第13話 避難所へ
あれから、俺たちは長い中学校までの距離を慎重に進んでいった。
大きな通りはなるべく避けるように少しずつ中学校に向かっていく。
「そういえば、先輩ってさっきレベル上がったんじゃないですか?」
家の影に隠れている時、そう梨花さんが言った。
確かに、レベルが上がったってアナウンスが響いてたな……。
「そうだったね、今確認してみる?」
ちょうど今は物陰に隠れているし、ちょうどいいだろう。
周りを見るが、モンスターはいない。
本当はモンスターがいないから普通に道路を歩きたいんだが、梨花さんが安全を第一にと言って、モンスターがいない時でもこそこそするようになってしまった。
「そうですね……朝食も食べていなかったので一緒に済ませちゃいましょう」
梨花さんがリュックを下ろし、中から食料を出す。
その間に、俺はステータスを頭の中で考え目の間に出現させる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
名前:トウヤ ミカミ
年齢:16
種族:人族
職業:冒険者 Lv.1
Lv.2
HP 10/10
MP 100/100
STR 28
DEF 27
INT 15
AGI 33
DEX 14
LUK 68
SP 10
JP 2
ユニークスキル
・刃神 Lv.1
スキル
・精神強化 Lv.1
・危険察知 Lv.1
称号
・地球の加護
・人殺し
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変わったところは……レベルが上がったことと、『SP』と『JP』がそれぞれ10と2増えたことくらいか。
「はい、先輩……これどうぞ」
そうして渡されたのは水とたまごサンドだ。
賞味期限を見ると今日となっている。
しかし、地下室にそんなものは無かったと思ったけどな……。
そう考えながら梨花さんを見ると、リュックに目がいって納得する。
「あぁ、俺が持ってきたやつか」
焦りすぎてて何を入れたのかよく覚えていていなった。
菓子パンを見ると、それは学校に持っていくはずだったたまごサンド。
あぁ、とても美味しそうだ。
「ところで、ステータスどうでした?」
梨花さんが俺のステータスを覗き見ようとしてきた。
やばい! 絶対に見られてはいけないものがある。
「いや! 特に何も変わったなかったよ!」
そう言って慌てて隠すと、梨花さんは驚いたような目をして俺を見た。
そりゃあ、驚くか。
ステータス見ようとして慌てて隠すんだもんな。怪しさ満点だ。
「? なんでステータス隠すんです?」
この反応は当然だ……さて、どうやって隠すものか。
本当のことを言う勇気はない。
いつか、話そうとは思うんだが、ここで言ってしまって関係が崩れてしまうのが恐ろしい。
「いや、ちょっとね……そ、それよりも! レベル一つ上がって『SP』が10。『JP』が2増えてたよ!」
俺がそう言うと、梨花さんは疑わしく俺を見る。
そして、ため息をついた。
「まぁ、いいですけどね。先輩にも秘密の一つや二つくらいあるでしょうし……それよりも、『SP』は予想通りでしたけど、『JP』は少ないですね……」
よかった……でも、いつかは言わないとだよな……俺が、人を殺したことがあることを。
それにしても、『SP』は予想通りってこれじゃあスキルをなんにも取れないじゃないか。
『JP』に関しては同意だけど、そもそも『JP』って何に使うんだ?
「そういえば『JP』って何に使うんだろう? 前は職業を取るのに使ったけど、また職業取れるの?」
そうだとしたらいくら副業ができるんだろうか?
まぁ、仕事としてじゃないから給料は発生しないけど。
「そうですね……説明を見てみると、職業のレベルは『JP』を使ってじゃないとあげれないらしいですよ」
タップすれば説明を見れるのを忘れていた……。
というか、職業のレベルを上げるには『JP』が必要なのかよ。
じゃあ、職業をあげるのにはどれくらいの『JP』が必要なのだろう?
そう思い職業をタップしてみると、レベルアップに必要なのは4JP。
次レベルアップすれば職業のレベルを上げられるようだ。
「大丈夫だよ。レベルアップに必要なJPは4らしいし」
「そうなんですね……ところで、その10SPどうしますか? 50ないと新しいスキル取れませんけど……」
んーどうしようかな? ステータスをいじるのも悪くないけど、ゴブリンと戦ってみた感じそれほど苦戦しなかったしな。
スキル取るために保留にしておくか。
「今回は何もしないことにするよ。ゴブリン相手した時に苦戦しなかったし、他のモンスターと戦ってみて決めよう」
もしこれで強いモンスターと戦ってしまったら終わりだが、そこは俺の危険察知(Lv.1)が仕事をしてくれることに期待しよう。
もし、次戦うとしたら紫色をした方の小人だな。
「そうですね……みてた感じ普通に戦っても勝てそうに感じましたし……ユニークスキル使えばもっといけるはずなのに……」
後半の言葉が心に刺さる。
大ダメージだ。
精神強化のスキルがあってもダメージが。
仕方ないだろう。刃物を持つのが怖いんだから。
俺が人を殺した道具って包丁なんだぞ……あれから頭に染み付いて刃物全般が持てなくなったのだ。
「そうだね、早く刃物恐怖症を克服しないと」
引き攣った笑顔でそう言ってしまった。
梨花さんに、人を殺して刃物恐怖症になってしまったって言ったら、一体どんな反応をするんだろうか。
『え……先輩、人殺しだったんですか……? しかも、自分は生きてて勝手に刃物恐怖症になるとか……最低ですね』
などと言われてしまいそうで怖い。
本当に、いつ言えばいいんだろうか。
「そうですね! 治ってくれたら百人力ですけど、あまり焦らなくていいですから!」
笑顔で梨花さんがそういうが、騙して一緒にいる俺としては、その笑顔にとても罪悪感を覚えてしまう。
「そうだね……それじゃあ、もう行こうか」
朝食のたまごサンドを食べ終わり、水を少し飲む。
綺麗な水は希少だ。節約しなければ。
「はい、行きましょう!」
梨花さんがリュックを背負う。
さて、あと少しで中学校だが……はぁ、中学校にはいい思い出があまりないな……。
そう思いながら、少し重くなった足取りで俺たちは中学校へと向かったのであった。
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