第26話 林間学校に参加する系TSっ娘
美少女から勝利をもぎ取ってから1ヶ月が過ぎたある日のこと。今日もボクたちは学校へと通い、真治とイチャイチャしながら授業を受けていた。
「……え? 林間学校?」
「聞いてなかったの?」
愛菜の話ではこの学校では10月の始めに林間学校があるらしい。二泊三日の修学旅行みたいなものだろう。これはつまり真治と同じ部屋になってイチャイチャな夜を過ごすことができるっていうフラグだよね?
「ボク真治と同じ部屋が良い!」
「男女別だから」
「……っ!?」
なん……だと……っ!?
「そんなに驚くことなの……?」
それから先生に必死の説得をしたけど、その意見は聞いて貰えず、ボクは真治と突き放されてしまった。代わりに行動班は全て一緒にして貰った。
そして、数日があっという間に過ぎ、林間学校当日となった。
「真治、早く行くよっ!」
「メイド服を脱げ」
「え? 全部脱げ? 真治もずいぶんイヤらしくなったねぇー」
「そんなこと言ってねえよ! いくら私服だからってメイド服を着るな!」
いや、だって私服なんてマトモなの少ないし……というか八割はメイド服とかだし。残りの二割だって
「つまり真治はボクに服を着るなと言いたいんだね……わかったよ。みんなにもそうやって説得するから……」
メイド服に手を掛けると真治がそれを止めるかのようにボクの手を掴んだ。
「俺が悪かったからやめてくれ」
「真治が望むならいくらでも脱いであげるけど?」
「……やめてくれ」
今ちょっと想像したでしょ。真治もむっつりさんだね!
「ほ、ほら! 早く行くぞ!」
「あっ! 待ってよ!」
◇◇◇
集合場所である学校へとたどり着くと、教師たちの案内によってバスへと乗り込んだ。
「真治の上がいい!」
「勘弁してくれ……」
そういえば真治はバス酔いする派だったね。真治が横でゲロを吐こうがボクは気にしないっていうか、むしろかけられたいぐらいなんだけど、真治が辛そうだから我慢しよう。
その代わりにベッタリとくっ付こ!
「じゃあ横にする!」
「そうか、ありがとな」
真治から頭をポフリと撫でられる。そうそう、ボクはこれを求めてたんだよ……
「千尋、横座るね」
「美少女は窓際ね」
「…………」
通路を挟んだ向かい側の二席に愛菜と美少女が座る。美少女はヤケに素直に見えるが、その瞳は真治のみをイヤらしい目付きで捉えていて、若干不機嫌そうにも見えた。
でもボクからみれば負け犬の遠吠えって感じだけどね! もし真治に手を出そうものなら美少女は地獄行きだよ!
「真治ぃ、撫でてぇー?」
「まったく……ほらよ」
真治に頭をワシャワシャと撫でられる。
「えへへー、ありがと」
「お、おう……」
さて、とりあえず猫耳でもつけようかな?
猫耳セットアップ!
猫耳をつけると担任がバスへと乗り込んで来て、バスガイドのオバサンのもと、ボクたちは学校を出たのだった――――――
◇◇◇
あれから小一時間ぐらい経ち、ボクたちのバスはトイレ休憩のため、高速道路のパーキングエリアに立ち寄っていた。
「真治、アイスが売ってるよ! スゴく目立ってるね!」
「お前の方が目立ってるけどな。というかその服で近寄るな、俺まで変な目で見られるだろうが」
「え~、別に良いじゃん。類は友を呼ぶって言うし」
「お前とだけは同等に扱われたくないな!」
……そうだよね。ボクと真治はメイドとご主人様っていう関係だもんね。一緒に扱われたくないよね。
「わかりましたよ、ご主人様。ここでは影ながら見守っておいてあげますよ」
「……悪かったからご主人様はやめてくれ、ちょっとトイレ行ってくるわ」
「ご一緒します」
男子トイレへと行こうとする真治に同行しようとすると後ろからやって来た愛菜に抱えられて女子トイレの方へと放り込まれた。
「公共の場でそういうことすると変な男たちから狙われるわよ!」
愛菜からのお叱りを受けた。
確かにボクは真治が相手だから良いと思うだけでそこら辺の男を性的対象には見たくない。そんな男どもに汚されたら真治に顔向けできなくなる。それだけはイヤだ。
「ごめんなさい、反省してます……」
「あら素直、てっきり『それも本望だ!』とか言うと思ったのに」
「ボクってそんな変態なイメージ?」
いくらなんでも偏見でしょ。相手が全員真治なら言うかも……いや、絶対言う。
「というかせめて猫耳は外しなさいよ、トレンド入りしてるじゃないの!」
「え? マジ?」
愛菜がスマホの画面を見せてくるとトレンド一覧があって、そこの一番上には『猫耳メイド幼女』というワードが書いてあった。
ネットのトレンドがボクとかこの国終わってるね。というか拡散早くない? この国ロリコン多すぎじゃない?
ちょっと本当に気をつけないと誘拐とか痴漢とかされるかも……
「怖いから真治に泣きすがってくる」
「いや、本末転倒ッ!」
愛菜に止められたのでボクは渋々バスへと戻ったのだった。
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