3話 中学の同期
学校が始まる前日。俺の現状を報告する人がまだ三人いる。そのため電話をかける。
「正明。今日時間あるか?」
「大丈夫だぞ。どうした? 失恋でもしたか?」
「失恋はしてない。大事な話があるんだ。岩下と橋本も呼ぶ予定」
「橋本が来ても大丈夫なのか? まあ俺は大丈夫だけどよ」
「じゃあ2時間後に中学校前集合ってことで」
「了解」
次は岩下に電話をする。
「岩下今時間大丈夫?」
「大丈夫だよ! 突然どうしたの?」
「すこし話したいことがある。もし呼べるなら橋本も読んでもらえないかな?」
「あいつは大丈夫だと思うよ。いつも暇人だしね。私も話したいことあったし!」
「了解。じゃあ2時間後に中学校前に集合ってことでいいか?」
「うん!」
岩下と会う。岩下と会うのは文化祭以来。お互い気まずい状態だったけど、時間が解決してくれた。橋本と会うのは緊張するけど、うじうじしているわけにもいかない。1つずつ俺の気持ちを解決していこうと思う。2人と会うための支度をして家を出る。
15分前に中学校に着く。すでに橋本がついていた。
「久しぶりだな」
「久しぶり。一ノ瀬」
「いじめていたことを許す気はないけど、もう気にしてないからそんな顔するなよ。今回は俺が呼んだことだしさ」
「あぁ。それでなんで俺を呼んだんだ?」
「岩下と正明が来たら説明するよ」
「わかった」
5分ぐらい沈黙していたら、正明が来る。
「あっぶねー」
「集合時間通りだから大丈夫!」
10分ぐらい遅刻して岩下が来た。
「ごめん。遅れた」
「気にしないで。俺が突然呼んだんだし」
「うん。それより純は早かったんだね。いつもは遅刻してるのに!」
「...」
「じゃあみんなで話せる場所にでも行こう」
「オッケー」
「わかった」
4人で近くのファミレスに入る。まず何を話そうか迷った。でも後に回していたら絶対に言うのがきつくなるから、最初に言うことにする。
「記憶が戻った」
みんな呆然としながら俺の方を見てくる。すぐに橋本が話しかけてくる。
「本当なのか? 小学校の時に遊んだ記憶とかも戻ったのか?」
「あぁ。思い出したよ。小学校の頃は純って呼んでたのに記憶を失ってからは橋本って呼んでいたら、お前も変な気持ちになるもんな。本当にあの時はごめん」
「中学になってからはごめん。取り返しのつかないことをしたことはわかっている。でも接すればいいかわからなくて...」
「いじめられてたことを許す気はないよ。でもそれ以上に小学校の時は親友と呼べる友達だったから報告させてもらった」
「あぁ」
俺と橋本の話を正明と岩下は黙って聞いてた。俺たちの話が終わったところで岩下と話し始める。
「おめでとうって言った方がいいのかな? でも私とか鈴木は小学校の時の大輔を知らないから特に何ってことはないんだよね」
「そうそう。お前はお前。記憶が戻ったところで、戻る前のお前と変わるわけじゃない」
「そうだな」
全員に俺の現状を報告した。後3年早く記憶が戻っていればこのメンバーで中学校生活も楽しくやっていけたのかなって考えてしまった。でもそれはもしも話。中学の時の俺がいなかったら岩下や正明とは友達になれなかったわけだし、今が一番。
俺と橋本が小学校の頃の会話をずっとしていたら、2時間もたっていた。
「ごめん。二人ともつまらなかったな」
「いいよ。純と一ノ瀬の会話聞いてて楽しかったしね」
「そうそう」
二人にそう言われたけど、ちょっと複雑な感情になる。小さなころの話を聞いて楽しいって...。
「じゃあ中学の話でもしようぜ。橋本が俺に陰湿ないじめをしていた心情もしりたいし!」
俺が笑いながら言うと、橋本も苦笑いをしながら話し始めてくれた。最初は気まずそうに話してくれていた。だけど俺の表情などを見て、真剣に話し始めた。いじめられたことは克服した。だから俺から質問で来たんだ。それにいじめた相手に聞かれるのは、いじめていた側からしたら心情的にもきついと思う。これぐらいの仕返しは良いだろう。
いじめられていた時の話を聞いた後は、中学時代の話になった。話している内に盛り上がってしまい、夕方になった。
「じゃあ今日はここでお開きだな。また集まれるときに集まろうぜ。橋本を許したわけじゃないけど、話していて悪い奴ではないってわかった。だから一からまたやり直そうぜ」
「おう」
「じゃあグループチャット作っておくわ!」
「オッケー。後みんなに報告したいことがあるんだ」
電話の時に話したいことがあるって言ってたけど、今言うんだな。ファミレスにいた時に言えばよかったのに。
「私と純---橋本純は2週間前から付き合うことになりました!」
衝撃的なことを言われた。俺が振ってから気まずい状況になっていたと思っていたけど、それは俺だけだったんだな。
「「おめでとう」」
「一ノ瀬に振られてショックを受けてた時に純が慰めてくれたんだ。その時から一緒に遊ぶようになって、好きになった」
「俺は中学の時から好きだったけどな」
「中学の時は無理だったね。今が一番だよ」
「あぁ」
「二人ともおめでとう」
「一ノ瀬も頑張ってね。もうあの二人のどっちかで決めてるんでしょ」
「あぁ。~~~~に決めている。後は告白するだけ」
「そっかー、頑張って」
「大輔も彼女持ちかー。俺も頑張らないとな」
「まだ決まったわけじゃないよ。じゃあな!」
「「「バイバイ」」」
みんなと別れて家に帰宅した。俺の好きな子は決まっている。クリスマスも近づいている。早く行動しなくちゃな。
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