7話 海とシャルロットからのお土産
なんで今日の集合時間は7時なんだ。海だからってそんなに早く出なくていいだろ。そう思いながら集合場所の駅に到着すると
「久しぶりだな大輔」
「おう。ひさしぶり。今日はどこの海にいくんだ?」
「伊豆に行こう」
「まて、なかなか遠いぞ」
「だからこんなに早く集合してるんだろ!」
二人で意味もない話をしながら海に向かう。海に着くと
「今年初めてだわ。それが大輔ととかなー」
と笑いながら言ってきた。
「いやいや。お前が誘ったんだろ」
「ワンチャン、岩下も来るかなって思ってさ」
こいつは女目的で俺を誘ったのか。岩下ならまさも知り合いなんだから自分で誘えばいいだろと思い
「そう思ってたなら誘えばよかったじゃん。」
「俺が誘っても来ねーよ」
「あいつは人で選ぶタイプじゃねーよ?」
「それはお前だから言えること。まあそんなことより遊ぼうぜ」
「あぁ」
二人で更衣室に向かい着替える。海に入るとまず素潜りなどをして、その後は浮かぶだけで遊んだ。最初は気持ちよかったけどだんだん寒くなってきたので
「少し上がるわ。寒い」
「お前唇青いもん。飯でも食うか」
二人で飯を食べ始めると、隣の席に座っている大学生らしい女性たちが話しかけてくる。
「ねえねえ、彼女いるの? いなかったら私たちと遊ばない?」
まさが喜んで答えようとしているところを俺が
「俺は遠慮しておきます」
「え?大輔断るの? お前が断るなら俺も...」
まさはショックそうに断った。シャルロットと森本でいっぱいいっぱいなのに、知らない女性と遊ぶ余裕なんてない。
「そっか。また機会があれば遊ぼうねー」
そう言って去っていく。俺はまさに
「悪いな。でも今は色恋沙汰をする予定はないんだよ」
「そっか。岩下にあんなにアタックされてたのに気づきもしないんだもんな」
岩下が俺にアタックしてたって? そんなことはないと思い
「んなわけないじゃん」
「いやいや。まあそしたら岩下に今度聞いてみれば?」
「...」
あいつが俺の事を好きってことか? もしそうなら驚きだけど、岩下のことを恋愛感情として見たことがないからわからない。今の俺はシャルロットと森本で頭がいっぱいだ。
ご飯を食べ終えて、砂浜で遊んだ後に海にもう一回入り家に帰った。家に着くと岩下から昨日の同窓会の写真を添付したチャットが来ていた。
「中学の同窓会楽しかったよ。後森本さんから一ノ瀬の事いろいろ聞いちゃったし教えちゃった(笑)」
森本も岩下も俺の事をなんて言ってるんだ? 嫌なことを言ってなかったらいいけど。
「よかったな。俺の話なんてして楽しいか? お前夏祭りに一緒に行った友達と仲直りできたの?」
「一ノ瀬が共通点だから話が盛り上がるんだよ。仲直りはしたよ。心配してくれてありがとう!」
「そっか。じゃあおやすみ」
俺は話を切り上げた。もう疲れているからチャットを打つ気力すらない。
「バイバイ。また連絡するね!」
話が終わって、昼にまさから言われたことを思い出す。岩下が俺の事を好きだってこと。でもこのチャットの文面的にそんな感情は無さそうだなって思った。そんなことを気にしながら就寝した。
もう残り夏休みも3日。宿題も終わってるし、やることがない。だから毎日ラノベを読む生活になっていた。ラノベを読んているとインターホンが鳴る。
「シャルロットですけど、大輔くんいますか?」
シャルロットだった。寝巻のままだったので、10分ぐらいかかると思ったので
「シャルロットの家に後で向かうから、家に帰っていていいよ。来てもらってすぐ対応できなくてごめん」
「いいですよ。待ってます!」
俺はすぐに着替えて、ワックスをつける。そしてすぐ家を出てシャルロットの家に向かい、インターホンを押す。
「はーい。今行くね」
シャルロットが出てきた。肩が出ている服装を着ていて、いつも以上にドキッとした。
「お帰り。シャルロットもこんな服も着るんだね!」
「ただいま! イギリスではいつもこんな感じです!」
いつもこんな服装なのか! 日本と文化が違うんだなと実感する。
「そうなんだ」
「そうだ! 帰ってきたのでお土産を持ってきました! どうぞ!」
渡されたのは王室のクッキーと紅茶だった。見ただけでめちゃくちゃ高そうと思ったので
「うれしいけど高価なものは今度からかってこなくていいよ?」
「あんまり高くないんですよ。1つ10ポンドぐらいなので」
「ならよかった。お土産ありがとね!」
「はい。大輔くんにお願いがしたいのですがいいですか?」
お願いとはなんだ? できる限りのことはしてあげたい。
「できることならなんでもいいよ」
「宿題を見してください...。」
宿題か。まあイギリスにいってたんだからしょうがないよな。でも見せるのもシャルロットのためにならなさそう。でも今回はいっかと思い
「いいよ。もしわからないところがあったら俺に聞いてね。また後でシャルロットの家に来るよ」
「はい! 私が今から大輔くんの家に行けばいいじゃないですか! 二度手間ですよ」
そう言い、俺の家の前に着くと
「じゃあちょっと待ってて」
「はい」
俺は宿題を自室から取ってきて、シャルロットに渡す。
「はいこれね。じゃあ3日後の始業式の朝に返してくれればいいよ!」
「本当にありがとうございます!」
そう言って別れる。
俺は夏休み最終日の夜、夏祭り以外はみんなと遊べなくてちょっと残念だったなと思いながら就寝した。
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