1-2 後編 【三号くんが幽霊泣かせた!?!?】
「はい、おはようございます……あっ、いただきます『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ三号です。今日は事故物件って言うか、何故か一ヶ月以上人が住まない家からお届けします……。ふわぁ……黒マスクと黒帽子って便利ですね。寝起きの姿で失礼します」
『おはよう、三号くん!』
「さっき、二号さんから電話で怒られまして」
『いや、そんなに怒ってないよ!?』
「YouTuberのことなんにもわかってないだとか、撮れ高がどうだとか……色々。昔は自分の方がにぃ……じゃなくて、一号にうるさく言われたくせに」
『過去は過去! 今は今だよ!』
「今日はこれから、昨日白い影が映った洗面所とお風呂場に行こうと思います。昨夜、ここで寝ましたが……なんか、ずっと上の階の住人がうるさかったですね。階段の音もよく響いていました。鉄筋作りのハズなんですけど」
『鉄筋作りって言っても、業者によって強度はピンキリだからねぇ』
「さて。ここが昨日の現場なんですが。フツーに……ただのお風呂ですね。トイレと一緒になっているタイプ……」
『鏡を確認してみて!』
「鏡も……自分が映っているだけですね。うん……」
『なにかおかしなところを探すんだ!』
「確か、昨日白い影が横切ったのは入り口からお風呂にかけてでしたよね。中も普通です。バスタブと、鏡、それにシャワー、ちょっと黴っぽいカーテン」
『前みたいに鏡がコンクリ漬けになってないし、錆臭い匂いもしないよね』
「あとは天井……あ、ここは開くタイプですね」
『開けてみよう!』
「開けてみますか。よいしょ……」
『大丈夫? 気をつけて!』
「……ム〜、特に何も……な……、……ある」
『なに!?』
「何かがありますね。なんだろう、これ……箱?」
『開けてみよう!』
「よいしょ……。古いお菓子の箱ですね。平たいタイプです。開けると……ん〜、堅い!」
『がんばって!』
「……開いた!!」
ドンッ!!!
「……っ!?」
『なに!? なんの音!?』
「なにかが……落ちた音ですけど。この部屋には落ちるようなものはないはずです。まあいいや……」
『いいのかよ!?』
「えっと、中身は……なんでしょう? 黒い、細長い、板? みたいな」
『カメラで映してみて!』
「なにか、文字が書かれていますね。ほとんど掠れて見えないけど……最後だけ読めそうです。えっと……居残りの【居】に、武士の【士】、かな?」
『居士……』
「これってなんでしょう?」
ドンドンッ!!
「上の階の住人がうるさいですね」
『三号くん、それって位牌だよ……』
「ちょっと変わったものってこれだけでしょうか」
カンカンカン!!!
「誰かが階段を激しく上ってますね。こんなに朝早くから、どこにでかけるんでしょう」
『三号くん、それ位牌だって……家に仏壇ないの?』
ドンドンドンッ!!!
「うるせぇ!!!!!!!」
『三号くん!?!?!?』
「あ……ごめんなさい、つい大きな声を出してしまいました」
『結構ドス効いてたけど。元ヤン疑惑浮上だよ』
「えっと、妙なものを見かけたら動画の表紙……サムネイル用に長めに動画撮っておけって言われてるので、撮っておきましょうかね」
「………」
「はい、チーズ……」
『……こうして、幽霊泣かせな三号くんの事故物件での時間は過ぎてゆき、出ていく時間となったのでした……』
「あ、もうこんな時間ですか。大した働きもできませんでしたが、これで今回のアルバイトは終わりになります。報酬はお気持ちでいいので、事故物件または問題のある物件についてお悩みの方は『ゴーストイーター』まで連絡お願いします。概要欄に連絡先を貼っておきます。プライバシーは守ります。あと、問題の解決もお約束いたします」
『ちょっと!? 荷の重い約束しないで!? この物件すら解決してないのに!?』
「この黒い板の正体はわかりませんが、この部屋の問題は三号には分かりました」
『マジで!? 二号にも教えてよ!』
「……二号さんにはたぶんわかんないだろうな」
『くそう! その通りだよ!!』
「じゃあ今回はこの辺りで。ごちそうさまでした」
『後で三号くんから聞き出して、解決編は次回の動画になります!』
「ばいば〜い」
『明日までに編集するので、どうかお楽しみに! ばいば〜い』
<コメント:新着順5件表示>
アカウント名:Kおるい
マジもん見つけてるじゃん。
ヤバくない?
その位牌どうなったの?
アカウント名:佑美
一号さんと違って三号くんはぜんぜん怖がらなくて笑ったw
「うるせぇ!」ってww
アカウント名:直家田中
金髪だし元ヤンキーでも納得。
はよ顔出しして。
アカウント名:ヘイヘイ
二号さん、前は一号に振り回されて今度は三号に振り回されて不憫だw
アカウント名:上からペニー
三号くん、彼には一体なにが見えているのか……。
位牌ってだけでなんか無条件で怖くないですか?
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