キルケニーキャットと災厄獣

ある日突然現れた、爬虫類の頭、獣の胴、鳥の手足を持つ化け物────災厄獣。
災厄獣を狩り、街の人々を守る守護兵の珠野美夜子は、ある日の巡回中、災厄獣に追われる少年を救助した
彼は保護施設で暮らしていて、『成人の儀式』のために災厄獣が蔓延る荒野に放り出されたのだと言う。
美夜子も保護施設の出身だった。十二年前の『成人の儀式』を生き延び、彼女は守護兵になった。
子供の頃は無力だった。誰も助けてくれなかった。誰も信じてくれなかった。
大人になった美夜子は、子供の頃には出来なかったことをしようと、足掻いている。