7.5本目【超感謝!】チャンネル登録者数一万人突破記念!!

お祝い動画【お詫びとお礼とご報告!!!】




「ハイ、どうも〜! いただきますっ! 『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号です! そしてこちらが」


「三号です」


「いや〜、ちょっと久しぶりになっちゃいましたね!」


「二号さんのせいですよ」


「なんで!?」


「二号さんが人前に出られる姿になるまで、待っていたんですから」


「一番時間かかったの、キミに叩かれたほっぺただけど!?」


「そんなことないです。毎日見てましたけど、頬よりも背中の方が治りが遅かったです」


「よく見てやがる……!! えっと、今日はですね……なんと!! 視聴者の皆さんにうれしいご報告があります!!」


「なんですか?」


「ジャジャン!! 三号くんとはじめた『ゴーストイーター』のチャンネル登録者数が〜……なんと! なんとなんと!!」」


「一万人突破したんですよね」


「……もっとタメてよ!!!」


「サクサクいきましょう。尺もないんですから」


「いや、でもチャンネル開設して約一ヶ月で一万人ってすごくない? このままだとすぐ百万人になって、キミも素顔公開しないといけなくなるよ?」


「そういえば、最初の頃にそんな話をしましたね。ところで、一ヶ月に一万人だと百万人になるにはおよそ八年と四ヶ月くらいかかりますけど」


「二十歳すぎると、一年の流れが加速度を増すからね……八年なんてあっという間だよ」


「じゃあ、それまでに浅葱さんとはコンビ解消します」


「やめてよ! これからも一緒にやろう!?」


「もちろんです」


「三号くん……!!」


「……なんて、嘘ですよ」


「上げて落とすスタイル!? 新しい技を身につけないで!! え〜……それでね、視聴者さんにありがとうって意味を込めてひとつ質問企画をやろうと思っているんだけど」


「いいですね」


「僕から三号くんにも、プレゼントがあります!!!」


「えっ?」


「じゃーん!! ハイ、どうぞ!」


「なんですか、これ……センスのない紙袋」


「それは僕のセンスじゃないよ!? まあ、開けてみて!」


「はぁ……」


「キミのトレードマークだった黒い帽子、ラフィにあげちゃったじゃない? だから、新しい帽子を買ってみたんだ」


「ニット帽、ですか」


「一応、暑いときも寒いときも両方使える素材にしたんだけど」


「つまり、どっちつかずの中途半端ということですね」


「言い方!?」


「……で、この頭頂部のフワフワしたものはなんですか?」


「可愛くない? 丸いポンポンある方が女の子らしいかなぁって!」


「却下」


「えっ、なにを……あっ! ちょっと!! ハサミ持ち出すのやめて!! バイオレンス反対!!」


「うるさいですよ」


「あーっ!! ポンポン切られた……!」 


「これで良し。ちゃんと縫合糸だけ切りました。これで使えます。ホラ、被りましたよ」


「本当だ……でもポンポンがないから普通の帽子になっちゃったよ……」


「飾りはいりません。三十前の男が『ポンポン』なんて言わないで下さい」


「ポンポンはポンポンじゃん。可愛いと思ったのに」


「……浅葱さんまで三号が女顔だってイジるんですか?」


「ごめんなさい!! 飾りのない黒いニット帽、よく似合ってます!!」


「……ありがとうございます。大事にしますね。ずっと」


「へへ……喜んでくれて良かった! あとは視聴者さんへのお知らせです!! コメント欄にコメントしてくれた、先着五名様の質問に折を見て答えます!! おひとり様ひとつ限り!! ……あっ! でもいつも五番目に書き込んでくれるRさん! Rさんは今回五番目に書き込まないでくださいね!? 視聴者さんに譲ってあげて下さい〜!!」


