4話 一ノ瀬大輔の告白
今日から学校が再開。
「大くんおはようございます。今日から学校が始まりますね!」
「そうだね。それで今日みんなで話さない? この前遊んだ続きを話したいんだ。俺もあの時は混乱していたから今ならちゃんと話せると思う」
「わかった!」
「記憶が戻ったことは学校で皆さんにどういうのですか?」
「別に誰にも言わないよ。まず記憶を失ってた事をみんなはしらないからね」
「そうでしたね」
「シャルはみんなにいつ言うの?」
「そうですね。2月ぐらいを予定しています」
「そっか。本当に仲がいい友達には早めに伝えた方がいいよ!」
「伝えたじゃないですか! 私の親友は皆さん以外にいないので。それにいつも皆さんと一緒にいるので、話す人も固定されますよ!」
「そっか。じゃあ後半年楽しもうな」
「はい」
今話して告白するか一瞬考え直した。今告白をしたらどちらかを振ることになる。そしたらこのメンツで遊ぶこともできなくなるんじゃないか?
「大くん。ちゃんと私か結衣ちゃんのどちらかを決めてくださいね」
「うん...。」
「みんなで思い出を作れるのは嬉しいですが、私のせいで結衣ちゃんにも迷惑をかけるのはよくないと思います。なのでちゃんとどちらかを選んでください」
「わかった」
学校に着く。すると優輝と伊藤が俺たちの席に来る。
「「おはよー」」
「おはよ」
「おはようございます」
4人で挨拶をしたところで結衣がクラスに着いた。
「おはよう」
「「「「おはよう(ございます)」」」」
「今日の放課後、全員でこの前の続きを話さないか?」
みんなに提案すると全員が了承してくれた。優輝は部活を休んでくれるらしい。
ちょうど話し終わったところで先生がクラスに来た。
「みんな久しぶりだな。本当ならそろそろ期末試験があるところなんだが、今回はやらない方針になった。その代わり今までの試験で成績が悪かった奴は課題を出すことにする」
先生はクラスメイトからブーイングをもらう。でも成績のいい奴らにとっては良い事なので、先生をほめていた。
今日から授業が始まったが俺を含むみんなやる気がなく、授業がゆっくりと進んでいった。
☆
放課後になったので全員で下校する。こんな感じで帰れるのも残り半年。この時間が一番居心地がいい。でもずっとは続かないんだよな。
ファミレスに着くとまずはみんなで料理を注文する。
「で、大輔は気持ちの整理ができたのか?」
「できたよ。逆にみんなはできた?」
「できたよ! ゆうくんとも話したしね」
「私もできた」
みんな整理はできたんだな。俺は数日間も引きずったのに。
「じゃあ俺の結論を言うよ。今の時代他国と連絡が取れないわけじゃないからそんなに思いつめなくていいと思う。でも毎日会えるのは半年間だから、この期間でいろいろな思い出を作ろう。シャルがイギリスに行ったら俺たちも遊びに行こうぜ!」
「大輔の意見に賛成だな。雪奈もだろ?」
「うん」
「私もそれでいいよ」
するとシャルが涙目になりながら
「みんなありがとう」
本題も話したので、みんなと雑談を始めた。優輝と伊藤の進捗状況。また俺が岩下とかに過去の話をした話。みんなで話していたら夕方になった。
「じゃあまた明日」
「「「「バイバイ」」」」
シャル以外のみんなと別れて帰宅する。帰宅中、シャルのお姉さん---ソフィアさんの話になった。ソフィアさんに彼氏ができたらしい。でも遠距離恋愛になるからどうしようか迷っていると。
「お互いが半年に一回会えばいいんじゃない?」
「そうだよね!」
家に着いたところでソフィアさんと会う。
「彼氏おめでとうございます」
「シャル言っちゃったの! まあ大輔くんならいいけどさ。大輔くんも頑張りなよ」
「はい」
シャルたちと別れて家に入る。ソフィアさんに彼氏ねー。性格良し、外見美人だからできて当たり前だよな。逆に今までいなかった方がおかしい。彼氏見てみたいな。
☆
