的にこうなった。



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 名前:トウヤ ミカミ

 年齢:16

 種族:人族

 職業:冒険者 Lv.1


 Lv.1

 HP 10/10

 MP 100/100


 STR 28

 DEF 27

 INT 15

 AGI 33

 DEX 14

 LUK 68


 SP 0

 JP 0


 ユニークスキル

  ・刃神 Lv.1


 スキル

  ・精神強化 Lv.1

  ・危険察知 Lv.1


 称号

 ・地球の加護

 ・人殺し


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