5-2 後編【小さな来訪者! コメント欄に異変?】





「ハイ……どうも。いただきます。『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ三号です。なんか……結構、普通に室内に入れましたけど。うわ」


『どうしたの!?』


「窓が開けっ放しですね。家の人たちはずっとこの部屋に入れなかったってことなので、一体いつから開いていたんでしょうか……」


『閉めておく?』


「ちょっと、このままにしておきましょう。まずは室内のレポートをすると……まぁ、普通の、学生さんの部屋ですね。息子さんは飛び降りた当時、高校三年生だったみたいなので、その時点で時間が止まってます。高校の参考書とか、ゲームのポスターとか……あぁ、この参考書を使ってるってことは結構進学校だったんですね」


『詳しいね!?』


「あとは……ベッドに勉強机、それにタンスと鏡……ですね。窓がずっと開けっ放しだったせいで、雨が吹き込んで本がずいぶん湿ってます。読書家だったんでしょうか。散乱した本があちこちで山を作ってますね。もったいない」




『三号くん!!! うしろ!!!』




「……ん?」




『誰かがこっちを見てる!!!』




「わっ!?」




『な、生首みたいじゃない!?』


「か……風が、急に、きつい……っ!!」


『帽子、飛ばされるよ!!』


「や、っぱりっ、閉めておけば……よかったですねっ!!」


『力ずくで閉めた!?』


「ハァ……。自然現象に訴えかけるのは卑怯ですよ。事故物件というフィールドで戦いましょう」


『そんな言葉が通じる相手かな?』




カラ……




『なんの音!?』




カラカラカラ……




「不審な物音ですね」





カラカラカラカラッ!!!!





「うるさいなぁ、もぉ……」


『こんなにハッキリ聞こえるのにスゴいね、キミ……』


「怪しい場所に懐中電灯攻撃! えいっ!!」


『湿った本の山から聞こえる!』


「本をどかしましょう。ええと……中には、ゲージ? ですね。小動物の檻があります」





カラ、カラ……カラ、カラ……





「ニャア」


『でっかいネズミ!?!?!!?』


「猫?」


『あっ、ラフィの飼い猫じゃない?』


「無毛猫のスフィンクスですね。Rさんの飼い猫と同じ種類です。確か名前は……マイゴッドでしたっけ」


『【my god】だね』


「珍しい種類ですから、たぶんマイゴッドなんでしょう。どうしてこんなところに……チッチッ、おいで〜」


『三号くん、猫好きなの?』


「マイゴッド、口になにか、咥えて……」


『今度こそネズミ!!!!』


「ハムスターですね……。かなり年月が経って、ミイラ化しています」


「ニャア、ニャァ……」


『三号くんに渡そうとしているみたい』


「………」


『ためらいなく握るね!?』


「そうですか……」


「ニャ」


「ありがとう、マイゴッド」


『なに二人で通じ合ってるの!!』


「今回は、残念ながら皆さんおたのしみのホラー展開はなさそうですね」


『視聴者さんを悪趣味みたいに言わないでよ!?』


「今日は猫を抱いて眠りましょうか。ねぇ、マイゴッド?」


「ニー」


『二人だけで仲良しになっちゃって……』


「丁度、住人のベッドがありますけど……三号は一号さんの寝袋で寝ます」


『勝手に使うのは気がひけるもんね!』


「ラフィはイヤなひとですけど、マイゴッドは良い子です」


『あーーー!!!! 違うんです! 三号くんはラフィのことが嫌いとかそんなんじゃなくて、彼のもつ独特の雰囲気がちょっと肌に合わないっていうか、人生経験がまだ足りないゆえに自分と違う価値観をうまく受け入れられないっていうか……とにかく三号くんもフォローし……』


「ごちそうさまでした……zzz……」


『寝てる……!!!!


……ラフィ、ごめんね? 

今度、会ったときにちゃんと謝ります!!!


次回は解決編です!


三号くんは猫の【my god】と通じ合って分かっちゃったみたいだから、僕からヒント!


部屋の住人である高校生は、進路や人間関係に悩んでいましたが家族関係は良好でした!


ミイラ化したハムスターは、長年、高校生くんの良きペットでした!


分かったかな〜?


続きは次回! お楽しみに!


ごちそうさまでしたっ!!


ばいば〜い』






<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:スずめ通り

冒頭、本当に窓の外に誰かの顔が見えたんだけど!!!!

2:08のところ!!!

あれも気のせいなの????


アカウント名:Jean

ねこ可愛いね。

ハムスターと飛び降りがどう関係してるのか全くわからんが。

ねこ可愛いよねこ。

次の動画を待つだけ。

あと『ラフィちゃんねる』、検索しない方がいいよ。


アカウント名:ライラックらっく

前の動画で出てきた『ラフィちゃんねる』検索したら、一号さんの動画があがってた。

でもなんか、こわかった……。

とにかくこわかった。

誰か見てきて。 


アカウント名:。辛み

『ラフィちゃんねる』見てきた。

一号さんが変な場所で意味不明な言葉を喋ってる動画一本しかなかった。

不気味すぎる……。

えっ?

何語??

これ、ゴーストイーターは知ってるの???

一号さん、行方不明なんでしょ??


アカウント名:R san

good^^

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る