第39話 お正月系TSっ娘




 クリスマスも終えて大晦日が過ぎた。



「あけましておめでとう、真治」

「あけおめ、今年もよろしくな」



 ……え? それだけ?



「初詣は?」

「寒いから遠慮する」



 えー! なんで!? どうして!?

 こんなに可愛い彼女がいるのに初詣に行かないの!? もしかしてボクが着物持ってないから行く気になれないの!?



「着物買ったら行ってくれる?」

「寒いから断る」

「……暑くなったら行くの?」

「なるわけがないだろ……ってまさか!」



 フフフ、気づいたようだね。けど、もう遅い!



「ボクが温もりで暑くしてあげるんだよ!」

「や、ヤメロぉ! アーーーーッ!!!」



 このあと滅茶苦茶熱くなりました。



「熱くなりすぎたね」

「夕方だな」

「うん……」



 けど、楽しかったからいっか♪



「真治、キスちょうだい」

「ん? ああ……」


「んっ……」



 真治との行為後は必ずキスをしてもらう。これは終わりの合図でこれ以上はやらないよという意味が込められている。

 そう、込められているのだよ。けど、なんだか身体が熱くて、まだ真治を求めてる……朝から夕方までヤったのにまだ満足してないだなんてこれじゃあまるで変態じゃないか。


 落ち着け、ボクはそこまで落ちぶれてはいない。そんなメス墜ちなんてあるわけがないだろ!



「……千尋? まだ足りないのか?」

「え?」



 気がつけば下半身に手が伸びていた。真治に呆れられたような目で言われたような気がして恥ずかしい。

 もしかして、変態さんだと思われたかな?



「なにが欲しいか言えばあげてやるけど?」



 うっ……真治、そういうのはズルだよ! ボクが今までそういうのを嫌ってきたのは知ってるよね!? あくまでボクは真治を黙って犯して真治を気持ちよくしてあげるだけでそこにボクの気持ちいいは関係ないって考えてきてたんだから!



「いらないのか? いらないならしまっちゃうけど?」

「…………ください」

「え? なんて? 聞こえないな?」



 ひどいよっ! ちゃんと聞こえてるでしょ!? これ一応全年齢対象なんだよ!? そんなこと大声で言えるわけないでしょ!?


 確かに最初の頃はちんちんちんちん言ってたかもしれないけど、あの頃は幼稚園児が言ってるようなものだったから良かっただけなんだよ!

 今言うと意味合いが変わってくるからダメなんだよ!



「ほら、もう一回言ってみろよ」

「おち……れてくださいッ!!」

「仕方ねぇな……全く、朝からやってたのに満足してないとか、とんだ淫乱幼女だな?」

「い、淫乱じゃないもん!」

「やめるぞ?」



 ボクは無言のまま首を横に振った。これ以上は墓穴を掘るだけのような気がするから黙秘権を行使するのだ!



「弟くん! そろそろ終わったか……な? あっ、失礼しましたー」

「ちょっ!? 違うから! 静姉待って!」



 真治が何処かへ行こうとするから、ボクは真治を逃がさないためにそのまましがみついた。真治にはボクの感触がモロに伝わったみたいで再びベッドへと舞い戻った。




 翌朝――――



「へくちっ! まさか新年早々1日も外で放置されるとはさすがのお姉ちゃんもビックリよ……」

「それはごめん」

「あんまやりすぎないようにね。千尋ちゃんだって見た目通りの体力しかないから、気絶しちゃうよ?」

「ああ……今度から気をつける」



 真治と静流さんの視線がベッドの上で気絶しているボクへと向かう。

 実際、真治としてる時は気持ち良すぎてすぐに飛んじゃうからほとんど意識なんてないんだよね。

 つまり、真治はボクをオ◯ホのように扱ってるというわけで……そう考えると興奮するね。



「う、うーん……? 真治、おはよぅ……」

「ああ、おはよう、静姉が来てるぞ」



 ……? ああ、そういえば昨日来たね。



「初詣行かない? 1日遅くなっちゃったけどさ」

「初詣!? はい! 行きます!」



 ボクは急いでお風呂へ行って身体を洗い流してメイド服へと着替える。



「じゃあ行こうか!」

「はい!」

「真治も行くよ!」

「お、おう……」



 真治、静流さんには逆らえないんだね。そんな真治も可愛いよ。



 というわけでやって来た初詣!



「真治! おみくじやろ!」

「あとでな、まずはお詣りだろ?」

「そうだったね」



 お賽銭箱にお金を投げ入れて二拍する。



 真治とボクが離れませんように、邪魔者が現れませんように、もし現れてもすぐに消えますように、真治とボクが永遠に幸せに暮らせますように!

 神様であろうと真治に手だししたら許さないんだから覚えておいてよ!

 真治のためならてめぇごときボコボコの串刺しにしてマグマで焼いてやんからな! 覚えてやがれっ!


 ボクは真治と手を繋いでおみくじの方へと向かった。



『な、なにあの娘……こ、こわい……!』



 ボクの心の声を聴いた神様が怯えてることなんて、ボクたちは知る由もなかった。



「わっ! 大吉だって! 真治は!?」

「末吉だな」

「普通だね」



 静流さんは……あれ? 静流さんはどこに行った? もしかして、ボクたちを気遣って何処かに行っちゃったのかな? まあ、いっか。せっかくの気遣い、ありがたく受けとるとしよう。



「ねえ真治、今晩何にしよっか?」

「そうだな。焼き鮭にでもするか!」

「焼き鮭かぁ……いいね! そうしよう!」



 ボクと真治は手を繋いで家へと向かったのだった――――――




――――――――――――――――――――

【あとがき】


 一応これで終わりになりますが、また戻ってくる可能性がありますので、そのときはよろしくお願いします。


 ここまでご愛読いただき、ありがとうございました。


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