「ほんとに全部答えま〜す。三号の素顔以外は」


「よろしくお願いします!! いつも本当にありがとうございます!!」


「……ホラ、やっぱり尺が足りなくなったじゃないですか。プレゼントなんて、動画外で渡せばいいのに」


「そこはホラ、YouTuberとしてはサ」


「語尾、変なふうに上げないで下さい。ラフィみたい」


「マジで!? じゃあやめとこ……」


「実は、三号からも浅葱さんに……」


「えっ!?」


「なにもありません」


「やっぱり!? 分かってたけど!!」


「まぁ……登録者が十万人になったらなにかあげますよ」


「本当!? よし、これからも頑張ろう!」


「単純ですね」


「そこが僕の良いところでしょ? あとは、次の予告なんだけど……」


「つい最近まで、アカウント停止の処分を受けていたので、依頼を止めていたんですよ」


「そう! その節は、僕たちの紛らわしい行為によって勘違いさせちゃって、申し訳ありませんでした!!」


「普通はまず、それを最初に謝るべきでしょ」


「ごめんごめん。停止明け、久々にログインしたら登録者一万人越えしてたのがうれしくって」


「やっぱり、単純ですね」


「以後、このようなことがないように気をつけます!! 『ゴーストイーター』は、とってもクリーンなチャンネルだよ★」


「そんなわけなので、また依頼あればよろしくお願いします。解決はお約束します。秘密は守ります。報酬はお気持ちで大丈夫です。一号さんの目撃情報も、どうか教えて下さい」


「最近、一号に似た人を見たってお手紙多いからね! 他人の空似でもいいから、お願いします!! ……じゃあ、次回予告といこうか」


「本当は今日の動画の最後に、前半を入れる予定だったんですけど。浅葱さんが余計なことするから」


「余計なこと!? キミもよろこんでたのに!?」


「台本にないことしないで下さい」


「キミにそんな台詞を言われる日がくるとは……!!」


「次回は、三号の実家です。最近は依頼を受けられる状況ではなかったので、まぁ、ゆるい動画になると思っていただければ」


「三号くんの実家も、事故物件なんだよね」


「一応は。今は誰も住んでいないんですけど」


「何があったの?」


「前の住人が、ダブル不倫のあげく鉢合わせたお互いの浮気相手を殺して、その上本人たちも殺し合ったんです」


「うえ……」


「その前は、子供を置き去りにして衰弱死させたり、もうひとつ前は思春期の息子が父親を殴り殺したり。あとは……」


「ちょっと待って!? ひとつじゃないんだ!?」


「家族に関する事件が非常に多いですね」


「そんな場所、よく借り手がついたね」


「破格の家賃でしたし、入居当時は知らなかったんです。事故物件ロンダリングされていたので」


「僕たちがやっていることだね。事故物件は次の入居者には告知義務があるけど、その次の入居者には教えなくて良いっていう」


「そんなの、おかしくないですか?」


「僕に言われても……」


「本当は、知っているなら教え続けるべきなんです。それができないなら、ロンダリング中にちゃんと解決しないと」


「だから、三号くんは毎回しっかり調べるのかぁ」


「三号みたいに、なってほしくないですから。……三号の家は、度重なる悲劇で何度塗り直しても家の外壁が黄色く滲んでしまうんです。だから周りの住人たちは『イエローハウス』と呼びました。イエローハウス、404室。そこが、次の物件です」


「どんな怖いことが起きたのかな?」


「家族全員、死にました」


「怖すぎるって!!!! オブラート! オブラート!」


「またソレですか? 隠しても仕方ないですし。三号たちが出てからは、ずっと空き部屋みたいなので行ってきました」


「さて、なにが起きたのかな〜? 続きはまた次回!! じゃあ今日はこの辺りで!! 復帰後一発目の動画、ごちそうさまでしたっ!」


「ごちそうさまです」


「ばいば〜い」


「ばいばい」





<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:R san

O.K.^^



アカウント名:るむ姉さん

ちょっとww

Rさん、一番にコメントすれば良いってもんじゃないよww


質問! 相方の良いところと悪いところを教えてください!


三号は冗談キツいってww

まーた、やたらヘビーな過去持ってくるんだからww



アカウント名:むぎティー

質問:一号さんは見つかった?


アカウント停止、解除されてよかったね!

実家なんて映して大丈夫?(これは質問じゃないよ)



アカウント名:ウインセッティング

二号さんまで三号くんの女顔イジリしちゃダメでしょ笑


あと質問です!

二人が事故物件YouTuberやろうと思ったきっかけは??



アカウント名:Erikan

質問良いかな?

実際、いつまで『ゴーストイーター』やるつもりなの?


初代の時みたいに急にいなくなっちゃうのはさみしいよ〜!!!



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