2話 夏まつり

 岩下と会うのは4か月ぶり。もともとの顔が可愛い。それにスレンダーでモデルみたいだから中学の頃はよく告白されていた。だけどなぜか彼氏作らなかった。だから俺が中学時代、いじめられてた時も話しかけてくれた数少ない友達。岩下と会ったことには驚いたが、中学と高校の距離はたいして離れてないから会うのは当然か。逆に今まで中学のやつらと学校外で会わなかったこと自体が珍しい。




「久しぶりだな岩下。浴衣来てるけど岩下も祭りに行くのか?」




「そうそう! 一ノ瀬も甚平着てるってことは祭り行くんでしょ? 友達と行くんだけど一ノ瀬も友達と?」




「そうだよ。祭りであったらよろしくな」




「うん。あったらなんか奢ってね!」




「やだよ。じゃあな」




「バイバイ」




 岩下とわかれて家に帰る。集合までまだ1時間はある。それまではラノベを読んで時間を潰そう。俺はそう思いラノベを読みはじみた。今日はシャルロットと一緒には向かはずに集合場所に一人で向かうのでちょっと遅めに家を出る。シャルロットは朝から伊藤と森本と一緒に遊んでいるから一緒にいけないと、この前言われた。すると伊藤からチャットが来た。




「みんな浴衣だから楽しみにしててね! 男子たちの甚平も期待してる!」




「あぁ」




 俺が返信すると優輝が




「みんな俺に惚れるなよ」




「上野に惚れるならゴリラにだって惚れられる自信がある」




「は? あった時に覚えとけよ」




「そっちこそ」




 といつも通りの会話を見ながら現地に向う。現地の最寄り駅に着くと、周りの人がみんな浴衣や甚平を着ていた。やっぱりみんな祭りだと着るんだなって思いながら歩く。現地に着くとすでにみんなが集まっていた。まず目に入ったのはシャルロットと森本の浴衣。シャルロットは黒と白の花柄の浴衣。森本はクリーバー型の水色の浴衣。二人ともめちゃくちゃかわいすぎて凝視してしまった。すると優輝が




「大輔おせーよ」




「いやいや、集合時間の5分前にはついてるじゃん。でも待たせてごめん」




 すると伊藤が




「待ってないから大丈夫だよ」




 と言ってくれた。その後すぐに森本もシャルロットも頷いてくれる。




「みんな浴衣にあってるね」




「ありがとうございます。」




「ありがと」




 みんなニコニコしてくれたので言って良かったと思っていたら伊藤が




「一ノ瀬ナイス! 上野とかなんも言わないんだよ」




 と優輝の愚痴を言い始めた。シャルロットと森本は俺に




「大輔くんも似合ってますよ」




「一ノ瀬似合ってるょ」




 と言ってくれたのて顔が赤くなる気がした。




 その後は優輝がみんなのことをほめなかったことに対して、伊藤が優輝に文句を言っているところを見ながらみんなで祭りに向かう。俺は最初にチョコバナナを食べて、その次にイカ焼き。森本とシャルロットと伊藤はりんご飴を食べていた。優輝は食べ物は食べずにくじ引きや射的などをやっていた。みんなで祭りを一通り回って、花火が見れるところに移動しようとしたところで岩下と会った。




「やっぱりあったね一ノ瀬! 食べ物奢ってよ」




「やだよ。一緒に回ってる奴は? 今一人っぽいけど?」




「友達とはぐれちゃってさ。電話してるんだけど繋がらなくて...」




「じゃあ俺らと友達が見つかるまでいるか? 一人だと心もとないだろうし」




「一ノ瀬の連れがいいっていうならいさせてもらおうかな」




 俺と岩下が二人で話しているとシャルロットと森本が怪訝そうな目でこちらを見てくる。俺なんかしたか? 岩下がもしかして知り合いとか?




「岩下。シャルロットと森本と知り合いなの?」




「しらないよ。でも私歓迎されてなさそうだしやっぱりいいよ。友達と楽しんで!」




 そう言って立ち去ろうとした。岩下には中学の時に世話になってるし助けてあげたい。だから




「じゃあ友達が見つかるまで二人でどっか行くか? みんなには悪いけど女子が夜に一人でいるのは危ないし」




 俺がそう言うとシャルロットが




「一緒に回りましょう! 岩下さん、今少しお時間もらえないですか?」




「うん...」




 そうして森本とシャルロットが岩下を連れてどこかに行った。




「あの二人どうしたの? 岩下の事嫌ってるとか?」




「いやいや、大輔ってこう言う時はどんかんだよな。でもまあ気にしなくていいと思うぞ」




「そうそう」




 二人にそう言われて待った。俺はラノベの鈍感主人公じゃねーぞ。それに美少女3人が俺の事好きってことはまず無い。すぐに3人が戻ってきて5人で回る。花火が見れそうな場所まで移動した。俺がレジャーシートを持ってきたのでレジャーシートをひいて座る。




「一ノ瀬ってこう言う時に役に立つよね!」




「はいはい。こう言う時しか役にたちませんよー」




「中学の時みたいにすねちゃったのかな?」




 そんな話をしているとシャルロットと森本が岩下に




「中学の時の大輔くんってどんな感じだったのですか?」




 と尋ねていた。俺は恥ずかしかったので




「そう言うことは俺のいないところで聞いてくれ」




「じゃあLI〇Eを交換しましょ!」




 と森本が提案していた。すぐに交換して後で話すってことになっていた。岩下、俺の事なんて言う気だ? 変なこと言わなきゃいいけど...。そう思っていたら花火が始まった。花火を見始めると




「きれいだね」




「きれい」




「そうだな」




「来てよかった」




 などいろいろと話した。岩下の友達はというと携帯の充電が切れたらしくて、公衆電話から電話をかけてきた。電話がかかってきたのが岩下とはぐれてから15分たっていた。そのことで岩下はキレて、今日は合流しないと言った。




 花火が終わったのでみんなと帰ろうとした時、中学時代に俺をいじめていた3人組と会ってしまう。

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