第24話 真治成分補給する系TSっ娘
翌朝、目を覚ますとそこにはボクのカッコいい夫である真治……ではなく、ただの幼馴染みである愛菜の姿があった。
「ちっ」
「折角の朝チュンをやってあげたのに舌打ちとは失礼な」
別に頼んでないし。さっさと着替えて真治と学校行こ。
「真治ならもう学校行ったよ。部活だって」
「……?」
あれ? 真治って部活入ってたっけ? 覚えてないなぁ……にしても妻であるボクを放置して先に行くとは良い度胸してるじゃないか。仕方ない、ここはボクが真治の身体に叩き込んであげないと。
「そうと決まれば学校だ!」
「じゃあ早く着替えようねー? 遅刻するよー?」
ワンピースを脱ぎ捨て、
「なにそれ……あとで教えて」
「やだ」
ワンピースを鞄に入れてそのまま家を出る。そして、早歩きで学校へと向かい真治の待つ教室へと直行する。
「真治ぃいいいいッ!!」
「うわっ!? なんだ、千尋か……おはよ」
「おはよぉー真治抱っこ」
「ったく、しょうがねーな」
真治に抱き上げられて膝の上に座らされる。やっぱりここが一番落ち着くね。真治の臭いもするし、最高……
「なんか良い匂いがするな。どうしたんだ?」
「えへへー、いいでしょー」
「うちの高級シャンプーを使わされたのよ」
勝手に使ったんでしょ。使わせたみたいに言わないでよ。
あっ、美少女がこっち来た。近づかせないようにしないと!
「がるるるるるるる……」
「あら、可愛いワンちゃんね。モチーフキャラに添ってるのかな? って、モチーフキャラは狼さんだったねぇー?」
「黙って帰れ」
久しぶりにセリフを与えられたからって調子乗ってんじゃねーぞ。ボクが本気を出したらてめぇなんか灰も残らねぇぞ。
「ねえ岡崎くん、今日さ如月ちゃんを借りて授業受けても良い?」
「ボクは行かないよ!」
「ああ、いいぞ」
「ありがとう!」
なんでー? ボクの話聞いてた? ボク行かないって言ったよね? ちょっ!? おいコラ! 美少女! ボクを抱き上げるな! そんなことをしても良いのはボクの愛しの
「お前ら席につけー……おお如月、今日は立花の上か」
「誠に不本意ながら」
「そうか、仲良くしろよ」
無理でございます。ボクから旦那を寝取ろうとするようなヤツとは仲良くなりとーございません。
それから授業が始まり、ボクは美少女の上で授業を聞いてノートを取る。
「……ちょっとノートどけてくれる?」
「やだー」
ボクを真治から突き離した腹いせに授業の邪魔してやる! ボクはこれでも高校1年生で習うことは編入試験の勉強で静流さんから習った。
だから授業内容は全て把握している。ボクがすることは美少女のノート上にノートを置いて落書きをすることだ。
さて、何を書くか……真治? いや、美少女に真治を想像させるわけにはいかない。なるべく面白いものを描くんだ!
例えばそう、マッスルとか――――!
「(表情がコロコロ変わって面白い……そうだ!)」
◇◇◇
授業が終わり、ボクは美少女から逃げて真治にすがり付いた。
「真治ぃ~、結婚しよ」
「いきなりどうした?」
「……さみしかった」
「そうか」
真治がボクの頭を撫でてくれる。
やっぱりボクは真治から離れることはできないね。1日離れることすらできなかったよ。
「真治、ボクの中の真治成分が足りないよぉ……真治ぃ、もっとちょーだい、ボク、もっと真治が欲しいのぉ……」
「おおお前言い方を考えろ!」
激しく動揺しながらも真治はボクに注意をした。確かに教室中から冷たい視線が真治に集まっている気がする。ボクが真治の膝によじ登って抱きつき、真治成分を補給していると美少女がこっちに来た。
「岡崎くん、あとでノート写させてくれる? 近くの喫茶店で奢ってあげるから」
「千尋が迷惑をかけたなら、俺が払うよ。放課後な、いいぞ」
「ありがとう!」
「えっ!」
うそ、正気……!? 美少女め……授業中やけに静かだと思ったが、まさかそんなことを考えていたとはな! 甘く見ていた。かくなる上は!
「千尋、お前は先に帰っててくれ」
「……どうして?」
「お前がいると何を仕出かすかわからないか……ら――――」
「ひっく……」
「ウソ泣きもいい加減にしとけ」
ウソ泣きじゃないのに……
「真治のバカぁ!」
ボクは教室を飛び出して走り去ってしまった。
「あーあ、真治が女の子泣かせた、いけないんだー」
「理解が追い付かないんだが」
「千尋が暴走しないうちに収めなよ」
「何を収めるんだよ」
「ちん、ちん?」
「ヤメロ!」
◇◇◇
……ついカッとなって家まで帰ってきてしまった。
荷物も財布以外は学校に置いてきちゃったし、午後の授業もサボっちゃったし、なにより放課後真治と美少女が喫茶店に行くことが決まっちゃったし……
「とりあえず着替えよ」
そしたら喫茶店で待ち伏せでもして脅かしてやろ。
そこで真治とイチャイチャするんだ……
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