13話 文化祭

  俺の気持ちを二人に伝えた。今まではどちらもかわいいで済ましていたけれど、今後はどちらもかわいいではなく、どちらか一人を選んで告白する。そのためにまずは自分の気持ちと向き合っていく。




 文化祭前日になり、展示部門の説明会を行う。先輩は一番後ろの席で座り、教卓の前に俺は立つ。説明会を行う前に資料を配っているため、部活動・クラスの人、先生方は内容を理解してくれていたので早めに終わった。今日の最後に展示を行っているクラスを見て回り、違反しているクラスなどがあるかを確かめる予定。楓先輩にはまあまあの出来ではないかと言ってもらえた。その後の生徒会の仕事は俺がすることがないらしいのでクラスに向かう。




 クラスに入るとすぐ、執事の服に着替えて接客の練習を始める。言葉遣いからクレームの対応などを覚える。文化祭前日なのでみんな忙しくて、個々で練習を行った。




 夕方になったので、執事服から制服に着替えて生徒会室に向かおうとすると森本が




「そのままで行きなよ~。クラスの宣伝にもなるしさ!」




「え? いやだよ。恥ずかしいし」




「かっこいいじゃん。それにクラスのみんなもこのままでいってほしいって思うよね?」




 クラスメイトから森本の言葉を後押しするように俺に言ってくる。俺はこの服で生徒会室に向かおうとすると森本がまた話しかけてくる。




「だいくん。生徒会の仕事が終わったら話があるからクラスに戻ってきてね。頑張って!」




「了解」




 話とはなんだ? この前の続きかな? まあ今はそんなことより生徒会の仕事に集中しなくちゃ。生徒会室に着くと、すでに生徒会担当の先生方が集まっていた。




「遅れてしまい申し訳ありません」




 すると楓先輩が




「じゃあ行きましょう」




 先輩が先生方と俺を誘導してクラスを回る。やはり説明書を渡しているので違反をしているクラスがいなかったので、すぐに見回りが終わる。回っているとき執事姿をしていたので、見回りをしているクラスの人たちがガヤガヤとしていた。みんなには似合っているって言われたけど、やっぱり似合っていなかったのかなと不安になった。 




「大輔くん執事姿かっこよかったよ! お疲れ様。クラスに戻ってもらって大丈夫だよ! 本当に助かったわ」




「こちらこそありがとうございます」




 生徒会の仕事が終わったので、クラスに戻るとクラスメイト達はすでに帰っていた。クラスにいたのがいつもの4人だけで待っていてくれた。




「ごめん。遅くなった。」




「いいよ~。ゆうくんと私は帰るけど、3人で楽しんでね!」




 二人が帰って行った。すると森本が




「だいくん。文化祭当日暇?」




「うん。暇だよ」




「では私と結衣ちゃんとだいくんで文化祭を回りませんか?」




「3人で?」




「いえ、お互い時間をずらして回ませんか?」




「うん。いいよ」




「やったねシャルちゃん! じゃあ帰ろっか」




「はい!」




 この提案は俺的にもすごくうれしかった。俺が本当の意味でどちらを好きなのか、わかるきっかけになる。帰宅中は文化祭をどのように回るかを話した。シフトは3交代制で、俺と森本とシャルロットの全員が9~11時のシフトなので、森本と回ってからシャルロットと回る約束をする。











 文化祭当日、シャルロットと一緒に登校している時




「文化祭楽しみですね!」




「だね」




 お互い文化祭が初めてなのでワクワク感でいっぱいだ。そのため登校中もシャルロットはソワソワとしていた。




 クラスに着くとまず俺と優輝は執事服に着替え、シャルロットと森本、伊藤はメイド服に着替える。俺たち全員が9~11時のシフト。接客として男の客は女子、女の客は男子が行う。




 文化祭が始まると男女2人組、計4名の客が来た。まずは俺とシャルロットが接客をする。




「おかえりなさいませ、お嬢様。メニューはAセットとBセットがあります。Aセットはケーキ・紅茶セット。Bセットはお菓子・紅茶セットです。どちらにいたしますか?」




「じゃあAセットとBセット1つずつでお願いします」




「ありがとうございます。すぐにお持ちいたします。失礼します」




 俺がその場を立ち去ろうとした時、客の1人が




「あの。今彼女さんとかいますか?」




「いませんよ」




「では連絡先交換しませんか?」




 すると森本からフォローが入る。




「申し訳ございません。当店連絡先の交換は行っていません」




 その後は特に聞かれることもなく厨房に入る。厨房に入るとシャルロットもいて




「連絡先聞かれていましたね。交換したんですか?」




「いや、交換してないよ。シャルロットも気を付けてね」




「はい」




 すると岩下と橋本がクラスに来た。




「一ノ瀬久しぶり似合ってるよ! ついでに橋本もつれてきたよ」




「...」




「まあゆっくりしていってよ。二人はそんなに仲良くなったの?」




「私の愚痴を橋本が聞いてくれてからよく一緒にいるようになったんだ!」




「そっか。橋本、お前に謝られてから俺も考え直したよ。お前が俺にどう対応すればいいかわからなかったって言うのもわかるし、今後は友達とはいかないけどよろしくな」




「あぁ。俺も悪かったな」




「もう謝んなよ」




「あぁ」




 岩下と橋本が来た後から客がたくさん来て、2時間があっという間に終わる。メンバー5人全員が連絡先を聞かれる珍しいことが起きて、驚いた。




 俺たちの仕事が終わったので着替える準備をすると優輝が




「文化祭ぐらい、クラスで作った服着ろよ」




「まあそうだな」




 優輝に言われて、俺もそう思った。だからシャルロットと森本の二人と回るときもこの格好で回る。二人はどうなんだろうと思っていると、二人とも着替えずにメイド服で回るらしい。




「ゆうくんとまわってくるね~」




 と伊藤が言ってクラスを出ていった。その後に続いて森本も




「だいくん一緒に回ろ! シャルちゃんとは1時30分に交代だから早く行こ!」




「うん。シャルロットは待たせちゃってごめん。」




「いいですよ。その代わりなにか買ってくださいね!」




「うん」




 まず俺と森本で文化祭を回る。

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