第41話 新学期系TSっ娘
今回はいつもより長めです。
――――――――――――――――――――
バレンタインから早くも2ヶ月近く経ち、遂に新学期を迎えることとなった。
「真治、今日からボクたち先輩だよ!」
「そうだな」
「だから先輩として真治がボクのモノであることを見せびらかすんだ!」
「おい」
そうしないと余計な羽虫が真治に纏わりついちゃうかもしれないからね!
羽虫は纏わりつく前に殺虫剤で殺しておかないと!
「それよか大丈夫なのか? クラス別けあるんだぞ?」
「大丈夫だよ。ボクが真治とラブラブなことは学校にいる者なら誰でも知っている一般常識! これを突き放そうなんてする者はどこにもいない! だから、ボクは必然的に真治と同じクラスなのさ!」
◇◇◇
「う、ううっ……真治ぃ、どうして……」
遠い、遠いよ真治……1組と3組って、こんなのあんまりだよ……
「授業中にイチャついてるからよ」
「こんな
「酷い言われ様ね……」
ボクが机に水溜まりを作っていると愛菜が慰めてきた。
そんなものは要らないから、早く真治と一緒にさせて……
「はい、みんな。席に着いて!」
「キッ!」
今年の担任であろう女性教師が教室に入ってくると、ボクは女性教師を睨んだ。
ゆるさない……! こいつがボクと真治を離れさせたんだ!
「えっと……如月さん? とりあえず落ち着こうか?」
「先生、千尋にそんなことはできませんよ」
「絶対ころちゅ!」
噛んだ。
ピリピリした教室がちょっと和んだ。
「こ、これ授業中に抱いてて良いから許してくれない?」
と言って先生が何処からか出してきたのは等身大真治の抱き枕だった。
そして、先生はそれをボクに押し付けてきた。
こ、こんなものでボクが許すとでも思ってるの!
「はふぅ……」
「「「(それで良いのかよ!)」」」
真治柔らかいよ……まるで真治の真治を抱きしめてるみたいな感触がする。ちょっとこの感触は興奮するね。授業中に1人で楽しんじゃいそうだよ。
今日は軽いガイダンスだけで解散なのですぐに終わった。
「真治帰ろォーッ! 正妻が迎えに来てあげたよ!! ……え?」
ガイダンスが終わって速攻で真治をお迎えにあがると、真治は女子のスカートの中に顔を突っ込んでいた。
「おい、そこの女。ボクの真治に何をしてるの? 言っとくけど真治はお前のパンツや毛むくじゃらの
「おい千尋!? 誤解を生みそうだから余計なことは言うなッ!」
「だったらさっさとこっち来てよ!」
いつまでもそんな知らない女のスカートの中に隠れられちゃボクだって苛立ちを隠せないよ!
「は、ハレンチよッ! お、女の子が公衆の面前でお、おお……んことか言うなんて!」
顔を真っ赤に染めながらボクをハレンチ呼ばわりした黒髪の女。
正直に言おう、この状況で本当にハレンチなのはどちらなのか?
真治にパンツを見せびらかしているお前はハレンチではないと言い切れるのか。
説得力が皆無すぎて言葉が出ない。
「ちょっ!? 千尋!?」
でも手と足は出るから、このどうしようもないお猿さんは取り返しておこう。
「帰るよ、真治」
「ちょっと! 待ちなさいよ!」
「ボクの真治に、二度と手を出さないで」
「――――――っ!?」
ボクはそのまま真治を引っ張り、教室をあとにした。
場所は変わって体育館倉庫。ボクはそこで真治を正座させて、事情聴取を行うことにした。
「で、なにか言い分は?」
「…………」
真治は黙っている。
話しにくいのかもしれない。でも、黙られてても困る。
「あのさ、ボクだって感情の1つや2つあるんだよ。きちんと説明してくれないとあの女に加減できなくなるよ」
「……怒らないか?」
「ボクが怒るようなことしてるの?」
真治の問いかけにボクが質問で返す。
それからしばらく真治は黙っていたが、ボクが待ち続けているとようやく口を開いた。
「実はクラスでお前の話が出てさ」
「ボクの?」
それがどうしてスカートの中に顔を突っ込むことに繋がるの?
「『あのロリっ娘可愛いよなグヘへ』とか言うから思わず殴ったら殴られてしまい、そのままスカートの下にインした所でお前が来てな……俺が男子たちによく教えてなかったからこんなことになっちまったわけだし……」
「真治……」
どうしよう、嬉しすぎる。胸どころか下の方までキュンキュンする。ちょっと抱きついても良いかな? 良いよね?
