14話 文化祭デート
二人ともお腹がすいていたため、料理を出ているクラスに向かう。まず入ったクラスでハッシュドポテトを買う。会計時に執事さんだやメイドさんだと言われた。少し照れていたが、森本も照れていたのでお互い様だなと思った。
「おいしいね!」
「だね。それに文化祭って言うだけでおいしさが倍増だよ」
「そうだね!」
その次に入ったクラスでは焼きそば。その次は焼き鳥。次々と料理を作っているクラスに入るので
「森本そんなにお腹すいてたんだな」
「私がデブみたいなこと言わないで! それに屋台感覚で買えるからつい買っちゃうの! それとさ私がだいくんって読んでいるから、だいくんも結衣って呼んでよ!」
「悪い。そう言うつもりで行ったわけじゃないんだけどな。これからは結衣って呼ぶよ」
「うん!」
最初の1時間は食べ物を出しているクラスを回った。その後、俺が生徒会で展示の説明会を行ったと言うと、森本が展示がしてあるところに行きたいと言ってきたので、書道部に向かった。書道部に着いて、作品を見渡すと四字熟語がたくさん書いてある。その一つに俺は心を惹かれた。
{一期一会}
この言葉は今の俺たちの事なんだろなって思う。今の学校生活はすごく楽しいけど、来年も今のメンツで一緒にいられるとは限らない。それに高校卒業した後は、みんなバラバラになる可能性が高い。バラバラになったらまたお互いが新しい人生を歩む。こういうことを目にしてすぐ考えてしまったからこの四字熟語に惹かれたんだと思う。俺がこの四字熟語を見ていたら、結衣も同じようにこの四字熟語を見ていて、泣いていた。
「どうした?」
「んん。何でもないよ。少し今後のことを考えていただけ」
「俺もそうなんだよな」
「そっか。でもだいくんは知らないもんね」
俺は最後の方に言った言葉を聞き取れなかった。書道部に予想以上にいてしまったため、集合時間の10分前になっていた。
「だいくん。最後に一緒に写真撮ろ!」
「うん」
写真を撮ると、執事とメイドの写真なのでなかなかいい写真になったなって思った。
「一緒に回ってくれてありがと! 楽しかった」
「俺も楽しかったよ。結衣が泣いたときはどうすればいいかわからなかったよ」
「あれは忘れてよー。後ちゃんと名前で呼んでくれた。嬉しい」
クラスに二人で戻る。待ち合わせ時間、ぴったしに着くとシャルロットがすでに待っていた。
「シャルちゃん楽しんでね! シャルちゃんにだいくんバイバイ。また明日!」
「バイバイ!」
「じゃあな」
「では大輔くん回りましょう」
「あぁ」
☆
今度はシャルロットと回り始める。
「シャルロットはどこ行きたい?」
「そうですね。少しご飯を食べてからお化け屋敷に行って、最後に体育館でライブを見ましょう」
「了解。考えてくれていたんだね。何も考えてなくてごめん」
「私が楽しみで考えていたので気にしないでください! さあ行きましょう。時間は有限ですよ」
「そうだね」
二人でクラスを回り始めた。ホットケーキが出ているクラスがあったので入ると生徒会長が居た。
「お、大輔くんじゃないか。女の子とデートかい?」
「まあそうですね」
「そうかい。楽しんで」
「はい。ありがとうございます」
生徒会長と話し終わるとシャルロットは顔が赤かった。熱でもあるのかと思い
「保健室にでも行く? 顔赤いけど」
「大丈夫です。少し時間がたてば治りますから」
「そっか。じゃあここは俺が奢るね」
「覚えていてくれたのですね」
「いやいや、お昼に約束したことだし覚えているよ」
俺はそう言ってホットケーキを2つ頼んだ。味はチョコとメープルの2つ。シャルロットはメープルを選んだので俺はチョコを食べる。ホットケーキとチョコソースはどちらも甘いのに、また食べたいと思えるほどおいしい。するとシャルロットが
「大輔くんのを一口もらえませんか?」
「いいよ」
俺が皿をシャルロットに渡すとシャルロットが顔を赤くしながら
「食べさせてください。ダメですか?」
と上目遣いで言ってくる。こんなにかわいく言ってくれると断れない。
「いいよ。はい、あーん」
シャルロットに一口あげる。俺まで顔が赤くなる。シャルロットも同様にさっき以上に顔が赤くなっていた。すると周りから拍手が起きた。拍手をされて食べさせた時以上に恥ずかしくなる。すると
「私のもどうぞ」
と一口サイズにして俺に差し出して来る。周りの人に見られながら食べるのは恥ずかしい。だけど断るのも申し訳ないし、こんな機会がそうそうないので食べる。恥ずかしすぎて味がしない。その後二人沈黙してホットケーキを食べる。
次にお化け屋敷に入る。内装がよくできていて驚いていると、シャルロットが震えながら俺の袖を掴んでくる。
「怖いなら手繋ぐ?」
「はい。お願いします」
手汗を掻いてないか不安であったが、前に進むといろいろ脅しをかけてきた。それに対してシャルロットは毎回びくびくとして俺にくっついてくる。嬉しいけど、さすがにメイド服でくっつかれるのはやばい。お化け屋敷を出るまで怖さよりも平常心を保つので精一杯だった。
「あの、迷惑かけてすみません。大輔くんは怖いの苦手じゃないんですね」
「まあそうだね。それに迷惑じゃなかったから大丈夫だよ。逆に役得かな?」
俺は笑いながらシャルロットに言う。
最後に体育館でライブを見る。合唱部や吹奏楽、有志に筝曲部がプログラムに書かれていて、俺たちがついた時には有志が1グループと筝曲部だけだった。有志の方たちはアイドルグループの曲をダンスと合わせて歌っていた。すごいなと感心していると
「大輔くんは女の子を見過ぎです」
「そう言われても...。」
ステージを見るために来たのになぜか注意された。最後に演奏した筝曲部はすごかった。何がすごいかって言うと、曲に合わせて歌を歌っていたこと。すごく感動する曲だった。曲名は水の変態って言うらしい。俺は水の変態を聞いて泣いていた。シャルロットの前で泣くなんて情けない。
「大輔くんも音楽で泣くのですね。私もピアノとかを聞くと泣いちゃいます」
「そっか。仲間だね」
二人で帰宅する準備をしているところでシャルロットが
「最後に記念写真を撮りませんか?」
「いいよ」
俺はそう言って写真を撮った。森本も同じ事言ってたな。でも写真はその時の記憶として残るから俺も好きだ。小さいころの写真をここ最近は見るけど、昔の俺はすごく楽しそうだから写真はたくさん撮っていきたい。家に着くとすぐに疲れてしまったので就寝した。
☆
次の日は文化祭の片付け日で俺は生徒会の仕事をしていた。主にゴミの捨てる場所の誘導と先生方に文化祭の報告書を提出する。生徒会室に戻ると先輩方から
「俺たち3年は体育祭を行ったら引退だ。体育祭の準備は来週から始めるからな」
「「はい」」
俺と優花さんが答える。先輩はすでに体育祭の準備を始めていた。
文化祭が終わって2週間半後には体育祭とは行事が詰まっているな。体育祭の2週間後には中間試験だ。俺は今後の行事をこなせるか不安でいっぱいだった。
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