3話 主人公の変化

 俺をいじめていた3人組が俺たちの方にくる。




「久しぶり。岩下と記憶なくなってる一ノ瀬くん」




「久しぶり」




 岩下は返事をしたが、俺は昔のことを思い出してしまって、少し体を震わせていた。




「...」




 言葉が出てこない。いじめられていたからかもしれないけど、あいつらの顔を見るだけで気持ち悪くなる気がした。よりにもよって高校の友達に一番合わせたくない奴らと会ってしまった。それに今は岩下も一緒にいる。あいつには中学時代にも迷惑をかけたのに、ここでも迷惑をかけるのかと思った。




 するといじめっ子Aが




「やっぱり岩下は一ノ瀬のことが好きなのか? 中学の時からいつも一緒にいたもんな」




「別に男女が一緒にいるからって付き合ってるとかの考えにならないでしょ。あんたらの考え自体がおかしいんじゃない?」




「は? お前喧嘩うってんの? まあいいや。そちらの方々は見る限り一ノ瀬の友達だよな。よく友達でいられるわ。記憶なくしてる奴と友達とか絶対無理」




 やっぱり俺はけなされて、岩下には迷惑をかけている。みんなの方を向くと伊藤と森本は驚いた顔で俺の事を見ていた。あの二人に俺が記憶なくなった事言ってなかったもんな。そしたらシャルロットが




「今の大輔くんが友達なので記憶をなくしてるとか関係ありません」




 その後すぐ優輝が




「昔の記憶がないからって友達をやめるのか? お前たちのほうがやばい奴だぜ。友達は友達だろ。それに俺は大輔がまた記憶をなくなったって一から友達になりたいと思うぜ」




 するといじめっ子B---橋本純が




「そんなことは口でしか言えないんだよ。その立場になって見ろ。昔まで話していたことは通じないし、性格も少しだが変わる。別人にしかみえねーよ。そしたら自然と無視しちゃうんだよ」




「その立場じゃねーとわかんねーこともあるかもな。だけどよ、そんなことで友達止めるってことはそれまでだったってことだよ。友達も長続きしなかったと思うぜ」




「いってろ。一ノ瀬が記憶戻った時にまたその言葉が言えたらな。いこーぜ」




 いじめっ子たちが去っていった。俺はみんなに




「少し時間をもらいたい」




 みんなは無言で頷いてくれた。俺たちは近くの公園に向かう。公園で俺は小学校の頃にスキーの単独事故で記憶をなくしたことを話す。どこまで記憶がなくて、どこから記憶があるのか。岩下にも話してなかったので、みんな同様に真剣に聞いていた。すると森本が




「そんなことあったんだね。でも別にいちのせが今後何か変わるってわけじゃないから特にって思っちゃうな。勇気を出して話してくれてありがと。いちのせのことがより分かった気がするよ」




「そうそう。一ノ瀬のことが嫌いになったりしないし、一ノ瀬だって私たちが記憶なくしてたからって、態度変わらないでしょ? それと一緒だよ」




「まあ俺は知ってたからな。友達なんだし、なんでも相談しろよ」




「そうですよ。昔の記憶は今後わかっていけばいいのではないでしょうか? それにここにいる人はそんなことで差別なんてしませんよ」




「私は一ノ瀬が記憶なくなってるってことは知ってたからね。でもどんなことがあって、記憶をなくしたとかは知らなかった。だから話してくれてなりがとう」




 みんなから暖かい言葉をもらって俺は泣いた。いい友達を持ったなと。この人たちと一緒に入れてよかった。岩下もだけど本当に俺は恵まれてると認識した。泣いているときはみんな無言で待っていてくれた。




「かっこ悪いところ見せた。悪い。本当にありがとう」




「いいってことよ大輔。友達だろ」




「あぁ」




 みんなと話して家に帰宅した。俺が記憶をなくしてからいじめられてた事。それを家族に心配をかけられないと思って、いままで一人で抱え込んでいた。だけどみんなに話したおかげで前へ向けそう。この気持ちを忘れちゃいけない。みんなには感謝してる。だからどんな形だろうと恩返しはしたい。




 次の日の朝、俺がシャルロットの家に向かい、インターホンを押す。するとシャルロットの母親がでてきてくれた。




「あら。大輔くんおはよう。シャルにようがあるの? ちょっと読んでくるわ」




「おはようございます。ありがとうございます。」




 そう言ってシャルロットを呼んでくれた。




「大輔くんいきなりどうしたの?」




「昨日はありがとう。でさ水族館に行く約束してたじゃん。今週の金曜日にアクア〇ーク品川に行かない?」




「いいですよ。大輔くんから誘ってくれるのは嬉しいです! 楽しみにしてます。今日は遊びますか?」




「今日は少し予定があるから遠慮しておくよ。誘ってくれてありがと。後やっぱり俺たち幼馴染だったよ!」




「私もママから聞きました! でもそうだからと言って特に変わりませんね。向こうでの話を水族館に行った時に話しますよ!」




「ありがとう。バイバイ」




 俺はそう言って別れた。あの時から決意した。今までは流行の服さえ買えればいいやと思っていた。だけど気になる女の子と遊ぶし、みんなにももっとかっこいい姿を見てほしい。いじめられない程度。いや中学のやつらを見返せるぐらいに。俺はそう思い始める。だから今日は服を買いに行き、髪形を変えた。




 変えた後は母親や父親に変わったなと言われた。翌日からは俺の過去の話を本格的に聞き始めた。そして金曜日当日になる。

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