11話 本音

 日曜日にみんなと遊んでから、森本さんとシャルロットのことで頭がいっぱいだった。あの二人のことを今ではどちらも意識してしまっている。そんな二人に会ったとき、どんな反応をしてしまうかわからない。だから今のうちに心の準備をしておこうと考えていたら30分もたっていた。




「大輔。もう起きなさい。シャルロットさんとの集合に遅刻するわよ」




 と母親から言われたので、居間に急いで向かう。




「今日は遅かったのね。昨日の疲れでもあった?」




「何にもないよ。少し疲れてただけ」




 ぼやかして母親に言って俺は朝ごはんを素早く食べると、急いで家を出る。家を出たらすでにシャルロットさんが待っていた。あった瞬間に胸が高鳴ったが、いつも通り平然を装って




「ごめん。待ってもらって」




「大丈夫ですよ。学校にいこ? 大輔くん」




 と答えてくれた。名前で呼ばれるのはやばい...俺は平然に言えたかな? 不安になりながら




「うん。シャルロットさんは期末試験の勉強した?」




「理系科目はやりましたよ。問題は国語ですね...。大輔くん! シャルって呼ぶのはまだ恥ずかしいかもしれません。なのでシャルと呼ぶことをすぐにとは言いませんけど、さんをつけるのはやめてください!」




 少し強めに言われてしまった。今までこんなに強く言われたことはなかったのでそんなにショックだったのかと思った。俺のことは名前で呼んでくれているのに、俺はさん付けって良くないな。そう思い




「ごめんシャルロット。今日からはさんをつけるのやめる。」




 そう言うとシャルロットはニコニコしながら




「はい! 国語なんですけど~」




 登校中は勉強の話が続いた。学校につき、クラスに入ると




「大輔、シャルロットさんおはよう」




 優輝が挨拶をしてきた。その後すぐに伊藤さんと森本さんもきて




「シャルロットさん。一ノ瀬くんおはよ~」




「一ノ瀬くん。シャルロットさんおはよう」




「二人ともおはよ」




「おはようございます」




 と二人にも挨拶をされたので、俺とシャルロットは挨拶を返した。すると突然、伊藤さんが




「もう私たち友達だと思うの! だからさん付けはやめない?」




 伊藤さんから提案された。朝シャルロットさんに言われたことと一緒だ。みんな思うことは一緒なんだなって反省しながら




「いいよ。伊藤、森本。」




 と返事をすると、森本は驚いた顔を見せた。その後すぐ笑顔に変わった。その笑顔に俺はまたシャルロットを見た時同様にドキッとした。




「じゃあ私たちもくん付けやめるね。」




 伊藤がそう言うと森本も頷づいていた。その後5人で雑談をしていたら先生がやってきて朝のホームルームが始まった。




「一か月後には期末テストがあるからお前ら勉強しとけよ。後、来月は文化祭実行委員と体育祭実行委員を決めるぞ。どちらの実行委員も、生徒会に入りたい奴は入れないからな。まあこのクラスで生徒会に入る条件を満たしてる奴は限られるけどな。」




 笑いながら俺の方を見て言ってきた。ホームルームが終わるとすぐに授業が始まった。午前中の授業が終わり、みんなでお昼を食べに学食に向かった。




「優輝、中間の賭けで勝ったから奢れ」




「俺今、金欠なんだけど~」




「今おごらないなら叙〇苑でおごってもらうぞ」




「お前は鬼か!」




 そう言いながら優輝は俺にオムライスを奢ってくれた。オムライスを食べていたら森本が




「それ一口ちょうだい」




「あ、うん」




 反射的に答えてしまった。振った相手に食べ物を一口頂戴とか、普通は言わないだろって俺は思いながら




「スプーンを今とってくるから待ってて」




 俺は席から離れようとすると




「今使ってるスプーンでいいよ。この歳で間接キスとか気にしないでしょ」




「あー。わかった」




 そう言って森本は、俺のスプーンをつかってオムライスを一口食べた。森本はなぜか食べた後にニコニコしていた。オムライスがそんなにおいしかったのか。その後、俺は数口オムライスを食べると




「私にもオムライスを一口ください」




 と今度はシャルロットが言ってきた。俺は




「じゃあスプーンをとってくるよ」




「待ってください! 結衣ちゃんと一緒で私も同じスプーンで大丈夫です!」




 と勢いよく答えてきた。その後にシャルロットはオムライスを食べると、森本同様にニコニコした。俺はそんな二人を見て




「二人ってそんなにオムライスが好きなんだね。」




 と言うと優輝と伊藤が




「違うんだなー」




「お前ってそうゆうところは鈍感なんだな」




 と言われた。ラノベの主人公みたいにあの二人が俺に気があるって言いたいのか? まずもって森本は俺のことを振っているんだから興味なんてないだろ。シャルロットの方だって家が隣同士だからよく話すだけだと思うし。そう思って俺は




「シャルロットも森本も俺に興味があるわけないだろ。」




 そう言った。言ってて虚しいなと思った。それに振られた相手にそんなこと言うのはちょっと...。すると二人はムスッとした。なぜかその後は授業が始まるまで話さなかった。




 午後の授業が終わり、シャルロットと帰ろうとすると




「朝さ、期末試験のこと言ってたじゃん。だから今回も勉強会をテスト期間にこの5人でやらない?」




 そう伊藤が言ってきた。もちろんみんなが了承すると




「じゃあ今度こそ私を全体で100位以内に入れてね」




 と言って部活に向かった。優輝も部活に向かい、俺ら3人になると森本が




「私も一緒に帰ってもいい?」




「いいよ」




 俺が困りながら答えると、俺の顔を見たシャルロットが




「結衣ちゃんさ、大輔くんのこと振ったんだよね? なんで振った相手に平然と話しかけられるの? お昼の時だってそう! 普通は振った相手にあんなことしないよ?」




 シャルロットが森本に現実を突きつけた。俺は自分で言おう言おうと思ってたことをシャルロットが言ってくれて少し複雑な気分になった。




「シャルロット。俺の気持ちを思って言ってくれたことには感謝するけど、それはシャルロットがいうことじゃない。俺が言うことだ」




 そう俺が言うと森本は身震いをしていた。




「俺から本当は言うことなんだけど、シャルロットに言われたな。なんで振った俺にかまってくるんだ?  普通は振った相手とこんなに話さないだろ? 別に森本のことが嫌いってことじゃなくてなんでなんだろうって思ってさ」




 すると森本はゆっくりと口を開いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る