第10話 年始のおばあちゃん家
三が日の2日目。毎年恒例でおばあちゃん家に行く。シャルにもメールを送って知らせたが、少し寂しそうな返信が帰ってきた。俺も寂しいがおばあちゃんや従妹と会えるのもごく限られた時だからしょうがない。
おばあちゃん家に着くと、美香と修也が俺のところに来る。
「「だいにーに! あけましておめでとう!」」
「あけましておめでとう。今年も宜しくな」
2人と話した後すぐおじいちゃんにお線香をあげに行く。あげて部屋を出ようとすると、未海が部屋の入口に立っていた。
「あけましておめでとう。今年もよろしく」
「うん。今年も宜しくね」
「兄さん。勉強教えてよ」
「いいぞ」
俺たちはすぐに居間に行き、勉強を教える。未海は数学が苦手そうで、教えるのにも苦労した。でも従妹のお願いだし、教えるのも嫌いじゃない。それにいろいろと未海と雑談をするのも楽しいし。
なんやかんや2時間近く勉強をしたところで夜ご飯の時間になった。みんなといろいろな話をしていたところで母さんたち親の話が盛り上がっていて聞こえてくる。シャルの話をしているっぽい。別に隠しているわけじゃないからいいけど、べらべらと言いふらされるのも嫌だ。でもあの輪に入るのは無理だ。酒が入っているから絶対に俺が行ったらダル絡みされるのが目に見えている。
部屋の端っこに行き、スマホをいじり始める。シャルとチャットをしているところで未海が俺に話しかけてくる。
「兄さんニヤニヤしててキモい」
「ひどくない!」
「もしかしてだけど彼女できた? さっきママたちが話してたの聞こえて思ったけどさ」
「まあそうだな。彼女できたよ」
「そっか。おめでとう...。」
「おう。未海もかわいいしすぐに高校に入ったらできるよ」
「私は彼氏、いらないかな? 後、私偏差値も上がったからもうちょっと上の高校を目指そうと思う」
同じ高校に行けない悲しい気持ちと、自分の将来を考えて上の高校を目指すって言ってくれた嬉しさの感情が混ざりつつも返答する。
「いいんじゃない? 上の高校に行ったらそれだけ選択の幅も広がるからな!」
「うん」
「頑張れよ」
「うん」
話し終わって、未海と別れる。未海は少し庭に行くって言っていた。
みんな解散する流れになって、家族で家に帰るところで未海が俺に向かって
「兄さん。好き」
「俺も未海も修也も美香も好きだよ」
「うん。ばいばい。彼女さんにはいろいろと褒めてあげてね!」
「あぁ!」
なんで今更未海が好きって言ったかはわからない。でも深い意味は無いと思い、家に帰った。
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