7-3 解決編【決着!病院で治らないビョーキ!】




「はい……どうも。いただきます。『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ三号です。今回は『取り壊せない廃病院』の解決編です。みなさん、どうでした? あの動画を見て、何を思いました?」


『※ ラフィのことだね ※』


「あの人、おかしいでしょ。本当に」


『※ やめてー!! 誤解を招くような発言は!! ※』


「イマイチ分かりあえないんですよね……」


『※ これから仲良くなっていこう! ※』


「二号さん、手書き文字下手ですね」


『※ 手にケガしてるから! ※』


「まぁ、ケガしてない時も下手でしたけど」


『※ 読めればいいでしょ!? ※』





ガチャッ……





「あ、帰ってきましたね」


『※ さて、誰が帰ってきたのかな? ※』


「Hi〜♪ ラフィだヨ〜♪ タダイマ〜」


『※ ラフィ、おかえり! ※』


「おかえりなさい……」


「Hahaha! Ms.三号はボクのこと本当にキライだネ」


『※ ラフィ、Ms.はやめてあげて! 彼はMr.だよ! ※』


「シッケイ。トレードマークのblack capをプレゼントしてくれたから、すっかりフレンドになったんだとバカリ」


「別にラフィのことが嫌いなわけじゃないですよ。ただ、理解できないだけです」


『※ キライよりヒドくない!? ※』


「ン〜、悲しいネ〜。cap、返そうか?」


「いらないです。それはもう、ラフィにあげます。さっきも言いましたけど、嫌いではないので」


「Thank you」


『※ 素直じゃない……! ※』


「じゃあ、浅葱さん……じゃなくて二号さんの代わりにラフィが三号の隣に座って下さい」


「OK」


『※ カメラ、動きます〜 ※』


「……はい、じゃあ気を取り直して」


『※ 金髪少年とお髭の外国人って絵面が強すぎる……!! ※』


「ボクとコンビ組ム?」


「嫌です。あ、あと前回の動画でラフィが『ゴーストイーター』に届いた個人情報を知っているような表現がありましたが、アレ嘘なので」


「ドッキリ〜」


『※ ドッキリ成功! ※』


「……ドッキリしました? 本当は先駆けてラフィにコラボ動画をあげてもらう予定だったんですけど」


「ミステイク……間違って『ラフィちゃんねる』消しちゃっタ! Mr.一号の動画もネ、アップロードする時にオカシくなっちゃったんだよネ……YouTube、ムズカシ……」


『※ 一号はどこにいるの? ※』


「ン〜〜分からないヨ。たまたま出会っただけだカラ」


『※ そっか……。引き続き、情報お待ちしております!! ※』


「よろしくおねがいします」


『※ じゃあ解決編に入ろう!! ※』


「先日の廃病院、医療ミスが原因で廃業になったと聞いていましたが、詳しい内容はなんでしたっけ」


『※ 患者の取り違えだね! ※』


「病院って、患者さんのカルテを一定期間保存しておかないといけないんですけど、期間が過ぎたら破棄してしまうんです」


『※ 個人情報保護の面でね! ※』


「アノ廃病院のghostたち、ミンナ言ってたよネ」


「はい。



【おまえがしねばよかったのに】



……って」


『※ ゴーストたち、ってことは間違えられたのは一人じゃなかったんだ…… ※』


「複数人いたみたいです。一人や二人じゃきかないぐらい。幽霊たちは自分のカルテを探して彷徨い、あの病院に留まり続けました」


「デモ、もうカルテは破棄されていたんダ。昔のハナシだカラ」


「探しても見つからないものを、探し続けていたんですね」


『※ かなしいね…… ※』


「そうですね。でもいたずらに同情したり怖がったりするから、幽霊たちが間違った方向に力を持ってしまうんですよ」


「ウンウン」


「本当に気の毒だと思うなら、恐怖なんて余計な感情にとらわれずに真実を伝えるべきです」


「ghostたちにはfutureがないからネ。Leadしてあげないト」


『※ なんで僕が怒られる感じに!? ※』


「心霊スポットになって、たくさんの度胸試しという名の無責任な恐怖が集まって、廃病院の幽霊たちは消えたくても消えられない状況になったのです」


『※ 悪循環……!! ※』


「レントゲンのカルテがバラマかれていたのも、ghostたちの仕業だネ」


「ポルターガイストって表現されますか? ラフィの国では」


「ザッツlight〜♪」


「なので、幽霊たちの過去カルテを探し出して病室に置いてあげるのが一番なんですけど……無理なので、新しく新規カルテをつくって下さい。形だけでも、幽霊たちは満足してくれると思います」


