★本目 【密室事件】石御殿の王さま【初期イーター】

★-1 前編【過去動画! 一号と二号の初物件!!】





「ハイどうも〜! いただきますっ! 『ゴーストイーター』です! 僕はウスバカゲロウ二号!」


「三号です」


「前回お伝えしていた通り、今回の動画はウスバカゲロウ一号と僕の過去動画です!」


「なんか、サブタイトルのテイストがいつもと違いますね。いつも○○の部屋とか○○の家とかなのに」


「うん。そういうサブタイトルは三号くんとする時だけにしようと思って。あの頃は手探りだったからね〜。いつもその場の思いつきで決めてたよ。どうかな? 今回のサブタイトル!」


「いいんじゃないですか?」


「やった!」


「どうでも」


「……だと思った!!! それじゃ、動画に切り替えようか! アナタの家、僕らが過ごした事故物件かもしれませんよ〜?」


「なんですか? その台詞」


「僕らの自己紹介動画で言ったじゃん! 決め台詞にしようと思ってたけど、すっかり忘れてたんだ」


「あぁ、そうでした。新築一軒家に住んでる方には関係ない台詞でしたね」


「シーッ!! コメント欄で褒めてくれる人がいたから、積極的に使っていきます! いつもコメントありがとうね〜!!! 皆さんの意見、聞かせて下さい!」


「もう四件も事故物件こなした後ですけど」


「四件しかこなしてないじゃない! まだまだ『ゴーストイーター』は続くよ!」


「そうですか。頑張ってください」


「三号くんも一緒に頑張ろう!!」


「ハイハイ」


「軽いよ!?」


「三号は多くを語らないのです」


「かっこいいけどYouTuberとしてはどうだろう!?」


「そこは相棒の二号さんがうまく料理してくれないと」


「荷が重い!! でも三号くんのこと好きだからまかせて!!」


「過去動画なんで、色々お見苦しい部分があるかと思いますが、所々二号さんがテロップで補足するのでよろしくお願いします」


「ちょいちょい僕のこと無視するよね……」


「二号さんは進行下手なので、そこは三号がフォローします」


「ありがとう! では、どうぞ!」


「アナタの家、『ゴーストイーター』が過ごした事故物件かもしれませんよ?」


「言ってくれた!!」







***







「えっ? これ、カメラもう回ってる?」


「うん、回ってるぜ!」


「ちょ、言ってよ……」


「ハイ、どうも〜! いただきますっ!」


「い、いただきます?」


「挨拶挨拶! 昨日決めたじゃん!」


「呑みながら決めたやつでしょ……」


「俺たちコンビYouTuber! 『ゴーストイーター』です! 俺はウスバカゲロウ一号!! そしてこっちが」


「う、ウスバカゲロウ二号です」


「俺が蟻! 二号がライオンのハーフマスクで動画やっていくので、マスクだけでも覚えて帰ってくれるとうれしいな!」


「えっと、これからYouTuberとして色々な動画を配信していきます」


「色々ってなんだよ! もっと具体的に言おうぜ!」


「今は事故物件に一日だけ泊まって、動画配信する企画がメインになると思います」


「依頼があればどこにでも行きますよ〜! 事故物件でお困りのアナタ! 企業でも個人でも問いません! 概要欄にリンク貼っておくので是非『ゴーストイーター』に連絡下さい! 金額はお気持ちだけオールオッケー!」


