6-2 後編 【くらいのさむいのこわいのたすけて】





「ハイ、どうも……いただきます。『ゴーストイーター』のウスバカゲロウ三号です」


『あれ? 電気ついてるね』


「なんか、三号が眠りに落ちようとした瞬間に電気がつくんですよね」


『なにその奇跡!!』


「うっとおしいんで、先に解決してみましょうか」


『簡単に言うなぁ……』


「と、言ってもこの部屋には何もありませんから。調べようがありません」


『そうなんだよね〜。もっと情報渡しておけばよかったね。最近バタバタしてて、ロクに渡せなくてごめん!』


「今回は……」


『三号くん? まーた何か交信してる??』


「電話しましょう」


『誰に?』


「二号さんに」


『僕か!!』


「ぴっぴっぴっ……と。もしもし、二号さん〜」


「ハイハイハイ!! なになに? どうした? 迎えにいこうか!?」


「ワンコール未満で出ないで下さい。気持ち悪い」


「ヒドくない!? 待機してたのに!!」


「もしかして……三号が事故物件に泊まってる間って、二号さんずっとスタンバっているんですか?」


「そりゃあそうだよ! 心配だし!!」


「……本当は?」


「うっ……! さ、最初の頃は寝てたりしたこともありました……」


「正直でよろしい。あのですね、ちょっとお聞きしたいんですけど」


「何かなっ?」


「この部屋って、今まで何人ぐらい入居しましたか?」


「え〜? 正確な人数は分からないんだけど、二人や三人じゃないはずだよ」


「それじゃ、ここが事故物件になった時の一番最初の入居者のことって分かりますか?」


「うん、分かるよ。えっとね〜」


「女性ですか」


「えっ? う、うん……」


「年齢は三十代半ばくらいで」


「そうだけど……」


「ここに住む前はピーッピーッ通りのピーーーッハイツに住んでましたか?」


「あーっ! だから実在の情報を軽々しく出さないで!!」


「すいません。あとでピーッ音つけてくれるって信じてるんで」


「そういうの良くないって。普段から気をつけていないとポロッと言っちゃいけないこと言っちゃうよ」


「そこはまぁ、二号さんの編集技術でどうにかして下さい」


「もちろん、そのつもりだけどさ……」


「で? 当たってますか? 外れてますか?」


「当たって、る……けど。えっ? 僕、事前にキミに言ったっけ?」


「その方、子供さんが二人いませんでしたか?」


「うん……」


「離婚されていますか?」


「そうだけど……ちょっと待って!? それ、だ、誰かに聞いたの……?」


「まぁ、聞いたと言えば聞きましたかね」


「……マンションの住人に、聞き込みでもした?」


「真夜中ですし、そんな不作法なことしませんよ」


「じゃ、じゃあさっきからキミの後ろで聞こえてる声って……」


「可愛い声でしょ? 彼女の子供たちです」


「イヤーーーーーーー!!!! 知りたくなかった!!!!」


「だから、浅葱さんにも霊感あるんですって。二本目の動画でも言ったのに」


「違うよ違う……電波が、こっ、混線してるんだって!! あと本名やめてって!」


「そう思いたいなら、それでいいですけど」


「も、もうキミからの電話とるの怖すぎるよ……」


「我慢しろ!!!!」


「いきなり熱血にならないで!?」


「これに懲りたら、ちゃんと自己管理徹底して、動画前にきちんと三号に資料を渡して下さい」


「ご、ごめんなさい……」


「一日三食摂って、睡眠も八時間以上とって、毎日一万歩以上歩いて下さい」


「すごく健康になりそう!?」


「三十品目、一汁三菜を目標に自炊をして、掃除機もかけて、床も雑巾かけして、お風呂も湯船にしっかり浸かって下さい。あと五百円玉貯金も」


「どんどんハードルが高くなっていく!! わ、わかったよ。次から気をつけるからさ……」


「よろしくお願いします」


「で、でさ……それが今回の事故物件とどう関係が……?」


「わかりませんか? この部屋は単身者用ですよ?」


「そうだね……?」


「前の家では、一緒に過ごしていたお子さんが二人もいたんですよ?」


「え〜〜〜……親権、とられちゃったのかな?」


「おめでたい人ですね、浅葱さんは」


「また本名!?」


「確認がとれたので、もういいです。ありがとうございました。あ・さ・ぎ・さん」


「わ、ワザとだ……! もう絶対ワザとやっ」


『切られました……』


「ハイ、じゃあこんな感じですかね。まぁ、今回も業が深い話です。すぐに解決するのは難しいかもしれません。二件同時に供養すればなんとかなるでしょうか。ん〜……詳しいことは起きてから考えますかね」


『あっ! 電気消えた!!』


「……お許しが出たみたいなので、これで失礼します。ふわぁ……おやすみなさい。ばいばーい」



『今回は僕も電話で出演しちゃったから、あんまりテロップの出番なかったね〜。


電話越しの自分の声って、なんか変な感じしない??


なんか、今後三号くんからの電話とるのこわくなってきた……。


もっとちゃんとします!!!


視聴者さんも応援してね★



次回は解決編!

勘のいいヒトはもう分かったんじゃないかな?


ではではっ、ごちそうさまでした!!


次回をお楽しみにっ!


ばいば〜い!』






<コメント:新着順5件表示>


アカウント名:011

三号くんからの電話でるの早すぎw

そんなに心配ならもう一緒に泊まればいいじゃんww

二号はホントに聞こえてるの???

一回録音してみてよww

あと電話越しの自分の声が変な感じっていうのは同意するw


アカウント名:りいな

的確に個人情報当てすぎでこわいよ!!!!

ヤラセじゃないよね???


アカウント名:ユーマ

一回だけ、この動画でコメントしたらアカウント名の一部がバグったんだけど。

その後は別に変わらないかな?

誰か他にも同じヒトいない?

一番目にコメント残してるヒトがそれっぽくない?


アカウント名:祭りのなか

上のコメントのユーマさんへ。

ぼくが一番目にコメント残した時は、ちゃんと名前でました。

怖がらせないでください笑


アカウント名:R san

good^^

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