「カタチって大事! 特にghostたちはピュアで勘違いしやすくテ」


「だまされやすいので」


「遺体安置室のフシギはネ、あそこ、窓の高さが低いからbadなヒトタチが集まってたんだヨ」


「結局は人間のせいなんですね」


「『コノ世』は生きている人間のheavenだからサ。『アノ世』とのlineなんて、繋がない方がイイのダ」


「遺体安置所は窓に柵でもつけて不審者が入り込めないようにして、心霊現象がおさまったら……後はまぁ、生きている人間同士で値段交渉でもして下さい」


「ghostはmoney関係ナイ!」


「心霊スポットにも、あまり軽い気持ちで行かないでください。違うモノに……連れて行かれるかもしれませんよ?」


「Bad timeはNo Thank you……だよネ?」


「じゃあ、この辺りで終わりましょうか。何分になりました? 三人でやると、どうしても動画時間伸びますね」


「ネ〜」


『※ キミたちが好き勝手喋るからだよ…!! せっかく台本作ってるのに…… ※』


「だって二号さんの台本、つまんないもん」


「ネ〜!」


『※ キミたち、本当は仲良いでしょ…… ※』


「さぁ、どうでしょう?」


「フフフ〜♪」


『※ 今回の動画、少しでも良いなと思っていただけましたらどうか高評価とチャンネル登録をお願いします! ※』


「なんでそのフリップだけ綺麗な文字なんですか?」


『※ あらかじめ書いていたから! ※』


「ズルですね」


『※ アドリブで何枚もフリップ書いてることをほめて!? ※』


「ハイハイ、すごいすごい」


「good! good!」


『※ うぐぐ…… ※』


「じゃあ、次回の動画なんですけど……えっと、『追いかけてくる部屋』です」


「足でも生えてるノ?」


「そんなわけないでしょう。一度その部屋に住むと、違う場所に住んでも戻ってきてしまうんです」


『※ 人気物件じゃない!? ※』


「でも、長く住んでくれないので物件としては無駄にハウスクリーニングの手間がかかって嫌だ……ということで依頼がきました。ヘンな噂も立ちますし、決まって退去後の部屋は荒れているようです。それに、入居者は段々弱っていき最後は入院沙汰になるとか」


「ガンバッテ〜♪」


『※ ラフィ、今日はありがとう!! ※』


「アリガトウゴザイマシタ」


「イエイエ〜♪ またコラボしようネ」


「じゃあ、ごちそうさまでした」


「ゴチソウサマ!」


「ばいばい」


『※ ばいば〜い ※』





<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:mamaミルク

ラフィ〜!!!

演技派すぎるでしょwwwww

三号くんの帽子被って笑ってるのカワイイww

一つ前の動画とは大違いww

帽子被ってない三号くん久しぶりに見たけど、だいぶ地毛が伸びてプリンになってるからそろそろ染め直したら?


アカウント名:光沢みま

無事でヨカッタ!!

でも心配だから、ドッキリだってことはちゃんと概要欄に書いておいて下さい!!!

信用なくしますよ!?


アカウント名:サニィ

アカウント名バグってたのは全部で十七名。

新しい『ゴーストイーター』になってからの自己紹介動画と、事故物件を紹介している前編と後編の動画に最初にコメントした奴ら。

依頼者の個人情報流出させるようなコンビだし、これも何かのミスなのでは??

運営に通報しました。


アカウント名:ルルこりん

ラフィとは合意の上みたいだし、情報流出ってわけじゃないんじゃないの?

本当に依頼者の情報かどうかも怪しいし。

ウソの個人情報だって動画で言ってるじゃん!

そんなに目くじら立てるなよ笑

運営も迷惑だってw

てゆーか『ゴーストイーター』に台本なんてあったんだww

いつも好き勝手喋ってるのかと思ってたww


アカウント名:R san

Thank you^^

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る