「よろしくお願いします」


「……で、今日は記念すべき最初の動画というわけですが!!」


「今、動画をお届けしているこの会議室が事故物件ってわけではないです」


「すでに事故物件の動画は撮り終わっているので、二号が編集したものを今から流します!」


「動画の編集なんてはじめてしたよ……」


「音割れ・手ブレ・見切れはゴメンナサイ! でもね、初っぱなからマジモン撮れたから是非見ていって欲しいな〜! 損はさせません!」


「動画見て損するって、どんな状況だよ」


「知らん! とにかくどうぞ!!」


「実際に泊まるのは一号だけです」


「二号はビビりだからな!」


「……返す言葉もない。この物件はどんな部屋なの?」


「とある二階建てアパートの一室です! 記録としては、高齢のご老人が孤独死されたんだけど……まぁ、ぶっちゃけ孤独死案件なんて星の数ほどあるんだよな!」


「僕たちは元・不動産業なのでよく分かります」


「その全部が事故物件として呪われちゃ、あっという間にご破算です! なーのーでっ! 実は同じ孤独死でも事故物件扱いになるものとならないものがあるわけでしてっ!」


「怪現象が起きなければ、不動産情報の端っこの方に『告知事項あり』って小さく書いて終わりですね」


「ナイショだけど、死亡後の次の次の入居者には告知しない業者もあるとかないとか……まぁその辺グレーなんで濁します!」


「僕たちが泊まるのは、怪現象が起きる方の事故物件です」


「いつも不思議なんだけど、どうして同じ『死』なのに呪ったり呪わなかったりするんだろうな」


「さぁ……そこは幽霊に聞くしかないんじゃない?」


「その通り! じゃあ行ってきま〜す」


『懐かしいな〜。動画編集してて懐かしすぎて涙が出そうだったよ』







***






「は〜い、いただきますっ! 『ゴーストイーター』、ウスバカゲロウ一号ですっ! 今回は初めての動画で〜す。このお部屋はですね、なんとバス・トイレ共同! だからお部屋は至ってシンプルですね〜。てゆーか寒い! 寒すぎる!! 早くも寝袋の中に避難したいっ!! え〜情報によると、この住人は石を集めるのが趣味だったみたいで、夜な夜な河原で石を拾ってきては綺麗に磨いて自分の部屋……つまり俺が今いる部屋ですね……に、貯めていたわけです! いや〜、いい趣味ですね!! 本当!!」


『一号はよく喋るなぁ……』


「だけどまぁ、個人的趣味って理解されにくいよな〜。この住人も例に漏れず、生前も死後も誰も理解を示してくれなかったわけです。だから宝の山も今や夢の跡……業者が掃除して、綺麗なもんですよ」


『でもこの部屋には秘密があるんだよね〜』


「さて!!! ここで問題発生です!!」


『これには困ったね』






「俺! 閉じこめられました〜!! 鍵かけてないのに、扉、全く開きません!!』






『そりゃあ、誰も借りてくれないよね……』


「扉の立て付けが異常に悪いのかな〜? でも、どーせここで一日過ごすんだし、防犯対策バッチリっていうことで……寝ます!!!」


『寝るんかいww』


「1人で寝るのさみしいな〜。あっ、別に艶っぽい話じゃなくて、いつも兄弟を寝かしつけながら寝てたからネ。兄弟想いな俺、好感度アップしない?」


『自分で言わなかったらね』


「じゃ、おやすみ〜。……あっ、ごちそうさまでしたっ!!」


『※八割ほど一号が見切れててゴメンナサイ!! 画質は頑張りましたが見切れは無理でした……。


果たして、危機感のない一号はこの部屋から無事に脱出できるのか!?



次回をお楽しみに!



ばいば〜い』

 



<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:ーぱんだ

一号! なつかしい〜! 笑顔がまぶしい!!

一号が映ってる過去動画、どんどん真っ黒になっているから早く対応して〜!!


アカウント名:キキ ケ

初期の二号さん、ちょっと太ってるね笑

今が痩せすぎのせいかな???


アカウント名:夏彦

音量ww

デカすぎるwww

イヤホンで聴いてたからビビったw

特に一号の事故物件動画に切り替わったときなんか叫び声みたいなの聞こえたんだけどww

……みんなも聞こえたよな?


アカウント名:えみる見る

私もイヤホンで聴いてましたけど、夏彦さんが聞こえたっていう音聞こえましたよ。

なので、編集の失敗では???

たぶんきっとそうだ。

きっとそう……。


アカウント名:R san

good^^

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