9-2 後編【ザワ…ザワ…するのはやめてよ!!】



「……ハイ、どうも〜ちょっと小声で失礼します……『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ二号です。いただきます……。今回はえっと、後編になるのかな」


「……スー……」


「三号くん、起きて起きて」


「……なんですか」


「まだ眠いかな?」


「いま、何時です?」


「三時前だよ」


「まだ早いです。おやすみなさい」


「ちょっと待って!? さっきから裏口がもう何度もドンドン叩かれてて、怖くて限界なんだけど!!」


「えぇ〜……」




ドンッ!


ドンッ!!





「ホラ、また!!」



「……音が聞こえる前に、一瞬店内が明るくなるので大丈夫です。もうちょっと寝かせ下さい……」


「僕にも説明して!?」


「……解決編でも見れば良いじゃないですか」


「僕は今、その動画見れないよね!? まだ存在すらしてないし!!」


「じゃあ、解決編を収録するときに話してあげますから……」


「今、こわいのをなんとかして欲しいんだけど!?」


「わかりました……ふわぁああぁ」


「三号くん、帽子がズレてる」


「あぁ……ありがとうございます」


「直してあげるよ」


「ドーモ。二号さんも寝癖ヒドいですよ。直してあげませんけど」


「自分でやるよ! どう? 直った?」


「直ってないです……裏口の音よりも、もっと気になることがあるんじゃないですか?」


「気になること……?」


「こんなに……」


「こんなに?」


「にぎやかなのに」


「え……」



___今日は本当に楽しかっ手で握っても卵って割れないらし海鮮丼食べに行今度はお弁当持って俺のペットのハリネズミを洗本当にむかつくヤツがい結婚したらみんな次はこど対戦相手がいないとさみしいしキ課題の提出先ってどこかお前パパが後ろから抱きしめ洗濯機が壊れたからドラム式にほらあの時に流行った歌のタイト本当は別に恨んでないんだけどドアの立て付けが悪いのが理こんないいものくれるなんて交通事故おこしたこチャーハン追加でたのもうかマスカラ変えたでしょぜっ自転車の鍵なくしたけ定規が使用禁止に青いもんだって十回ゲームやろー変人ぶるのもいい加鉛筆削り買わないと今月のノルマが達成で睡眠時間が足りてないんだってコー問題文の出し方が悪人を嫌な気持ちにさせるか八時までに家をでるからねぇ次い今回はご縁がなかっあと何人呼ぼこのラーメン美味しいシフト出したかなぁ?_____



「な、なにコレ……」


「にぎやかですね」


「ど、どこから聞こえて……?」


「ココですよ。おそらく、前の店舗だった時の記憶です」


「記憶?」


「この場所には、前の店舗の記憶が息づいています。なぜだか分かりますか?」


「な、なんだろ……うーん」


「居抜き物件だからです」


「ちょっとは悩ませて!?」


「居抜きっていうのは、設備や内装がついた状態での売買や賃貸のことです。そうすることで、初期費用を押さえて早く営業ができるようになります」


「その説明、前半でするべきだったんじゃないの?」


「編集でどうにかして下さい。まぁ、ここは居抜き物件と言っても改装はされているので見た目は綺麗なんですけど、ひとつだけ事件のあった当時のまま残っている物があります」


「な、なに……?」


「一旦、この座敷から降りましょう。よいしょ。ホラ、畳の縁を持って下さい」


「うん……。きょ、許可は店主さんに取ってますからね!!」


「ひっくり返しますよ。せーのっ!!」


「ヒエッ!?」


「こういうことですね」


「た、畳の裏……!」


「懐中電灯で照らしてみて下さい」


「血痕、みたいに……見えるけど」


「それなら、目に見えるものが全てです」


「ちょっと良い台詞みたいに言わないで!? えっと、これは……」


「被害者の血痕です。本当は、事件当時のものでこういうことをするのは良くないんですけどね。まぁ本来、畳って両面使えますし、数年使ったら日焼け防止のために裏側を使うのはよくあることですから」


「これが、原因……?」


「最後の声、シフトのくだりだけやたらとハッキリ聞こえたでしょう? あれは被害者の心の声だからです。それ以外は、仕事中に聞こえた音声を断片的に再生しているだけです」


「そ、そっか……事件の前は繁盛していたんだね。生前の記憶を再生するっていうのは、2件目の二重事故物件の時と似てるね」


「そのようですね。幽霊には過去しかありませんから。後は黒い影についてですが……。情報によると、そろそろ出るみたいです」


「今は何も見えないけど?」


「………」


「三号くん?」


「……二号さん、三号のカメラ映して下さい」


「えっ? ……なんだろ、入り口付近に黒い影が……」


「………」


「い、いち……号?」


「………」


「一号! 僕だ!! 浅葱だよ!!」


「………」


「浅葱さん! カメラ置いて!! 早く!」


「あっ、うん……っ! わっ、わぁあ!?」









ブツッ。









『また変なところで切れちゃってゴメンナサイ!!


……なにか見えました?


見ちゃったアナタはラッキー!!


明日はいいことあるかもね〜??


次回は解決編です!


裏口のノックと畳の裏の血痕、それに黒い影の関係は!?


分かるかな〜?


カンタンだよっ!!


ではではっ、ごちそうさまでした!


ばいば〜い』







<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:かごめのマくん

一号さんっぽい黒い影、三号くんのカメラにしか映ってなくない?

なんで?

途中聞こえた声もどういう仕掛け??


アカウント名:いおりまる

↑またドッキリじゃないの〜?

でもドッキリならドッキリって言って欲しいよね。

そこがゴーストイーターのダメなところだよ笑


アカウント名:Aon

上の人が言ってる、途中の声もカメラの人影もオレには見えないし聞こえなかったんだけど。

霊感持ってるフリするのもいい加減にしろよな。

……マジで。

こわいから。

オレだけ聞こえないとか。


アカウント名:荳蜿キ縺輔s

だから、やめとけって言ったのに


アカウント名:R san

good^^

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