第8話 クリスマス

 チャットで6時に集合する約束をしたので、それまでの2時間で今日のイメトレをする。行く予定の場所はスカイツリー、イタリアンレストラン、東京駅でイルミネーションを見て家に帰る予定。




 スカイツリーのチケットは事前に買ってあるのでスムーズに進むと思う。レストランも予約済み。イルミネーションは現地のイベント会場に行けば見れるだろう。でも予定通りに行かない可能性もある。その時にどう対処できるかが今回の鍵。




 服も一番かっこいいと思う服を着て、その上にダッフルコートを着る予定。




 集合時間になり、家を出る。まだシャルは家を出ていなかったので少し待つ。5分後にシャルが家を出てくる。ピンク×チェックのジェニックワンピを着ていて、すごく大人っぽい。




「遅れてしまいすみません。大くんすごく似合ってますね!」




「ありがとう。シャルこそすごく大人っぽいよ。かわいい」




「ありがとうございます。では行きましょう」




「うん。任せて」




 二人で駅に向かう。自然とシャルの手を握り歩く。ここまではイメージ通り。昨日から手を繋いでいるけど、いつまでも手を繋いでいたいと思うほど小さな手。守ってあげたいと思う。駅に着くと




「大くん。どこに行くのですか?」




「まずはスカイツリーに行こうと思ってるよ!」




「始めていくので楽しみです!」




「俺もなんだよ。関東近辺に住んでいる人とかってあんまり言ったことないんだよね。だから俺も楽しみ!」




 電車の中で昔の話をする。イギリスにいた時も何度か一緒に乗った思い出。そして先月イギリスに行った話。他愛の無い話をしていたらすぐスカイツリーの最寄り駅に着いた。イルミネーションがすごかった。東京駅に行かなくてもいいんじゃないかと思うほどきれい。




「きれいですね! 今日は本当にいろいろと考えてくれてありがとうございます」




「いえいえ。考えている時もすごく楽しかったからさ」




「じゃあ今度は私がエスコートしますね!」




「うん」




 スカイツリーに着き、チケットを渡して中に入る。




「大くん。お金いくらでした?」




「スカイツリー代はいいよ。それよりも楽しもうよ」




「はい...。」




 スカイツリーの中はすごく混んでいて歩くのも大変だった。でもその時間すらすごく楽しかった。スカイツリーの中から見る東京はすごくきれいだった。またスカイツリーの周りはクリスマスのイルミネーションになっていた。




「きれいですね」




「あぁ」




 言葉が出てこないほどきれい。




 スカイツリーを出る。




「お腹すいてない?」




「はい!」




「じゃあイタリアンレストランの予約してあるから、そこにいこうか!」




「はい」




 イタリアンレストランに着くと、周りはカップルだらけ。俺らもそうみられているだろうけど、まだ実感がわかない。昨日付き合ったばかりだからかな?




 俺は蟹のトマトクリームソースを頼む。シャルはこだわりのジェノベーゼ。




 二人で料理を食べていると




「はい。あーん?」




「なぜ疑問形?」




 俺は笑いながらシャルから一口もらう。味がわからない。でもおいしい。




「大くんのも一口食べさせてください」




「うん。はい」




 食べさせる前から顔が真っ赤だった。お互い付き合ったばかりなので慣れていなくて、すごく恥ずかしい。




 料理を食べ終わり、少し話してからお店を出る。最後に東京駅に行ってイルミネーションを見る予定だけど、その前にコンビニに行く。




「なにか買いたいものでもあるのですか?」




「うん」




 俺はブレスケアを買う。




 東京駅がイギリスをモチーフにした設計をされていることは知っていたけど、夜に来るとまた違う綺麗さがあって見とれる。丸の内・日本橋のクリスマスイベントに行き、イルミネーションを見る。お互いが話せないほどきれいだった。




 クリスマスツリーが青く光っていてすごかった。他にもいろいろと見れて楽しかった。シャルとこれてよかった。




 家の前に着くと、俺はシャルにキーホルダーを渡す。俺は青いクリスマスツリー。シャルにはピンクのクリスマスツリー。




「ありがと。本当に楽しかったです」




「こっちこそ本当に楽しかったよ」




「ではおやすみなさい」




「ちょっと待って」




「はい?」










 俺は深く深呼吸をしてシャルに近づきキスをする。










「えっ」




 俺はもう一度キスをする。シャルの唇が柔らかくて、何度もしたくなってしまいもう一度してしまった。するとシャルが俺の腰に手をまわしてくれて、お互いが抱き合う。時間としては1分にも満たないけど、すごく長く感じた。




 お互いの顔が赤いまま、無言で数分見つめ合う。




「じゃあお休み」




「はい。おやすみなさい」




 自分の部屋に戻る。幸せすぎて死にそう...。このままずっとこの時間が続けばいいのに。

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