6話 映画デート?

 公園のベンチに座り




「大丈夫? 俺がもっと早く来れば...。本当に悪い」




「大丈夫。助けてくれてありがとぅ。私が早く来すぎたのが悪いから...。」




  大丈夫とは言っているが足がまだ振るえている。こんな時になんて言葉をかけた方がいいかわからない。俺は無言で森本が落ち着くまで一緒に座る。座ってから数分たったころ




「もう大丈夫だから映画見に行こ?」




「映画は夕方にでもして、どっかの喫茶店でも行かない?」




「気を使わなくていいよ」




「別に気を使ってるわけじゃないよ。俺がのど乾いたから。それに映画は3時間に1本やってるんだし急ぐ必要ないじゃん?」




「じゃあそうさせてもらおうかな。ありがとぅ」




 俺は最後の言葉は聞かなかったことにして、駅中にあるア〇ター〇ーンティーに入る。ちょっと早めだけどお昼にした。俺は小エビの〇リーン〇リームパスタを頼み、飲み物はダー〇リン。森本は季節限定のパスタと飲み物はア〇ター〇ーンティーを頼んでいた。二人で料理を食べている最中に森本が




「本当にありがとう。ここにきて気持ちが収まったよ」




「そっか。でも俺がおなかすいてたから来ただけで、お礼を言われることじゃないよ。助けたことに対してのお礼はさっきもらったしね」




「うん」




 ご飯を食べ終わって、映画のチケットを買いに向かう。なかなか混んでいたけど無事チケットは買えた。上映まで2時間はあるので




「どっか行きたいところある?」




「うーん。プリクラとかとってみたいな」




 プリクラだと! 男と女がとるとかカップルかよって思ったけど、今日は森本の言うことを聞こうと思っている。すこしでも不安をなくしてあげたい。ここで断ったらまた落ち込んじゃうかもしれないし。




「いいよ」




「え? 本当! 断られると思ってた。じゃあ行こ!」




 断られると思って誘ってたのか! 人生初めてのプリクラだな。それも女の子と! もしかして俺ラノベの主人公でしょって少し思いつつゲーセンに向かった。




「この機械でとるんだ」




「いちのせはとった事ないんだ」




「ないない。男ととるとかないしね。それに女の子と撮る機会なんて今までなかったし」




「へー。じゃあ私が初めてだね!」




「そうだね」




 話しながら機械に入ると、緑色のカーテンでとられる側が覆われていて驚く。ここはモデルが写真を撮りそうなところだな。俺がそんなことを考えると




「じゃあ撮ろっか!」




「あぁ」




 プリクラで写真を撮り始める。いろいろのポーズをするが最後のポーズが正面でハグするポーズで戸惑う。俺が森本の方を向くと顔を赤くしながら手を大きく広げてこっちを向く。俺も身を任せて森本の方に向かい、体をくっつける。めちゃくちゃ恥ずかしい。




 撮り終えると文字を書くスペースに移動する。俺は何を書けばいいかわからなかったから、森本に任せた。その後プリクラをもらいゲーセンをぶらぶらしていると、森本がくまの〇ーさんのぬいぐるみを欲しそうに見ていた。




「これほしいの?」




「ちょっとかわいいなって思って」




「じゃあ取ろうか!」




「え? いいですよ。お金もったいないし」




「別にゲーセンに来たんだしなにか1つは欲しいじゃん? それに俺はゲーセンって貯金箱だと思ってるから」




 笑いながらそう言い、UFOキャッチャーを始める。1000円ぐらいでとれたので良かった。




「はい。あげるよ」




 俺はぬいぐるみを森本に渡す。




「ありがとうございます...。お金払いますよ。何円でした?」




「お金はいらないよ。プレゼントってことで! 俺家に持ち帰ってもいらないし」




「そう言うことならありがたくもらいますね!」




「じゃあ映画の時間も近くなってきたし行こっか」




「はい」




 映画館に向かうとすでに入り口は行列ができていた。なので俺と森本は飲み物とポップコーンを買いに行く。すると店員さんが




「彼女さんにはポップコーンは大きいので2人で1つでよろしいですか?」




 お昼も食べたしいいよなって思って




「森本さえよかったらいいよ」




「はい。じゃあお願いします」




 注文を終えると上映会場に入る。映画が始まる。ポップコーンを取ろうとしたら、森本と手が当たり、二人で謝る。そんなことが4.5回あったため映画の内容のことはあまり頭に入ってこなかった。映画が終わると




「映画が楽しかったね!」




「そうだね。じゃあ映画も終わったし帰る?」




「うん」




 二人で駅に向かう。駅に着くと




「いちのせ。シャルちゃんがいちのせの事を大輔くんって呼んでるよね?だから私もだいくんって読んじゃダメ?」




 俺はその言葉に呆然として、そのまま




「うん」




 と答えてしまった。すると




「じゃあ私のことも結衣って呼んでね! バイバイだいくん!」




 そう言って俺とは違う電車に歩いて行った。家に帰ると




 なんで森本も俺の事を名前で呼ぶんだろう。俺もやっぱり森本のことを名前で呼んだ方がいいのかな? と思っていると岩下からチャットが来た。




「明後日に中学の集まりがあるけど来る?」




「いかない」




 行くはずがない。中学の頃いじめられてたのに行く意味がない。でも人を選ばずに岩下が誘っているのは優しいと思う。




「でも誘ってくれてありがとな」




「いいえー」




 チャットが終わるとすぐに違う人物からチャットが来る。中学の頃、男で唯一よく話した---鈴木正明。




「中学の集まりくるか? まあ来ないと思うから一緒に遊ぼうぜ」




 遊びの誘いだったので




「集まりは行かないけど、今度遊ぼう!」




「じゃあ明々後日だな」




「了解」




 まさと遊ぶ約束をした。

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