第9話 年末年始
クリスマスから1週間があっという間に過ぎて、もう12月31日。この1週間はシャルとずっと電話をしていた。いつも通り他愛の無い話をしていたが、その時間こそが楽しかった。イギリスに帰るから少し練習ということで会わなかった。そのたった1週間しかあっていないのに会いたくてしょうがない。シャルがイギリスに戻ったらと考えると少しゾッとする。後3か月を楽しもう。だけど俺が...。
年末はいつも通り家族と過ごしていたら年を越した。するとみんなからあけおめの連絡がはいる。俺もみんなに返して家を出る。するとシャルが家の前にいた。
1週間ぶりに見るシャルがいつも以上に可愛く見える。
「あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとうございます。 こちらこそ今年もよろしくお願いします」
「1週間ぶりだね。長かったよ」
「私も思っていました!」
この1週間どんなことがあったか話しながら神社に向かう。神社に着くとすでに人であふれていた。この時間でもこんなにいるのはやはり年始効果だなと思いながらシャルと並ぶ。
順番が来てお賽銭をしてお願いごとをする。
これからもシャルと仲良くできますように。
お願いを終えてシャルの方を向くと、シャルはまだ目をつむってお願いをしていた。あー、俺ってこんなに可愛い彼女がいるんだなと実感する。去年は彼女と来るなんて思いもしなかった。今の幸せがずっと続きますようにってお願いすればよかったと後悔しながらシャルを見ていると、シャルが目を開けて俺の方を向き、目が合う。
「お願い終わった?」
「はい!」
「どんなお願いしたの?」
「お願い事は誰にも言っちゃいけないんですよ!」
「そっか。危うく言うところだった」
俺が笑いながら言うと、シャルが俺の腕にくっついてきた。
「どうしたの?」
「だいくんは私のですよって皆さんにアピールしているところです!」
なんだ? この可愛い仕草。俺はシャルのほっぺたにキスをする。お互い顔を赤くしながら神社が配っている甘酒をもらう。
「この甘い飲み物はちょっと私には苦手です」
「じゃあ俺がもらうよ」
「お願いします」
「いいって。俺も苦手なものとかあるし!」
シャルの分の甘酒も飲み干して、神社を後にする。
帰り道の公園に寄り、お互いブランコに乗る。
「夜のブランコって新鮮だね」
「はい。それも好きな人と一緒にいるのってすごく楽しいです」
なんでこんなさらって恥ずかしいこと言えるかな? そんなところも好きだけど。
「俺も好きな子と一緒に入れて楽しいよ」
他愛の無い話を少しして家に帰る。
「じゃあまた明日。おやすみなさい」
「お休み!」
家に入ると母さんと父さんがニヤニヤしながら俺を見て質問攻めを受けた。
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