第15話 如月ちゃん装備系TSっ娘
思わぬところで結ばれてしまったボクと真治は連休も終わるということで、真治のアパートに帰ってきた。
そして、その翌日。真治が学校に行くのを見送ると1人の客人が来た。
ボクのことを色々と手助けしてくれた真治の姉。静流さんだ。
「千尋ちゃん、真治は?」
「学校行きましたよ?」
「そう、ちょうど良かった。ちょっと中に入るね」
静流さんには上手く行ったという連絡をしてあるので、既に恋人関係であることを知っている。
「じゃあ、ちょっとコレに着替えて」
そう言って静流さんが取り出したのは真治が通っていて、ボクが通う予定だった高校の女子生徒用の制服だった。
「え?」
「ほら、早く着替えて。変更が必要なら準備しないといけないから」
まさかと思いながらも聞くことは出来ず、そのままメイド服から制服へと着替えた。
「どうですか?」
制服に着替えたら静流さんに見せる。
自分でもかなりダボっとしてるのがわかった。
「サイズはあとで測るね。……やっぱり色を変えましょうか」
静流さんは1枚の紙とペンを取り出し、制服の完成図っぽいものを描いてボクに見せてきた。
「制服の名前は『如月ちゃん』よ!!」
制服こと、如月ちゃんのデザインを見せてきた静流さん。ボクはそっと疑問に思ったことを口にした。
「それって、アズールレ―――――」
「気のせいよ! これは制服!!」
ボクが言いかけた言葉を塞ぎ、制服だと言い張った。
「え? どうみてもアズールレ――――」
「気のせいよ! わかった? これは学生服『如月ちゃん』よ」
静流さんから放たれる謎の圧に勝てず、ボクは小さく頷いた。
でもアレさ。何度見てもスマホアプリの如月ちゃんじゃない?
「なに?」
「いえ、なんでもないです」
◇◇◇
それから数日後、静流さんはサイズを整えた制服(通称、如月ちゃん)を持ってやって来た。
「サイズもピッタリね。はい、黄色い帽子」
「幼児じゃないからッ!!!」
黄色い帽子だけは断固として拒否した。それは小学生みたいな幼児だけがつける物であって、高校生のボクがつけるものではない。
「でも制服改造って平気なんですか?」
「如月ちゃんなら大丈夫よ」
「今ナチュラルに如月ちゃん言いましたね」
静流さんはボクから目を逸らした。
そして、静流さんは何度か咳払いをしてきちんと説明を始めた。
「校長は私の手中にあるからね。千尋ちゃんのことは伝えておくから、気にしないで平気よ。転入は二学期だからそれまでに勉強しておいてね。はいっ、これ教科書」
ボクの目の前に大量の教科書が積まれた。
「で、これが体操着。こっちが水着で体育館シューズ、革靴、リュック、筆記用具……」
目にも止まらぬ速さでどんどん積まれていった。
ボクと真治の愛の巣である六畳1間の部屋が少し狭くなった気がする。
「じゃあ、勉強頑張ってね。私はこれで」
「あ、あの!」
帰ろうとした静流さんを呼び止めた。
「ありがとうございます。でも、どうしてここまでしてくれるんですか?」
「んー? 昔っから『この二人さっさと付き合っちゃえよ!』って思ってたからかな? じゃあね。引き続き真治をよろしくね」
ボクの顔が熱くなっている隙にアパートを出て行った静流さん。
ボクにはあの人の考えがわからないよ……
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