番外編

第38話 クリスマス系TSっ娘



 あれから2ヶ月ぐらい経った。あの日から美少女は学校に来なくなった。何があったかは知らないけど、これでボクから真治を奪い去られる危機は去ったというわけだ。



「だから結婚しよ」

「待て、意味がわからん」



 えー? わかるでしょ? 邪魔する者が居なくなったんだから、ボクたちの結婚を拒むものが消えたってことなんだよ。

 だから新しい邪魔者が現れる前にボクたちが結婚をするってこと。OK?



「結婚しようよぉ!」

「年齢的に無理だわ!」

「じゃあ法律変えてくるから結婚しよ!」

「マジでやらかしそうだからヤメロ!」



 えー、じゃあ真治はいつになったらボクと結婚してくれるの? あまり長い間待たされちゃうと真治を襲っちゃうよ?



「じゃあ就職したら! それでどうだ!」

「えー……」



 それって何年先の話をしてるの?

 二年? それとも六年? 六年なんてボクは待てないよ?



「俺が就職すれば新しい家を買ってやれるから夜とか配慮しなくて良いし、子供が産まれても窮屈な生活をしなくて済むぞ?」



 真治と新しい家でラブラブ過ごす……うーん、確かに悪くないんだけど、早く結婚したいし……



「条件を飲んでくれたらクリスマスに二人で何処か出かけるつもりなんだけど……飲んでくれるか?」

「う、うん……」



 思わずボクは首を縦に振ってしまった。

 そ、それを駆け引きに出すのはズルいよ!

 そんなの絶対釣られちゃうじゃん!



「ありがとう、じゃあ明日はクリスマスデートだな?」

「うん!」



 ◇◇◇



 翌日、ボクは真治とイルミネーションが綺麗に見られる商店街までやって来た。



「真治! こっちこっち!」

「慌てるなよ」



 今日のコーディネートは以前真治が買ってくれた白いセーターと水色のコートに自分で買ったショートパンツとタイツ、そして真治が選んでくれた可愛いブーツでクリスマスデート! なんと素晴らしいことに雪が降ってる! ホワイトクリスマスだよ! スゴい!



「千尋、クリスマスプレゼントだ」

「ありがとう! 開けてもいい?」



 ボクが真治からプレゼントを受け取って開けても良いか聞くと真治は笑顔で頷いてくれた。

 ボクは箱についたリボンをほどいて箱を開けた。



「うわぁ……!」



 箱の中にはピンク色の手袋が入っていた。手袋を箱から取り出して早速つけてみると、冷えきった手がとても暖かく感じた。



「ありがとう真治、大切にするね! ボクもプレゼント用意してあるから帰ったら渡すね!」

「ああ、楽しみにしてる」

「じゃあ行こっ!」

「そうだな」



 ボクと真治は手を繋いで大きなクリスマスツリーがある所まで向かった。


 えへへ、真治へのプレゼントはボクが真治のいない隙にこっそりと作ったんだ。完成したのが昨日だったから早めに準備しておいてよかったよ。



 それからクリスマスデートを満喫して家まで帰ってきた。



「ん? どうした?」

「ちょっと待ってて」



 ボクは押し入れの中に忍び準備しておいたものを取り出してそれに着替える。クリスマスと言えばこれしかない。



「真治! サンタさんだよ!」

「かわいい……」

「ふぇっ!?」



 サンタコスを真治に見せると真治は見惚れたかのような反応を見せてきた。

 そ、そんな煽ててる感がないような言われ方で褒められると恥ずかしいよ……!



「は、はい! クリスマスプレゼント!」

「あ、ああ……ありがとな。開けても良いか?」

「もちろん!」



 真治は箱を開けて中身を見ると驚いた表情をした。



「これ……千尋が作ったのか……?」

「うん! 真治に似合うと思ってね! 結構苦労したんだよ?」

「すげぇな……」



 真治が見たのはボクが手編みで作ったマフラーだ。もちろん、ただの手編みマフラーではない。マフラーの目立たない場所に小さなボクと真治がイチャイチャしているマークを刺繍したのだ。やり方は愛奈に教えて貰った。このマーク作るのに多くの糸が無駄になったことをよく覚えてる。



「じゃあケーキ持ってくるね!」

「ケーキまであるのかよ」

「七面鳥もあるよ!」

「マジか」



 ボクと真治が結ばれて以来初めてのクリスマスだからね! 嬉しすぎて手が止まらなかったんだよ!



 夕食を食べ終えて今日はボクが先にお風呂へと入らせて貰った。

 というのも、今日はやることがあるのだ。



「じゃあ風呂入ってくるわ」

「うん、わかった」



 真治がお風呂に入ったことを確認するとボクは服を脱いで押し入れに隠していた赤いリボンを取り出す。

 そう、アレだ。プレゼントはわたしっていうヤツ! 一度で良いからやってみたかったんだよね!



「……あれ? 結構難しいね……」



 それから戸惑いつつも、なんとかリボンを結び終えてベッドの上で待機する。

 ……少し寒いね。というか真治遅い。そろそろ出てきてくれても――――


 ふとお風呂場の方を見ると真治がこちらをジッと見ていた。



「うひゃあ!? い、いつから!?」

「えっと……千尋がリボンで苦戦してる辺りから……」



 ずっと苦戦してたよ。っていうことは真治はボクが頑張ってリボンを結んでる所を見てたってこと? うっわ、恥ずかしい……! で、でもこの際だから言わせてもらうよ!



「し、真治!」

「な、なんだ?」

「ボクが本当のクリスマスプレゼントだよ」



 恥ずかしくて顔が熱くなる。これってこんなに恥ずかしいことだったんだね……

 でも真治はスゴい興奮してた。服も着てなかったし、真治の真治は立派だったし、準備満タンという感じだ。



「プレゼントだもんな、貰わないと失礼だもんな。じゃあ、ありがたくいただくとするか!」

「きゃー♪」





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