「千尋? 泣いてるのか?」
「うん……」
「俺が悪かった、ごめん」
「そうじゃないよ、ボクは嬉しいんだよ。ボクのためにやってくれたことなんだから……真治、少し抱きしめて」
「ああ」
真治がボクのことを抱きしめてくれた。
真治は温かくて良い臭いがする。この臭いはボクをダメにするよ……
しばらくボクと真治は互いに抱きしめ合って時間を過ごした。
「……ありがとう、そろそろ帰ろう」
「ああ、そうだな」
真治は立ち上がって帰るために倉庫の扉へと向かう。だが、真治が扉の前から動かなかった。
「どうしたの? まさか開かない何て定番が起きるわけないでしょ?」
「……その、まさかだ」
「え?」
真治はボクの元へ戻ってきた。
どうやら扉が開かないっぽい。
どうしよう、ボクたち閉じ込められちゃった。
「真治」
「なんだ?」
「あのね……」
この状況だとスゴい言いにくいけど、言うしかないよね。
「ボク、トイレ行きたいんだ……」
「マジかよ」
どうしよう、さっきからずっと我慢してたから本当にヤバいんだけど。
「一応、ペットボトルならあるが」
「無理でしょ」
ボクは普通の男と違って相棒がいないんだよ?
どこからどんな感じで出るかとかイマイチよくわかってないし、ミスしちゃう未来しか見えないよ。
「し、真治が飲んでくれれば……」
「その発想はおかしくないか!?」
「仕方ないじゃん! ボクだって恥ずかしいけど、それしか思いつかないんだもん!」
あっ、ちょっと漏れた……
う、ううっ……ぼ、ボク、本当にどうすれば良いの……?
こんな所でお漏らしなんてイヤだよ。恥ずかしいよ……
「千尋、安心しろ、こんなこともあろうかと実験室から『ろうと』を拝借してある」
そう言って真治はカバンから『ろ過』の実験で使う実験具を取り出してきた。
そ、そんなもの、いったいどこから!?
「どうしてこんなもの持ってるの!? あ、あとでちゃんと聞くからね! ちょっと借りるよッ! あっち向いてて!」
「別に俺たち毎晩エッチしてるような仲だし良くないか?」
「恥ずかしいからやだッ!! 早くあっち向いてッ! あと、耳も塞いでて!」
「はいはい……」
真治が後ろを向いた後、ボクは空のペットボトルに『ろうと』をセットしてしゃがみ、そのための準備をする。
えっと、こ、こうで良いのかな……?
も、もうどうにでもなれッ!!
◇◇◇
スッキリしました。体育館倉庫でスッキリしました。
このおしっこボトル、早く捨てたい。これは負の遺産だよ……
「真治、聞いてたよね?」
「いいえ」
「聴こえてたよね?」
「……すいませんでした」
「~~~~~~~~~~~~ッ!!!?」
「ぐはっ!?」
あまりの羞恥心に耐えきれず、真治の胸に頭から突っ込んだ。
「ボクだけ恥ずかしい、真治も」
「え?」
「ほら真治も!」
「そんな急に言われても出ないぞ」
「じゃあ搾り出してやる!」
「おいそれは違うえアーーーーッ!!!?」
汚い効果音と一緒に真治のおしっこ(笑)が解き放たれた。
若干ボクにもかかったけど、恥ずかしさは紛れたような気がする。
ちょっとこの生臭い手、洗って来よ……
扉に手をかけて右に引くと扉が開いた。
「…………あれ?」
鍵、かかってなくない?
ボクが真治の方を見ると真治はフイッとボクから視線を逸らした。
もしかして、真治はボクと体育館倉庫でシたかったのかな?
「それならそうと言ってよ、真治。ボクならいくらでも付き合ってあげるよ」
ボクもやってみたかったことだったし、それに体育館倉庫でやるなら体操服プレイの方が楽しそうだからね。
「そうか! なら――――――」
「けど、今日はもう遅いし早く帰らないと先生たちに怪しまれちゃうから、また今度ね」
「……そうか」
ボクに言葉を遮られてシュンとする真治にキュンと来てしまったのは秘密だ。
「さっ、帰ろう。今日はたらこスパゲッティだよ!」
「そっか、あれから1年経ったんだな……」
「そうだね、あっという間だったね」
「ああ……」
そういえば1年前もたらこスパゲッティだったね。あのときは真治が作ってくれたんだっけ?
真治の料理、最近食べてないなぁ……今度頼んでみようかな?
ボクはそんなことを考えながら真治と手を繋いで、愛の巣へと帰るのだった―――――
「なあ、このペットボトルどうする?」
「今すぐ捨ててよッ!!」
今日は真治に負かされた!
いつもはボクがリードしてるのに!!
――――――――――――――――――――
・一口メモ
実際に『ろうと』を使用する時は水の勢いに気を付けましょう。
特に実験器具の『ろうと』は壁に付けないと一滴ずつしか落ちない仕様になっているので、すぐに溢れ出して大惨事になります。
まあ、携帯トイレを持参していればそんな心配は不要なので、『ろうと』を常備するぐらいなら、携帯トイレは常備するようにしましょう。
ちなみにペットボトルは
TSっ娘ちゃんは親友くんをおとしたい! ~目指せ、六畳一間のイチャイチャ共同生活♡他の女は近づけさせたりしないよ?~ 名月ふゆき @fukiyukinosita
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