第10話 ド田舎で尻尾生やす系TSっ娘


 ゴールデンウィーク!!


 それは、ボクと真治に与えられた1週間のイチャイチャ期間である!! この1週間でボクと真治は一気にゴールインする!!!



「実家に帰るわ」

「じっか?」


 真治の家、ここじゃなかった? 両親海外だし、実家なんて無くない?



「祖父母の家な。昔、千尋も愛菜と一緒に来ただろ。あのド田舎だ」


 ……? うーん、覚えてない……


「あの時食べたスイカは上手かったよな。千尋がスイカで愛菜の頭を殴った時はどうなるかと思ったけど、爺ちゃんの光が全てを照らしてさ!」

「……ああっ!! 思い出した! ワックス爺ちゃんか!!!」



 いやーすっかり忘れてたよ。あの輝きを忘れるだなんて、ダメダメだね。ボクと真治の初心を忘れてたよ!


「(爺ちゃんたち、今の千尋見たらどう思うかな?)」





 ◇◇◇




「というわけで田舎キタァーーッ!!!」

「騒ぐな。うるさい」


「え? 喘いでないよ?」

「お前の耳どうなってんだよ」


 ねこさんみたいに可愛い耳でもしてるんじゃないかな?


「ソレ、爺ちゃんたちと会う前には外せよ」

「えー? やだー」

「おい」

「だってコレは第1話から毎日つけているボクのアイデンティティーだよ! それを奪って済むと思ってるの!?」


「知らんわ! というか毎日!?」



 え? 今さら? 学校行った時も映画デートの時もずっとつけてたよ?

 もしかして――――――!?



「耳だけじゃ印象が薄かったよね。ちょっと待ってて、今尻尾つけるからッ!!」

「そんなことは聞いとらんわ! というか何で尻尾持ち歩いてるんだよ!?」


 そりゃ、真治くんのお望みプレイがあるなら老人が数人住んでる程度のド田舎だし、外でも中でも好きなプレイをさせてあげようかなーって思ったからで……



「つけたよ!」

「テープかよっ!?」

「え? ご主人様がお望みなら別にお尻の穴でも……」

「お前少し黙れ」



 ちょっとモジモジしながら言うと真治に制された。

 すると1台のトラクターがこちらに向かって走って来るのが見えた。



「「え? トラクター……?」」



 車じゃないの?



「おお真治、待たせたな。随分大きくなりおって……ん? 千尋ちゃんか。随分可愛らしくなったものよのぉ……どうじゃ? ウチの真治と結婚してみるかの?」



 ……ん? 誰と……? 真治とボクが?



「爺ちゃん! からかうのはやめろって! 千尋だって困ってるだろ!」

「フォッフォッフォッ……あながち冗談でもないんじゃがな。ほれ、さっさと乗らんか」



 ボク、リアルでその笑い方する人初めて見たよ……でもさ――――――



「ったく、爺ちゃんは相変わらずだな。

 千尋、乗るぞ…………千尋?」

「えっ? あっ、うん。ごめん!」



 他人から実際に真治と結婚とか言われると恥ずかしいね……

 そういえばこの人、ボクのことを女として認識してたけど、真治が何か言ったのかな?



「(あれ? 爺ちゃんには千尋が来るとしか言ってないんだが……?)」


「(千尋ちゃんもあの頃と比べて随分可愛らしくなったの。あの頃は男の子みたいな服装しておったのに、今はこんなに可愛らしい服を着おって……真治には勿体ないぐらいじゃな。婆さんに言って、協力してやるとでもするかの。

 ワシたちが曾孫を抱く姿が目に浮かぶわい!)」



 真治のお爺さんがボクのことを最初から女として認識していたことをボクと真治は全く気づかなかった……




 ◇◇◇



 トラクターで移動すること二時間。ボクたちは真治の祖父母の家に着いたのだった。




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