第7話 終業式
クリスマス当日に終業式。今年最後の登校もシャルと一緒。学校は楽しいが、少し複雑の気持ち。昨日結衣のことを振ってしまったから。どんな顔をしたらいいんだろう。そんなことを考えながら家を出る。
家を出るとシャルが俺の家の前に待っていた。
「おはようございます!」
「おはよう。遅れてごめん。行こっか」
「はい」
付き合う前と変わらない登校。変わったところと言ったら手を繋ぐことぐらい。昨日もそうだったが、手汗を掻いてないか不安でしょうがない。シャルの顔を見ると、すごく幸せそうな顔で歩いている。はたから見たら俺もそんな顔をしているのだろう。それにしてもこんな美少女が俺の彼女って言うのが今でも信じられない。シャルの顔をずっと見ていたら
「大くん。見過ぎです...。恥ずかしいので二人っきりの時にしてもらってもいいですか?」
「あ...。ごめん」
ついつい登校中ずっと見ていた。学校に着き、自分の席に着くと優輝と伊藤、結衣が俺たちの席に来て、話しかけてくる。
「おめでとう。シャルロットさんと付き合ったんだな」
「シャルちゃんとつきあったんだね」
「あぁ」
「おめでとう!」
「ありがとう」
「大輔。少し二人で話さないか?」
「うん」
優輝と二人で話すために席を外す。その時シャルと結衣、伊藤と話し始めていた。
☆
女子三人で人気のいない階段に行って話始める。
「シャルちゃんおめでとう」
「ありがとうございます」
「だいくんと付き合う前の約束覚えている?」
「はい」
結衣ちゃんから約束のことを聞かれた。当然覚えている。だけど私が結衣ちゃんの立場なら友達としてやっていけるかわからない。だから私からは触れられなかった。でも結衣ちゃんから言ってきたので驚いた。私が結衣ちゃんの立場なら言えるかわからないから。
「シャルちゃんとは友達としてやっていきたいと思っている。今後も友達でいてくれる?」
「はい」
「でも、私も気持ち的に整理できていない部分とかもあるから、友達としてやっていくのは、年始からってことでもいいかな?」
「はい」
「今から雪奈と話したいから、申し訳ないけど教室に戻ってもらってもいい?」
「はい」
私は一人で教室に戻る。結衣ちゃんと話しているとき、「はい」としか言えなかった。結衣ちゃんと今後も友達としてやっていける嬉しさと私が選ばれた気持ちが入り混じっているから。
☆
シャルちゃんには一人でクラスに戻ってもらった。本当に申し訳ないと思っているけど、今は雪奈に甘えたい。
「結衣。今は二人きりだから泣いてもいいよ?」
「うん」
私は結衣の胸に顔を埋めて声を上げずに泣いた。家でも泣いたけど、私の心情を知っている子だからこそ泣いた。
泣いた時間としては数分だったけど、すごくスッキリした。
「ありがとう! もう大丈夫」
「私でできることなら何でも言ってね。結衣の味方だから。シャルちゃんの味方でもあるけどね」
「うん。本当にありがとう。教室に戻ろっか!」
「うん」
本当に友達に恵まれた。1人だったら絶対に立ち直る時間がかかったと思う。でも結衣がいてくれたから、立ち直るのも早いと思う。それにだいくんに選ばれたのがシャルちゃんだったからこんなに泣けるんだと思う。シャルちゃん以外だったら悲しい気持ちとは別に、イライラした気持ちもあったと思う。なんで私じゃないのって。でもだいくんの事も知って、シャルちゃんのことも知ったからこそそんな気持ちにならなかったと思う。
☆
「大輔は今の決断でよかったと思っているんだろ?」
「あぁ」
「ならいいんじゃねーの? そんな顔を森本に向けている時点で最低だよ! ちゃんと自分で決めたことなら腹くくれ」
結衣にそんな顔をしていたか。俺ってくそ野郎だな。
「うん」
「相談ならいつでも乗ってやる。俺たち親友だろ? こう言う時に頼らなくてどうすんだよ。一人で抱え込みすぎると大変だぞ」
「そうだな。サンキュ」
優輝に言われた通り、自分で決めたことをいつまでもうじうじとしているのはよくない。それに結衣にも失礼だ。
教室に戻ると、シャルが1人でいた。さっきまで3人でいたけどどうしたんだろう?
「シャルどうした?」
「結衣ちゃんと雪奈ちゃんは少し遅れて来るっぽいので先に戻ってきました」
「そっか。学校が終わったら、一回家に帰って、夜に遊ばないか?」
「はい!」
シャルと遊ぶ約束をした時に結衣たちもクラスに戻ってきた。みんながクラスに戻ってきてすぐホームルームが始まる。業務連絡を先生が言って、最後に
「明日から冬休みだ。1年生の内にいっぱい遊んでおけよ。以上」
ホームルームが終わるとすぐクラスの掃除をして、帰宅しようとしたところで結衣が
「年始にみんなで初詣に行かない?」
この提案に全員驚いていた。
「「「「いいよ」」」」
全員で初詣に行く約束をして帰宅した。
帰宅途中にシャルが俺に
「夜はどこに行くのですか?」
「それは夜になってからのお楽しみってことで!」
「そうですか。楽しみにしてますね」
家の前に着くとシャルが俺に抱き着いてきて、家に入っていった。あのかわいい生き物はなんだ? 夜もあんな感じにスキンシップを取られて、理性が持つか...。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます