概要
それを追う4組の追跡者たち。
革命児ウェス。
北の女領主レイゼル。
将校ベイリー。
奴隷出身の商売人ガラッド
群雄割拠の乱世。王国を手中に収めるのは誰だ???
機械と幻想の織りなす捕り物劇がはじまる。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!「疾走する玉座」あるいは完璧なタイトル
人類史において、あらゆるレガリア——王権を象徴する遺物——は失踪するものである。
だからこそ、彼らは人々の心を掴んで離さない。ある者にとっては欲望の象徴であり、ある者にとっては夢の表象であり、またある者にとっては人生の総決算となる。だからこそ、あらゆる犠牲がレガリアのために払われた。
それはここシェストラ王国でも同じことである。
その失踪が、普遍的な理由——王室内の政争の結果でも、あるいは首都を襲う災害の結果でもなかったとしても。
王国を襲った政治的混乱の結果、玉座は古代の自走機械に取り付けられてしまった。
そうして玉座は疾走し、そして疾走したのである——。
そうしてあらゆる種類の人間が、玉…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界の命運を賭けた大レース、その終着点を見届けろ!
王の間にある玉座が逃げ出した。
逃げ出した玉座を捕らえた者こそが、次の王だ。
王になることを望まなくても参加していい。捕まえさえすれば自分の世界をひっくり返すほどの対価は得れるには違いない。
スタートの合図もなく突如始まった玉座争奪レースに、野望と才覚のある四人のチャレンジャーが名乗りを挙げる!
もうめちゃくちゃ面白いんです。
まさに時代が生んだ世紀の一戦です。文字通り歴史が変わるレースです。巧みな駆け引きもあれば、小細工なしの力勝負もあり。ベストバウトを挙げるのも難しい戦いばかり!
それぞれの信念を燃料にして、身を切るのも厭わず駆けまわる追跡者の姿に、自分は目が離せなくなりました。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!三人称・群像活劇の教科書にしたい一作❗️
私にとって三人称で文章を書く時のバイブルともなった群像劇小説。映える表現集の如き言葉のチョイスに震え、その奇想天外なストーリーは文字通りボカーン!な冒険の旅に私を連れ出してくれます。
旅ってのは爆発なんだと言ったのは作中人物のウェス。ほぼ主役です。
大国の王が退陣の際、悔し紛れに起動した玉座の仕掛け。
スチームパンクな世界に向かって、グロテスクな容貌で疾走を始める玉座。いつしか玉座を捕獲することが王の資格を得るとみなされ、各国の猛者たちが動き出す。
先ほど、ほぼ主役と言ったのは、玉座に挑む登場人物が皆濃い!
筋肉質な豪傑で王族のお姉さま、天才発明家の少年、由緒正しい好漢の軍人、義に厚く直…続きを読む - ★★★ Excellent!!!玉座を追いかけろ!(物理)
玉座に足が生えて王宮から逃げ出した!(語弊あり)
世界中を走り回る玉座を、見事捕まえるのは誰か!?
今、タイトルで検索しようとして、
『失踪する玉座』と誤変換しました。
玉座自ら行方不明になってるので
あながち間違ってないような気もする。
読み始めたときは、コレ絶対、読みながら
笑う話だと思ってたんですよ。
しかし、四組の追跡者たちや、旅先で絡んでくる
サブキャラたちにも、それぞれに過去や信念があって。
互いに利害が衝突するため、誰かが勝ったら
誰かが負けてしまうことはわかっているのですが、
全員を応援したくなってしまう魅力があります。
玉座追跡レースの果て。
辿り着いた新時代を生きる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!爆走する玉座を追う先に広がる世界。大風呂敷の正しい広げ方。
タイトルに偽りなし。文字通り逃げ惑う玉座を、四人とその仲間たちが世界の果てまで追い求めます。
最初はコミカルなレース的な展開を期待しましたが、追跡者たちが立ち寄る先には反乱者や神のごとき存在や古代の叡知など、想像を絶する世界が繰り広げられます。果ては世界の在り方まで問う羽目になる始末。物語が進むにつれてスケールは果てしなく広がっていきます。
しかも追跡者だけでなく、その仲間や道々で出会う人々にまで焦点を当てて、作者の頭はよくもまあ沸騰しなかったもんだと感心します。
回を追うごとに広がっていく世界に登場人物たちが織り成す、アクション満載の壮大なスチームパンク・ファンタジー。とにかく一言で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!走れ走れ走れ……!
まさにタイトルそのままの疾走する王座に度肝を抜かれました。スチームパンクならではを活かした設定の数々にとても拳を握り締め、それに見合った熱く激しくぶっ飛んだ登場人物達にも強く惹かれました。
登場人物達のやり取りや言葉選び、用語が本当に格好良く、なにからなにまで個性的で始終興奮しっぱなしでした。乗り物の設定も凄まじく、どれも格好良くて味があり、熱くなりました。こういうのが好きなものにはたまりません、本当にたまりません!おまけにある乗り物のまとめページなんていつまでもずっと眺めていられます。最高です格好良い!
ただのスチームパンクで終わらせず、巧みにファンタジーも組み込んでいるのがまた最高に素晴…続きを読む - ★★ Very Good!!黎明の世界で勃発する、チキチキ玉座争奪レース。 ※追記ネタバレあり
※小説は絶対評価したいので星の数は適当です。
※第四章前半まで読んだ感想です。
※追記 最後まで読んだ感想を加えました。
蒸気機関の発達に伴う産業革命は、科学が魔法や神をその玉座から引きずり下ろしたといっても過言ではあるかもしれませんが、そんな解釈をしちゃってもいいのではないかなと思うのでそういう認識で進めます。
蒸気機関車や光走船なるちょっとオーバーテクノロジーっぽい代物や犬橇が、足を生やして逃げ出した玉座を追いかける。それをとっ捕まえた奴が次の王様だ。
そんな頭がおかしい設定を彩る登場人物も、全員適度にイカレポンチで大変によろしいです。サラリと紹介します(レビュー主の主観による勝手…続きを読む - ★★★ Excellent!!!玉座を求める熾烈な争い(文字通り)
主亡き後の王座を狙う様々な思惑を描いた戦記は数多い。
スチームパンクの世界観をビークルで駆け抜けるレース物も多い。
だがそれらを混ぜ合わせてひとつの作品にするなどそうそう思いつくものではありません。
あまりに個性の強いそれらの要素を、出オチにさせずに使い切り、緻密な設定、ハードボイルドなキャラクターやロマンあふれるガジェットで繋ぎ合わせる。
戦記物とSFって調理次第でこんなに合うのかと、その構成力と文章力には感嘆しきりでした。
たとえるのなら癖の強いスパイスをまじめに研究し、独自の比率で調合したらひとつの完成した味としてまとまったカレーのよう。
好奇心の強い天才児、北の領主、最後の王族…続きを読む - ★★★ Excellent!!!序盤から面白い! 文字通りの玉座レース、続きはどうなるの?
もうちょっと話が進んでからレビューを書きたかったのですが、とても面白いので他の人にもおすすめしたい。
まるで野良ルンバのように、玉座が逃げ出してしまったのです。
王座を手に入れたい、あるいは「あいつにだけは王座を渡したくない」、思惑さまざまな四組が、玉座を捕獲せんとレースのごとく後を追います。
北の女領主は信頼の犬ぞりで、発明家の孫息子は光走船で、クーデタを起こした軍人は蒸気式装甲車「デビルズ・ミドルフィンガー」で。
なぜ玉座を狙うのか? それぞれの持つ背景も興味深いけれど、なによりレースそのものがわくわくの展開。「あの玉座を捕まえたやつが次の王様」なんて、私の中の男子心がうずきます。
ド…続きを読む