クリスマスの前日。この一ヶ月間すごく楽しかった。でも告白するためにやらなくてはいけないことがある。どちらかを振ること。だから今日気持ちを伝える。
今の時期は3限授業なので、午前中に終わる。
「シャル。結衣。話があるからちょっと廊下に来てもらえないか?」
「「わかった」」
3人で廊下に出て、人が居なさそうな場所に行く。
「気持ちを二人に伝えたいと思う。でも三人いるところで気持ちを伝えるのはきついと思うから、二人に伝える時間を分けたいと思う。シャルと結衣はどっちが先に聞きたいとかある?」
「私は3人いるところで聞いてもいいよ。でも先か後かなら後かな。シャルちゃんは?」
「私も3人で話していいです。私もどちらかと言うと後がいいです」
「じゃあ全員いる時に話すよ。今日の放課後、クラスに残ってもらってもいい?」
「わかった」
「わかりました」
話が終わり、教室に戻る。優輝と伊藤に今日告白することを説明して、クラスメイト達全員を早めに出て行ってもらう手伝いをしてもらうことにした。
放課後。優輝と伊藤がクラスメイト達を帰るように指示して、クラスは俺たち3人になった。優輝と伊藤も帰ってくれた。
今頃緊張してきた。何度もイメトレした。それに俺よりも二人の方が緊張していると思う。この沈黙の時間すら二人にはきついと思う。
「だいくん。どうしたの?」
「何でもないよ。じゃあ言います」
「シャルロット・アークレイさん。好きです。俺と付き合ってください」
俺が告白するとシャルは泣きながら
「はい」
そんな中結衣は俺の方を見て
「なんで私が選ばれなかったのか教えてもらってもいいかな?」
「うん。入学当初は結衣の事が好きだったと思う。でもシャルが転校してきて、二人のことが気になり始めたんだ。でも結衣と一緒にいて好きと言う感情より、アイドルとかそう言う憧れの感情に変わっていったと思う」
結衣に対する感情は憧れ。この気持ちに気づいたのはイギリスに行って、シャルと水族館や観覧車に乗った時、シャルといると他の人と違う楽しさがあると感じた。この時に好きって気づいた。それにシャルを選んだ理由はもう一つある。
シャルは記憶をなくす前の俺と記憶をなくした後の俺のどちらも好きになってくれた。多分こんな人は今後もいないだろう。シャルは記憶が戻ってからもいろいろと心配してくれてた。だから俺は心配されない男になって、今後はシャルを守る立場になりたいと思った。
「そっか! 振られた時のことも覚悟していたから大丈夫。バイバイ」
森本は一人で帰っていた。こういう時になんて声をかけた方がいいかわからなかった。
残ったシャルと二人になる。
「今後も宜しくお願いします」
「こちらこそよろしくね。大くん。でも後半年しか入れないけどいいの?」
「なんで半年って決めるの? 半年たったら遠距離でもいいじゃん! 後イギリスの大学に行くことにしたから、2年後にはまた会えるよ」
「そっか。じゃあ私も頑張らなくちゃだね」
「そうだね。明日空いてる? クリスマスは二人で遊ばない?」
「うん!」
付き合い始めて初めての下校。いつもと変わったこと。それは手を繋いでいること。手汗を掻いていないか不安でしょうがない。それもお互い無言。いつもなら何かしら話しているのに今日に限って無言だ。
「俺の手大丈夫? 手汗とか」
「私の方こそ大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
「そうですか! なんか手を繋いでいるだけで幸せな気分になれますね!」
「そうだね」
シャルの手が小さすぎてかわいい。それに柔らかい。付き合えたから手を繋げたんだよな。そう考えると付き合ってよかったな。
「大くん。もうすぐ家ですが、今日は私の家に来ませんか?」
「う、うん」
今まで何度か入ったことはあるけど、彼女の家に入ると考えるとハードルが高い。それも付き合ったばかりで!
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